贅沢好きの放蕩息子ジョージ4世

発行日: 2018年12月28日

19世紀にジョージ3世の後を継ぎ、イギリスの王となったジョージ4世。 贅沢を好み大酒を飲み、手を付けた愛人は数知れず。 政府や王族から多額の支援でも賄いきれないほどで、負債がかさみ続けました。

贅沢三昧の君主をもとに、強大化していく英国の行政力と合わせて、漫画に登場するような放蕩息子ジョージ4世をご紹介します!


浪費に浪費を重ねて、借金総額82億円

ジョージ4世のコイン

1762年生まれのジョージ4世は、若い頃から贅沢好きで、お金を湯水のように使うので有名でした。 21歳の時、政府と父から合計11万ポンドを援助されましたが、ジョージ4世は馬の管理費用だけでも年に3万ポンドをつぎ込んでいました。

借金は積もり積もって、1795年時点での総額が63万ポンドまでふくれていました。これは現代のポンドに換算すると、58,700,000ポンドになるようです。 現在の相場で、だいたい1ポンドが140円程度ですので、現在の82億円くらいということになります。しかもこれは、定期的に国や家族からお小遣い(とはとても呼べないような額ですが)をもらいながらです。 父であるジョージ3世もこのことも一因で神経を病み、亡くなるまで悩みの種でした。





王不在の政治。むしろいない方がありがたい時代

ジョージ4世のアンティークコイン

このだらしない人物が王になっても国が傾かなかったのは、政治にはあまり口を挟まなかったおかげでした。立憲君主制によって挟めなかったとも言えますが・・・ この二代あとには、ヴィクトリア女王が限定された権力の中でも、イギリスを率いて列強の道を邁進することになります。それを可能にしたのがイギリス貴族達の行政力でした。



ちょっとくらいだめな人間が王になっても崩壊しないのが、独裁権力に依存しない政府の強さということが、ジョージ4世から分かると思います。 ジョージ4世の政治キャリアは治世よりもだいぶ長くなっています。というのも、父ジョージ3世は病気のため、ときどき精神錯乱に陥るのです。

そのため、次期後継者として父の摂政を任じられることになりました。 しかし、摂政という地位にありながらも、とくに政治を省みることもなく、閣僚の人選にたまに口を出したり出さなかったりする程度でした。 そんなことより、新しい美しい宮殿を作る方が重要だったのです。 ジョージ3世が没し、王となったあとも大きな変化はありませんでした。

カトリック勢力の拡大という議題では口を出すこともありましたが、この王様では口を出そうとしても、結局は出させてもらえずに終わります。 こんな有様でしたが、イギリスはナポレオンに勝利し大国の地位を不動のものにしています。 内閣も議会も軍隊も、摂政や王が食う寝る遊ぶしかしていないときでも、自らの責務を果たした結果でした。





こちらもだらしない女性関係

そんな王様でも、一途に妻を愛し大切にしましたとさ、となればちょっとした物語にもなるかも知れません。残念ながらそういうのも期待できないのです。いやいや結婚させられたキャロライン妃と間にはシャーロット王女一人が生まれましたが、若くして亡くなりました。妃とは不仲で、離婚を求め、むりやり法律まで作ったほどです。

王妃の他に、非公式に結婚した女性がおり、ずっと仲がよかったようなのですが、そのほかにも多数の愛人がいたりします。そのため、確証はないものの多数の隠し子がいたと考えられています。





ジョージ4世を描いたコイン。龍とのしばしの別れ

ジョージ4世

新聞に「あれほど死を惜しまれなかった王はいない」と書かれるほど不人気だったジョージ4世ですが、王である以上横顔が掘られたコインはあります。 ちょうど先代のジョージ3世の頃から発行が始まったソブリン金貨に、その姿が残されています。

ジョージ4世のソブリン金貨は2種類あり、裏面が『聖ゲオルギウスの龍退治』のものと、盾の紋章のものです。 龍退治の図案はこの後ヴィクトリア女王の時代に復活するまで、一度ここで途切れてしまいます。



最低の王として君臨したジョージ4世も現代から見ると・・・

ジョージ4世のコイン

古くから仕えた側近の日記に「卑劣で臆病でわがまま」と記され、「最低の王の一人だ」とまで言われてしまうジョージ4世。 それから10年後にはヴィクトリア女王の時代を迎え、植民地帝国として世界最強の国に向かうのですから、歴史は不思議なものです。

古代史に出てくるような独裁的な王様がこれだと、一気に国が傾くのですが、実権が集約されていなければ最悪のケースは避けられるということなのでしょう。 その豪奢と建築への興味のため、文化的には貢献したとも考えられています。ヴィクトリア朝の文化的興隆はジョージ4世を基礎としているという人もいるようです。 もしかすると、気づかない所でイギリスを助けていたりするのかも知れません。

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