デザイン変更されたアンティークコイン(金貨)収集ストラテジー

発行日: 2018年10月29日
アメリカの金貨ならどれを集めるべきかとよく問われる。

特に、ちょっと「他にはないもの」だ。つい最近、長年新たなセットを求めてコレクターをやっているという人物と話をしたのだが、そのとき話題になったのが19世紀アメリカのデザインが変更された金貨のセットについてだ。

デザインが変更された金貨については、同じ年に2通りの鋳造が行われた金貨を例に挙ると、フィラデルフィアで1854年に鋳造された金貨で、タイプ1とタイプ2が発行されたものがある。そこで、これらのように同じ額面で短期間にデザインの変更が行われた経緯を持つ変更硬貨をいくつか見てみよう。

ただし、1861-Sダブルイーグル(20ドル金貨)と1861-Sパケットリバースダブルイーグルの2つはデザインが変更された金貨とは言えない。1861-Sパケットリバースダブルイーグルはその年しか使われなかったためだ。それに対し、1866-S(裏面モットーなし)と、1866-S(裏面モットーあり)は変更硬貨である。これは、あらたな裏面のデザインが翌年以降も数年にわたり使われ続けたためだ。



1.1ドル金貨

リバティヘッド1ドル金貨は、1849年から1889年にかけて鋳造されている。全部で3種類あり、デザインが変更された金貨コレクターにとっては興味深いものだ。

1854年、フィラデルフィア、ダロネガ、サンフランシスコの造幣局でタイプ1が鋳造され、同年、タイプ2の金貨もフィラデルフィア造幣局で鋳造されている。タイプ2の方が数は少なく、鑑定グレードの高いものは高価だが、1854年銘のタイプ1、タイプ2ともに比較的出回っている。1854-Pタイプ1、タイプ2のデザインが変更された金貨のペアは、鑑定グレードMS63、MS64のものが取集しやすいかもしれない。

サンフランシスコ造幣局では1856年にタイプ2の鋳造が行われている。また、タイプ3がフィラデルフィア、ダロネガ造幣局で鋳造されているが、正確には、これらはデザインが変更された金貨ではない。同じ年の鋳造ではあるが、造幣局が異なるためだ。



2.クォーターイーグル(2.5ドル金貨)

この額面の鋳造は1796年に始まり、1929年まで続いたが、この期間に数回変更が行われている。 最初のデザインが変更された金貨は、1796年の星ありと星なしの通貨だ。星なしは総数963枚、星ありはわずか432枚のみの鋳造だが、どちらかというと、星なしのクォーターイーグルの方が有名で、多くのコレクターに好まれている。 1796年銘の星ありクォーターイーグルは、全グレードの中でもかなり貴重だが、星なしの方と比較すると一般的に低いグレードで見られることが多い。

このデザインが変更された金貨のペアは、少なくとも25万~30万ドル以上にはなるので、準未使用グレードの中で最も高価な部類に入るだろう。 1796年のデザインが変更された金貨のセットが最も高額のクォーターイーグルであるのに対し、もっとも珍しいのは、1834年のモットーありのクォーターイーグルだろう。

1834年は、キャップドヘッドレフトの縮小版(1829年から1834年まで鋳造)の最後の発行年である。4,000枚鋳造されたが、ほぼ全てが溶解処分となっており、現在は20枚ほどしか現存していないとされている。 1834年後半には、より認知度の高いクラッシックヘッドのデザインが導入されているが、発行初年版1834はMS63グレードでよく見られ、グMS64グレードでも入手可能なことがある。計算上、1834年銘のクォーターイーグルは、10万ドル以下で入手可能とされているが、1833年以前のものは、手に入れるまで時間がかかるだろう。



3.3ドル金貨

3ドル金貨の変更硬貨はない。



3.ハーフイーグル(5ドル金貨)

ハーフイーグルは1795年から1929年まで鋳造されている。特に発行初期数年間のものに興味深いペアが数多くあるため、変更コレクターにとっては収穫が見込めるマーケットだ。 1795年銘のハーフイーグルは、小型イーグルリバース(1795~1798年まで使用)と、ヘラルディックイーグルリバース(1795~1807年まで使用)の2つがある。小型イーグル金貨の人気が高い理由は、初期の金貨で、特に高いグレードでは数も少ないことからも納得である。 ただし入手は比較的難しくない。

1795ハーフイーグルのペアは、状態が良ければ10万ドルほどが相場だが、私の意見としては、極めて視覚的に目を引く存在だと言えよう。 1797年のデザイン変更も興味深い。1797年銘の小型イーグル5ドル金貨が有名だが、表面の星の数がそれぞれ15個、16個となっている。15の星の方が入手困難ではあるが、どちらも大変珍しい金貨だ。1797年銘ヘラルディックイーグル5ドル金貨も有名だが、これはほぼ入手不可能である。

