損害保険の保険料って、どうやって決まっているの?

「金融機関」といえば何を思い浮かべるだろうか。

銀行、信用金庫、証券会社、投資会社、貸金業者等々、色々でてくるだろう。
しかし、保険会社という答えはなかなか出てこないのではないだろうか。

「金融」という言葉の定義は資金を余剰に抱えている者が、
資金不足の者に資「金」を「融」通することである。

そう考えると、いざというときに資金を融通してくれる保険会社が
金融機関であるということにも納得がいくのではないだろうか。

今回はこの保険会社、
そのなかでも損害保険について少し見てみよう。

リスクと損害保険

1913年に発行されたロンドンのThe patriotic assurance companyによる火災保険証券

1913年に発行されたロンドンのThe patriotic assurance companyによる火災保険証券

東京海上日動のWEBサイトを覗いてみると、
損害保険とは「偶然のリスクによって生じた損害をカバーするための保険」と
定義づけられている。

わかったようなわからないような感じだ。
そもそも「リスク」とはなんであろうか。

調べてみると、
「行動の結果を確実に予測できない状態,あるいは行動に伴って不測の結果が発生する可能性がある状態」のことらしい。
要は行動を起こすことによって生じる危険性とでも考えておこう。

人間は行動しなければ生きていけないので、
確実にリスクが生じることになる。
そこで、自身を守るためこのリスクに対応する必要がでてくる。

倒れてきた樹木に潰された駐車してあった車

倒れてきた樹木に潰された駐車してあった車

対応策として一番簡単なのが行動を制限すること、
例えば自動車事故や飛行機事故を回避するために自動車や飛行機を利用しないといったことが挙げられるが、
社会で生きていく以上限界があるだろう。

リスクを軽減するという方策もある。
例えば、家を建てるときに地盤の安定している場所を選ぶ。
自動車を購入する際に安全設計に優れているものを選ぶ。
交通ルールをきちんと守るというのも実は含まれてこよう。

最後に紹介するのがリスクを第三者に押しつけてしまうというやり方だ。
これの代表例が保険である。

例えば、損害保険の契約をしておけば、
何か損害が発生したときに対応するのは損害保険会社となる。

具体的に言えば、自動車事故を起こし、賠償責任が発生したとしても、
自動車保険の契約をしていれば、賠償金をだすのは保険会社である。

ところで、この損害保険というものは
契約者の払う保険料によって運用されている。

この保険料は損害が発生したときに支払われる保険金に比べて少額であるが、
損害が契約期間内に発生しなかったとしても
保険料は払わないとならないし、返還もされない。

これは「リスクの分担」という考え方によるものである。
同一のリスクを背負った者が集団を構成してそれぞれに資金を拠出し、
構成員の一部が経済的損害を受けたときにそれを填補するというわけだ。

1601年に成立したイギリスのエリザベス保険(救貧)法では
「損害を少数の人に重く負担させる代わりに、多数の人々に少しずつ負担させる」という思想を述べており、
損害保険はまさにこれに合致したものといえる。

保険料はどのように決めているのか

損害保険において、保険料はどのように定められているのだろうか。

日本ではかつては法律に基づいて設置されていた機関が
算出した損害保険料率(保険金額に対する保険料の割合)によって
各損害保険会社の保険料は拘束されていた。

しかし、1995年の保険業法改正、
及び1998年の金融システム改革法によってその拘束は解かれることになる。

金融システム改革法はいわゆる「金融ビッグバン」として有名だ。
どこかで聞いたことがある人も多いのではないだろうか。

現在各保険会社がそれぞれに多様な保険料を設定し、
それに付随してさまざまなサービスを提供しているのは
この金融ビッグバンによる影響なのである。

とはいえ、保険料は適当に決めているわけでは勿論ない。
基礎的な考え方が背後にあるのだ。

基本となるのが[保険料=事故の発生頻度×1事故あたりの平均損害額]という式である。
これは、先述したリスク分担の考え方に基づくもので、
総損害額をリスクを抱える人で均等に分担した金額が保険料となる。

しかし、これだけでは保険会社には一切資金が残らないことになる。
これでは従業員に給料は払えないし、会社として成立しない。

そこで、人件費・手数料・物件費・利潤といったものが保険料に付加されることになる。
こうして、最終的に契約者が支払う保険料が決定する。
これを営業保険料という。

ただ、保険料というものは不変ではなく変動することがある。
設定した保険料に対し支出した保険金が高すぎることがわかれば保険料を上げざるを得ないし、
逆であれば保険料を下げることができるのだ。

リスクの状況は社会変化によって刻々と変化しており、
保険会社は日々データを収集し、
それに従って保険料を上下させていくのだ。

保険料が適正であるかの評価は損害率によってなされることが多いようだ。
損害率とは[保険金÷保険料]によってでてきた数字のことである。

この損害率を求める際、
保険金の額を一定期間内で実際に支払われた保険金額とするのか、
あるいは一定期間内で発生した事故にかかる保険金とするのか
(保険金は事故発生からしばらく期間をおいて支払われることがある)
などで数字が変わってくる。

保険料についても色々なとらえ方があり、
損害率の算定を左右する。

ともあれ、保険料の妥当性を検討するための方法は
損害率を前提としたいくつかのやり方があるということでだ。

日本における自動車保険の損害率の推移例

日本における自動車保険の損害率の推移例

 

我々の生活とは切っても切れない関係にある損害保険。
これを機に、その在り方に興味を持っていただけたなら幸いである。

 

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