落札価格1億円超え!?第6回MDCオークション(モナコ)の結果レビューまとめ
2020年10月29日、モナコ。第6回MDCオークションが開催されました。
今回のオークションは、ワールドレコードが続出するほどの盛り上がりが見られました。しかし、遠く離れた日本では、その情報がなかなか入手しにくいかもしれません。
そこで今回は、第6回MDCオークションのレビューをお伝えしていきます。これからのアンティークコイン市場が見逃せない結果となっているため、ぜひ最後までご覧ください。
第6回MDCオークションのまとめ
結論からいうと、第6回MDC オークションは、とても調子のいいオークションとなりました。特に、押さえておきたいポイントは以下の3つです。
- 落札価格は、ワールドレコードが続出
- 相場も上り調子
- ハイグレードのコインには高値がつく傾向がある
今回のオークションでは、全体的に高値がついた傾向にあり、とくにハイグレード品は価格の上昇が見られました。中でもどのようなコインが注目を浴びたのか気になると思いますので、もっと詳しくお伝えしていきます。
第6回MDCオークションで注目度の高かった4つのアンティークコインの落札結果
まずは、第6回MDCオークションで注目度の高かった4つのアンティークコインをご紹介します。この4つのコインがどのような特徴をもつのか、そしてどのような価格で落札されたかを知ることによって、今回のオークションの傾向も掴めるため、ぜひ参考にしてください。
1枚目:1817年 ジョージ3世 クラウン インコラプタ PR65 UCAM(Lot.792)
第6回MDCオークションで注目度の高かったアンティークコインの1つ目は、Lot.792の1817年につくられたジョージ3世 クラウン インコラプタ PR65 UCAMです。
このコインは、30万ユーロでスタートし、落札価格は48万ユーロとなりました。これに加え、BP(バイアスプレミアム)と呼ばれるオークションハウスにかかる手数料をおよそ20%ほど支払わなければなりません。そのため、支払金額は57.6万ユーロとなりました。日本円に換算するとおよそ7,000万円です。
2枚目:1826年 ジョージ4世 5ポンド PR66+ UCAM(Lot.802)
第6回MDCオークションで注目度の高かったアンティークコインの2つ目は、Lot.802の1826年 ジョージ4世 5ポンド PR66+ UCAMです。このコインは20万ユーロからスタートし、34万ユーロで落札されました。もちろんBPもかかるため、合計40.8万ユーロとなります。日本円に換算するとおよそ5,000万円です。
3枚目:1831年 ジョージ4世 5ポンド パターン PR66+(Lot.805)
第6回MDCオークションで注目度の高かったアンティークコインの3つ目は、Lot.805の1831年 ジョージ4世 5ポンド パターン PR66+です。
このコインは50万ユーロで始まり、82万ユーロで落札されました。BPを含めた価格を計算すると98.4万ユーロです。日本円に換算すると、なんと約1億2,000万円にも昇ります。大台を超えるコインが現れました。
4枚目:1839年 ヴィクトリア女王 5ポンド ウナライオン PR66 UCAM(Lot.807)
第6回MDCオークションで注目度の高かったアンティークコインの4つ目は、Lot.807の1839年 ヴィクトリア女王 5ポンド ウナライオン PR66 UCAMです。
ウナライオンのコインはやはり、今回も注目を集めていました。さらに、このコインは、UCAM(ウルトラカメオ)と呼ばれる最高鑑定品でもあります。UCAMとは、コインの型で最初に鋳造されたものを指します。
50万ユーロでスタートし、82万ユーロで落札されました。BPを含めると98.4万ユーロとなります。日本円に換算すると約1億2,000万円。先ほどのLot.805と同じ結果になりました。
今回のオークションは特別なシステムが採用されており、ウナライオンは単品の出品だけでなく、セットでの出品も行われました。具体的には、「Lot.807~814の1839年ウナライオンセット」がLot.815として出品されていたのです。
もし、Lot.807~814がそれぞれ単品で落札された金額の合計よりも高い金額でLot.815に入札すれば「Lot.807~814の1839年ウナライオン」が全て手に入るというルールです。
