レオポルト1世100フラン金貨とは?19世紀ヨーロッパの歴史を内包するベルギーで最も有名なコインの魅力

キリスト教の聖人や先祖から名前を付ける風習のあるヨーロッパの王室。レオポルト1世という名前をもつ皇帝や王は、よく知られている人物だけで3人存在します。本記事でご紹介するコインに描かれたレオポルト1世は、初代ベルギー国王です。

1853年に発行されたレオポルト1世の100フラン金貨には、列強国と肩を並べる国力を持ちつつあったベルギー王国の誇りが見えるようです。

このコインの生まれた背景や特徴についてご紹介します。

 

レオポルド1世 結婚記念 100フラン記念金貨

レオポルト1世100フラン金貨

 基本データ

コイン名 ベルギー  レオポルド1世/ブラバント公 結婚記念 100フラン記念金貨
通称 レオポルド1世 結婚記念金貨
発行年 1853年
ベルギー ブリュッセルミント
額面 100Francs
種類 金貨
素材
発行枚数 482枚
品位 Au916
直径 37.0mm
重さ 31.66g
統治者 レオポルド1世
デザイナー レオポルド・ワイナー(Leopold Wiener)
KM -
表面のデザイン 左向きのレオポルド1世の肖像
表面の刻印 LEOPOLD PREMIER ROI DES BELGESL. WIENER(Leopold, First King of the Belgians Leopold Wiener:ベルギー最初の王レオポルド レオポルドワイナー)
裏面のデザイン 右向きの皇太子レオポルトと妻マリー・アンリエット
裏面の刻印 L.L. PH. M.V. DUC DE BRABANT M. H. A. DUCHESSE DE BRABANT 21-22 AOUT(L.L. PH. M.V. Duke of Brabant, M. H. A. Duchess of Brabant - August 21-22:ブラバント公爵、ブラバント公爵夫人。8月21日ー21日)
エッジのタイプ レタリング
エッジの刻印 DIEU PROTÈGE LA BELGIQUE ***(God Protect Belgium:神の加護を受けるベルギー)

 

レオポルト1世の100フランってどんな金貨?

レオポルト1世の100フラン金貨が発行されたのは1853年。ベルギー王家の皇太子の結婚を記念して世に出たコインです。この金貨にはどんな特徴があるのでしょうか。

表にも裏にも人物像が描かれているコイン

アンティークコインの多くは、表面に人物が描かれ、裏面には紋章や国や人物を表象するものが刻まれます。

いっぽう本記事でご紹介するレオポルト1世の100フラン金貨は、表裏両面に当時実在した人物がデザインされています。

表面には、コイン発行当時63歳であったベルギー国王レオポルト1世

裏面には、その皇太子でブラバント公であったレオポルト(のちの2世)と、その妻となったオーストリア大公の娘マリー・アンリエットの姿が見えます。

王と皇太子夫妻を囲む文字の意味は?

同コインをデザインしたのは、19世紀のベルギーで活躍した彫刻師レオポルト・ウィーナーでした。

ウィーナーによって、60代の国王レオポルト1世は老成した貫禄を見せながら、左向きに描かれています。

その国王とは対照的に、10代の若いカップルであったブラバンド公爵夫妻は、若々しい横顔を右に向けています。

国民に愛された国王の人望、時代を担う皇太子への期待。そんな想いが、1枚のコインに込められているかのようです。

国王であるレオポルト1世を囲む文字は「ベルギー初代国王レオポルト」を意味するラテン語。

裏の皇太子夫妻の面には「ブラバント公およびブラバント公妃8月21・22日」とデザインされています。

独立して間もないベルギー王国の勢力を誇示するがごとく、気品あふれる人物像と文字が印象に残ります。

希少性が高い!レオポルト1世100フラン金貨

ベルギー皇太子の結婚を記念して発行されたこちらのコイン、発行数はわずかに482枚!

