落札価格約10億円!?世界で最も価値の高いアンティーク・モダンコイン5選

 

世界各地で発行されたアンティークコインやモダンコインの中には、驚くような高値で落札されたコインがいくつか存在します。そのような高値がつくコインとはどのようなものなのでしょうか。

これまでに落札された世界のアンティークコインやモダンコインの中から最も価値の高いコイン5選を紹介します。

 

 

世界で最も価値の高いコイン5選

アンティークコイン投資やコレクションに関心のある人にとって、コインの落札価格は関心どころです。

 

ここでは、世界で落札されたアンティークコイン及びモダンコインの中で、最も落札価格の高いものを5つご紹介します。5つのコインの内、4つは米国、1つはカナダで発行されたものです。

 

1794年フローイング・ヘア・ダラー

▲1794年フローイング・ヘア・ダラー

 

フローイング・ヘア・ダラーは、1794年と1795年にアメリカ合衆国連邦政府の造幣局から発行された最初の1ドル銀貨です。

 

直径40㎝、重さ27g、銀の含有量90%、残りの10%は銅でできたコイン。表面には、髪を風にたなびかす自由の女神の横顔が彫り込まれ、コインの裏面にはイーグルの絵が彫刻されています。

 

アメリカ合衆国連邦政府によって発行されたアメリカの最初のコインということで、造幣局は(流通用ではなく)記念コインとして発行しました。1794年、1795年に発行されたフローイング・ヘア・ダラーの枚数は1758枚。現存しているものは、約120枚と推定されています。

 

非常に希少価値の高いコインですが、そのうち一番最初に試作品として鋳造された1794年フローイング・ヘア・ダラーは、保存状態がよく、2013年のニューヨークオークションで10,016,875ドル(当時のレートでは約12億円、現在のレートでは約10億円)で落札されました。

 

この1794年フローイング・ヘア・ダラーの落札価格は、これまで世界中で落札されたコインの中で最も高いものになっています。なお参考までに、「1794年フローイング・ヘア・ダラー」と同じデザインのコインは翌年の1795年にも発行されました。

 

ダブルイーグル金貨

▲1849年に発行された最初のダブルイーグル

 

ダブルイーグル金貨は、1849年から1933年の間に発行されたアメリカ合衆国の20ドル金貨です。金の含有率は90%、残りの10%は銅です。

 

ダブルイーグル金貨が作られる以前、アメリカ硬貨の価格として一番高いものは10ドル金貨で、通称「イーグル」と呼ばれていました。1849年に新しく作られた20ドル金貨は、10ドル金貨の2倍なので「ダブルイーグル」という呼び名が付けられたのです。

 

ダブルイーグル金貨は2種類のデザインがあります。

 

最初のタイプは、1849~1906年に発行されたもの。コインの表面には自由の女神の横顔が彫られ、裏面には左右に羽を広げたイーグルの絵が彫られています。

 

もう一方のタイプは、1907年~1933年にかけて発行されたダブルイーグル金貨で、表面には「右手にトーチを持ち左手にオリーブの枝を持った自由の女神の姿」が彫刻され、裏面に左を向くイーグルの姿が彫られています。

▲1907年~1933年まで発行されたダブルイーグル。

 

ダブルイーグル金貨のデザインが変更になった理由は、ルーズベルト大統領の希望によるものです。1904年にルーズベルト大統領がダブルイーグル金貨のデザインを刷新したいと要望し、彫刻家の「セント・ゴーデンス」に制作を依頼しました。そのため、1907年以降の新しいダブルイーグル金貨は、「セント・ゴーデンス・ダブルイーグル」とも呼ばれます。

 

直近では2002年に落札されており、1933年発行のダブルイーグル金貨が7,590,020ドル(約7億9千万円)をつけています。

 

1787年ブラッシャーダブロン

アメリカでは、1792年に造幣局が設立しました。しかし、その5年前の1787年に、金銀細工師エクレイム・ブラッシャーがアメリカで初めての金貨を制作し、世に出しています。

 