1797銘のヘラルディックイーグルは他にも2種類(15個の星と16個の星の金貨。発行年の刻印エラーはなし)あり、他にはないものだ。現在はスミソニアン美術館に保管されている。1797年銘のハーフイーグルの金貨セットはかなり高価で(20万ドル以上)、収集はむずかしい。しかし、極めて優れたアイテムとして、デザインが変更された金貨セットの目玉となるだろう。 1798年の金貨セットは理論上収集可能だが、小型イーグルの希少性は群を抜いており、知られているだけでも8セットしかない。

最後にオークションに出品されたのは2000年にまでさかのぼり(PCGS鑑定EF40の品)、26万4,500ドルの価格をつけている。 1799年以降のヘラルディックイーグル金貨は比較的流通しており、デザインが変更された金貨セットの収集が可能である。だが、現在の希少性重視のマーケットでは、かなりの額をつぎ込むことになるだろう。 その後のハーフイーグルでデザインが変更された金貨セットは1807年銘のバストライトとバスレフトだ。

どちらの硬貨もそれなりの流通量があり、MS64、MS65グレードでなら、まとめての入手も可能だろう。準未使用良品のセットなら、少し手ごろな価格の場合は2万~3万ドルほどである。 1829年に非常に興味深く、珍しい変更硬貨のペアが誕生している。ラージーデイト(拡大版)とスモールデイト(縮小版)だ。これらの硬貨は珍しいだけでなく、取引は一般的に数年に1回しかされない。このペアの交渉価格は100万ドルを超えるが、費用を用意したとしても入手できる保証はない。

1834年のハーフイーグル金貨も極めて興味深い変更硬貨のペアだ。キャップトヘッドレフトは縮小版金貨で、1829年に発行され、1834年まで流通した。この年にプレーン4(発行年の刻印の数字の4がシンプルなフォント)型とクロスレット4型(刻印された4の交差している部分が十字架に似ている)が発行されている。どちらもかなり珍しいが、クロスレット4型の方が入手困難だろう。

1834年後半には、新たにクラシックヘッド金貨が導入され、こちらもまたプレーン4型とクロスレット4型うち、後者の方が珍しい。簡単ではないが、この2種類のハーフイーグルの「ペアのペア」の入手は不可能ではない。準未使用MSグレードのキャップトヘッドで、クラッシックヘッドのプレーン4型はMS64グレード、クロスレット4型は格下のMSグレードで流通がある。 続いてのハーフイーグルでデザインが変更された金貨ペアは、1842年と1843年に発行されている。1842年名のフィラデルフィアハーフイーグルは、裏面の刻印字が小さいスモールレターと、大きいラージレターが有名である。

スモールレターは1839年から1842年まで、ラージレターは1842年から1866年まで鋳造された。ラージレターの方が珍しいが、どちらも流通量は少ない割にお手頃な価格で流通している。このデザインが変更された金貨ペアは準未使用良品グレードで、1万ドルから1万5,000ドルで入手可能だ。 1842年銘のハーフイーグルデザインの金貨ペアは他にもある。1842-Cのスモールデイト(発行年数の刻印が小さいもの)はとても珍しく、ラージデイト(発行年数の刻印が大きいもの)の方が入手は簡単だ。準未使用AFグレードのペアで2万から2万5,000ドルが相場だろう。

1842-Dハーフイーグル金貨は、1842-Cの真逆のパターンだ。スモールデイトの方が入手しやすく(未使用の場合はかなり希少だが)、ラージデイト の方が希少価値は高い。準未使用55グレードよりも上のものは、ほぼ入手困難だ。準未使用良品の場合25,000から30,000ドルが相場だろう。 1843-Cニューオリンズハーフイーグルのデザインもある。スモールレターの金貨は、ラージレターのものよりわずかに流通量が少ないが、どちらもEFグレード、準未使用グレードなら比較的簡単に手に入るだろう。準未使用のペアなら10,000ドル以下で購入可能だ。

このあとのハーフイーグルの金貨ペアは、1866年にサンフランシスコ造幣局が9,000枚鋳造したモットーなし金貨と、鋳造数34,920枚のモットーあり金貨だ。モットーなしハーフイーグルは極めて流通量が少ない。モットーありのハーフイーグルも流通量は少ないが、こちらの方が入手しやすい。モットーなし1866-Sハーフイーグルは、準未使用51以上、また、モットーありの場合は準未使用53から55を超えるグレードではほぼ入手不可能だ。準未使用のペアで20,000ドルほどが相場だろう。

最後のハーフイーグルでデザイン変更された金貨は、1908年鋳造のリバティヘッドとインディアンヘッドのペアだ。1908年銘のリバティヘッドはフィラデルフィア造幣局のみでの鋳造で、MS64グレードまでで流通している。インディアンヘッドの方は1908年にフィラデルフィア、デンバー、サンフランシスコで鋳造された。1908-Pハーフイーグルのセットは、MS65グレードなら20,000ドル以下で入手可能だろう。



5.イーグル金貨(10ドル金貨)

10ドルイーグル金貨の初のデザインが変更された金貨ペアは1797年に誕生している。この年最初に鋳造された金貨は裏面のデザインが小型イーグルで、3,615枚しか作られていない。準未使用54グレード以上のどのグレードでも希少価値は高い。