今回のオークションでは、このセットは落札されませんでしたが、資金力がある人にとってはとてもありがたい制度ですね。
今回のオークションで、ウナライオンの最高グレードが約1億2,000万円となりました。実は、これはウナライオンの最高価格が半年で約20%上がったとも言える価格です。
というのも、2020年5月3日に日本で行われた泰星オークションでは、PR65UCAMのウナライオンが出品されていました。これは、今回出品されているPR66のウナライオンよりも1つ下のグレードです。1つ下のグレードとはいえ、PR66もPR65も残存枚数は1枚で、どちらも希少性が高いものです。
このPR65UCAMのウナライオンは、泰星オークションでBP込みで9,947万5,000円で落札されました。今回、ウナライオンにはこの価格の約20%を超える約1億2,000万円という価格がついたのです。たしかに、グレードの差があるものの、たった半年で20%もの値上がりが起きています。
第6回MDCオークションではワールドレコード続出
先ほど、ウナライオンの価格が上がったと申し上げましたが、第6回MDCオークションではウナライオンに限らず多くのコインの価格が上昇しました。ワールドレコードが出たコインも少なくありません。
ワールドレコードが出たコインの例を挙げると、トレードダラーと呼ばれる貿易銀。このコインは、1873年から1885年にかけてアメリカで製造されていた1ドル銀貨です。今回のオークションでは、Lot.817に貿易銀の金打ちが出品されていました。
30万ユーロからスタートし、38万ユーロで落札。BPを含めると45万6,000ユーロとなります。日本円に換算すると約5,560万円です。実はこちらのコイン、5年前に行われた香港のオークションの時と比べて、2倍の価格になっています。
ウナライオンや貿易銀に限った話でなく、コイン市場はどんどん価値が上がり続けています。ナポレオンのコインにも約9,000万円の価格がつきました。様々なコインから価格が高騰しているのが読み取れます。
ハイグレードなアンティークコインが人気
盛り上がりを見せるコイン市場ですが、その中でもハイグレード品は特に人気があります。それが読み取れる第6回MDCオークションの例を挙げましょう。
Lot.816の1839年 ヴィクトリア女王 5ポンド金貨 ウナライオン PR62+ UCAMは、15万ユーロスタートで最終的に30万ユーロで落札されました。BP込みで36万ユーロ、日本円に換算すると約4,400万円です。先ほどご紹介したLot.807の1839年 ヴィクトリア女王 5ポンド ウナライオン PR66 UCAMは、約1億2,000万円もの価格がつきました。
この2つは同じコインなので、大きな違いは「グレード」。にもかかわらず、PR62は約4,400万円、PR66は約1億2,000万円という2倍強もの差がついています。
ただ、PR62は残存枚数7枚に対して、PR66は1枚しか残っていないため、希少性という点で価格差がついたとも考えられます。しかし、同じコインならば圧倒的にハイグレードなものの方が価値が高いのです。
ハイグレードで希少性の高いコインは、今後も価格上昇が期待できるでしょう。「どうせ買うなら良いグレードのものが欲しい」と思うのはみな同じです。
とはいえ、「ハイグレードでないコインは価値がないのか…」と落胆する必要はありません。ヴィクトリア女王のジュビリーヘッド金貨のMS63は今回約70万円という価格がつきました。少し前であれば4,50万、下手したら30万円程度のものだったのです。ハイグレードで希少性の高いコインに引っ張られて、コイン全体の価格が上がっているといっていいでしょう。
まとめ:第6回MDCオークション振り返り
今回は、第6回MDCオークションのレビューをお伝えしました。今回のオークションはとても調子がよく、相場も上がっていました。中でもハイグレード品は多くの人に求められ、価格が高くなる傾向です。トレードダラーを始めとした多くのコインがワールドレコードを更新しています。
これからのアンティークコイン市場が見逃せない結果となりましたね。アンティークコインに興味がある方は、ぜひ、一度オークションに参加してみてください。