このとき発行された金貨が「1787年ブラッシャーダブロン」です。発行枚数は知られていませんが、現存が確認されているのは7枚のみ。表には「山の上から太陽が昇る様子」が彫られ、裏にはイーグルの絵が彫刻されています。

 

現存の7枚のコインの内、6枚にはイーグルの翼に作者ブラッシャーのイニシャルである「EB」の文字が刻まれています。そして残りの1枚にはイーグルの胸にイニシャルが刻印されています。

 

この胸にイニシャルが刻印されたコインは「1787年ブラッシャーダブロン」の中でも一番最初に作られたものです。

イーグルの胸の上にイニシャルを刻印するとコインの反対側にもなんらかの影響が出てしまうことがわかったため、それ以降は翼の所に刻印するようになったと言われています。

 

つまり胸にイニシャルが刻印されている「1787年ブラッシャーダブロン」は現在1枚しかないため、価値は非常に高く、2011年に7,400,000ドル(約7億7千万円)で落札されています。

 

ちなみに、翼にイニシャルが刻印されたものは、2018年に5,000,000ドル(約5億2千万円)で落札されたものが最高価格となっています。

 

1913年リバティヘッド

リバティヘッドは、アメリカの5セントコインです。表に自由の女神の横顔が彫られ、裏の中央には5を意味するギリシャ文字「V」がデザインされています。

 

リバティヘッドの製造が始まったのは1883年。予定では1912年にリバティヘッドの発行は終了し、1913年からは「インディアンヘッド」に変更されているはずでした。ところが1913年に、ごく少数ですがリバティヘッドが発行されていたのです。

 

現在、所在がわかっている1913年のリバティヘッドはわずか5枚しかありません。その内、2枚は博物館で保存されているため、個人が持っているのは3枚のみになります。

 

この3枚の内、「エイアスバーグ・スペシメン」はグレードが66で品質的に最も高く評価され、2007年に5,000,000ドル(約5億2千万円)で落札されています。

 

これとは別にもう一つ特記したい1913年リバティヘッドのスペシメンがあります。それは「オルセン・スペシメン」です。このスペシメンはグレードでは64と、エイアスバーグ・スペシメンよりも下になるのですが、1973年にアメリカのテレビドラマ「ハワイファイブオー」に登場したことから一躍有名になりました。2010年に、3,700,000ドル(約3億8千万円)で落札されています。

 

ゴールドカナディアンメープルリーフ(1億円)

ゴールドカナディアンメープルリーフ(1億円)は、カナダの造幣局が2007年に発行した世界でも珍しい1億ドルの金貨です。

 

直径50㎝、厚さ3㎝、重さ100㎏という巨大コインで「ビッグメープルリーフ」の名前でも知られています。その大きさから、2007年、「世界で最も大きな金貨」としてギネスブックにも載りました。

 

表には英国のエリザベス女王の横顔が彫られ、裏にはカナダの象徴であるメープル(カエデ)の葉がデザインされています。カナダは独立国ですが、以前は英国の植民地であり、今でも英国と強いつながりを持っているため、エリザベス女王がモチーフとして使われています。

 

このコインに彫刻された女王は王冠をかぶっていないのですが、それは成熟し魅力あふれる女王の姿を表現したかったからだと言われています。

 

ゴールドカナディアンメープルリーフ(1億円)は、金の含有量99.99%の純金。流通金貨ではなく、純金の金貨「カナダメープルリーフ1オンス金貨」の発行に伴い、その宣伝用に発行されたもので、2020年5月時点で6枚のみ購入されています。

 

この内1枚はドイツの博物館から盗まれ所在不明。別の1枚は2010年にオークションにかけられ4,020,000ドル(約4億2千万円)で落札されました。

 

まとめ

世界で最も値段の高いアンティークコイン、モダンコインの中から5つを選んで紹介しました。これらすべてが北アメリカで発行されているのは興味深いことですが、それだけこの地域のコイン収集また投資への関心が高いということになるのかもしれません。

 

今回ご紹介したどのコインにも魅力的なストーリーがあり、その一つ一つを知ることは趣味としてのアンティークコイン、モダンコインの醍醐味だと言えるのではないでしょうか。

 

<参考>