1797年の後半には、ラージイーグルのデザインが採用され、10,940枚鋳造された。この硬貨はわりと簡単に手に入るため、MS62、63グレードでも時々見られる。準未使用のセットだと少なくとも175,000から200,000万ドルが相場だが、同年のハーフイーグルより入手しやすいだろう。 1797年銘の金貨ペアよりも控えめだが、それでも、1839年に鋳造された、ラージレターリバースとスモールレターリバースの金貨は重要である。

ラージレターの方が流通量は多く、1838年の刻印と同じサイズを採用している。スモールレターの方の希少価値はぐっと上がり、刻印は1840年(その後も)と同じサイズだ。このデザインが変更された金貨のセットは準未使用だと25,000ドルほどで購入可能だが、1839年銘のスモールレターリバースを見つけることは困難だろう。

1866年にはサンフランシスコ造幣局でモットーなし、モットーありのイーグル金貨を鋳造している。モットーなしの金貨は鋳造数8,500枚で、どのグレードでも流通量はかなり少ない。モットーありの金貨はモットーなしより入手しやすいが、鋳造数は11,500枚にとどまっている。どちらの貨幣も準未使用50より上のグレードのものを見つけるのは極めて難しい。準未使用良品EFグレードのペアの場合、25,000から35,000ドルが相場だろう。

デザインが変更された金貨を集めるコレクターは1907年銘、1908年銘イーグル金貨の収集に苦労するだろう。1907年にフィラデルフィア、デンバー、サンフランシスコの造幣局がリバティヘッドイーグル金貨を鋳造している。この年の後半には、オーガストス セント・ゴーデンズによる新たなインディアンヘッドのデザインが導入された。

1907年銘のインディアンヘッドイーグル金貨は、ワイヤーエッジ、ロールドエッジ、モットーなしの3種類である。モットーなしは貨幣的な価値は少なく、今のところ最も流通量が多い。デザイン変更金貨のコレクターのほとんどは、MS63からMS65グレードの1907-Pリバティヘッドと、MS63、64グレードの1907年銘モットーなしペアを購入する。ワイヤーエッジは良い品だが、未使用良品は50,000ドルほどで出回っている。この記事の初めに述べた評価理論では、ワイヤーエッジは1908年には採用されていないため、真のデザイン変更金貨とは言えない。

イーグル金貨の最後のデザイン変更は、1908年に「ペアのペア」として生まれている。フィラデルフィア、デンバー両方の造幣局がモットーあり金貨の発行ののち、モットーなしイーグル金貨を鋳造たため、2つの造幣局で鋳造された2種類の変更硬貨ペアとなったのだ。MS65よりも下のグレードのもので珍しいものはなく、MS64 グレードの良品のセットはかなり簡単に手に入る代物だろう。



6.ダブルイーグル(20ドル金貨)

もっともよく知られているリバティヘッドダブルイーグルのデザイン変更は、1866-Sモットーなしおよびモットーありの硬貨だ。

モットーなしはわずか12,000枚ほどの鋳造で、希少性がとても高く、その価格もこの10年ほどで上がっている。1866-Sモットーありの金貨は、モットーなしよりもずっと入手しやすいが、未使用グレードのものはなかなか難しい。未使用のペアの場合、少なくとも50,000ドル初めてするだろう。モットーなしについては、品質にこだわりのあるコレクターなら、もっと高額な取引となるだろう。

1907年、イーグル金貨と共にダブルイーグル金貨のデザインが大きく変更されている。そのため、それまでのリバティヘッドのデザインのダブルイーグル(フィラデルフィア、デンバー、サンフランシスコ鋳造)と、セイントゴーデンスが描かれた新たなデザインのダブルイーグルが存在する。

また、1907年以降のセイントゴーデンスのダブルイーグルは2種類あり、高浮き彫りのレリーフで発行年の刻印にローマ数字が用いられているものと、平彫りでアラビア数字が用いられているものだ。どちらもフィラデルフィア造幣局での鋳造だ。

個人的には理想のデザイン変更金貨セットは1907-Pリバティヘッドダブルイーグルと、1907年銘のアラビア数字のダブルイーグルだと考えている。少しランクが上のセットなら、高浮き彫りのダブルイーグルも入るだろう。2種類のダブルイーグルのセットはMS64グレードのものが比較的入手可能で、5,000ドルほどが相場だろう。

ダブルイーグル金貨で2つ目のデザイン変更は、1908年に「IN GOD WE TRUST(我ら神を信ず)」のモットーが裏面に加えられたものだ。1908-Pと1908-Dの硬貨の裏面にはモットーは刻印されていないが、1908-Sとともに、同年発行で裏面にモットーが入ったダブルイーグルも鋳造されている。

デザイン変更硬貨の収集は万人に向いているとは言えないだろう。ここまで読んでもらってお分かりのように、18世紀の変更硬貨の希少価値の高さから、全セット揃えるには高くつきすぎるからだ。全てとまではいかなくても、変更硬貨のセットの大部分を集めてみるというのも良いだろう。

引用元:coin week
コインウィーク

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