入手が非情に難しいコインですが、抗しがたい魅力を持つ美しいコインであることは衆目の一致したところでしょう。

 

レオポルト1世100フラン金貨が作られた当時の時代背景(ベルギー)

北西ヨーロッパに位置するベルギー。ベルギー王国として独立したのは1831年、近代になって成立した若い国です。

しかし古代から欧州の要衝といわれたフランドル地方を抱えるベルギーは、現在もEUヨーロッパ連合の本部が置かれているなど、国際的にも重要な役割を果たしてきました。

日本の皇室とも縁が深いベルギー王室、その初代国王の時代をふりかえります。

ベルギー王国の成り立ち

ベルギーという国が成立したのは1831年ですが、紀元前57年のユリウス・カエサルの征服に始まり、ネーデルラントの南部にあるフランドル地方と呼ばれていましたが、「百年戦争」の一因となり、1384年からはブルゴーニュ公国となりました。その後16世紀ごろにはスペイン=ハプスブルク家の支配のもと、経済や文化が交流した地域でした。

1830年、フランスの七月革命の影響を受けてブリュッセルで暴動が発生、介入を試みたオランダ国王への反発から、ベルギーは王国として独立を果たすのです。

このとき国王として迎えられたのが、ドイツのザクセン・コーブルク家のレオポルトでした。イギリス王室、ハプスブルク家ともゆかりの深いレオポルトは、1831年のベルギー独立とともに、レオポルト1世として即位したのです。

老練な政治家であったレオポルト1世

本記事で紹介する100フラン金貨にデザインされたレオポルト1世は、額こそ少々広がっているものの、高いはなすじと引き締まった口許が魅力的な熟年の男性です。

19世紀、流動的で不安定であったヨーロッパにおいて、レオポルト1世はベルギーに介入を試みるオランダの勢力を撃退し、中立化の維持に成功するのです。また、王国内に鉄道を敷設したり産業の発展の後押しをするなど、外国から来た王であるにも関わらず、ベルギー国民の篤い支持を得ていました。

こうした国王としての力量は、100フラン金貨の横顔からも感じ取ることができます。

ヨーロッパの王室や皇室との婚姻

レオポルト1世はドイツ貴族ですが、英国のハノーヴァー王家の女婿であり(妻であったイギリス王女シャーロットは早逝)、ヴィクトリア女王の叔父でもあります。

息子のブラバント公レオポルドの妻として迎えたのは、ハプスブルク家のオーストリア大公の娘でしたが、自身の娘もハプスブルク家に輿入れさせるなど、ヨーロッパの名門との婚姻関係により、ベルギー王国の安定はさらにゆるぎないものとなったのです。

のちにレオポルド2世となるブラバント公と妃の仲は決して良好ではなかったようですが、この結婚がベルギーの安定を後押ししたことはまちがいないでしょう。

 

レオポルト1世100フラン金貨の現在の価格相場 

ベルギーで発行されたコインの中ではもっとも高名なレオポルド1世100フラン金貨、価格はどのくらいになるのでしょうか。ベルギー王国にとどまらず、19世紀のヨーロッパの歴史を語り継ぐ同コインの価格相場をご紹介いたします。

MS61

2020年1月13日に$11,400で落札。

 

SP63

2021年1月21日に$52,800で落札。

 

AU Details (Reverse Graffiti:裏側にいたずら書きあり)

パラマウントコレクションより。

2021年3月25日に$132,000で落札。

グレードだけ見れば状態は悪いのですが、「Specimen(試鋳貨)」ということに加え「パラマウントコレクション」という来歴により、付加価値がついて高額落札につながっています。

 

レオポルト1世 100フラン金貨(まとめ)

初代ベルギー国王レオポルド1世の時代に発行された100フラン金貨。当時の皇太子の結婚記念に発行されたこの金貨は、発行数が少ないため希少性が高いことで知られています。

ベルギーと欧州の政情安定のために尽くしたレオポルド1世と、10代の初々しい皇太子夫妻の横顔は、王室のメンバーにふさわしい品格をたたえています。

 

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