ブリオン・シャーク:クラシックでモダンなシルバーアメリカンクオーター(25セント硬貨)の収集
ブリオン・シャーク:クラシックでモダンなシルバーアメリカンクオーターの収集
2020年7月27日 ブリオン・シャークによる
米国造幣局は1792年に設立され、その年にコインの造幣を開始しました。最初の定期発行通貨が製造されたのは1793年でした。しかしながら、スペイン植民地時代のコインであるリアルがアメリカで流通しており商業的な「ニッチ」であるクオーターコインの流通を補填していたため、最初のクオータードルが発行されたのは1796年です。1リアルは、8リアルコインを8分割したもので、それぞれが12と1/2セントに値しました。それら2つ、つまり2ビットで、4/1ドルの価値がありました。
初期のクラシッククオーター:1796-1930
1796年から1964年まで、クオーターは90%の銀と10%の銅で作られて流通していました。その後もこれらのコインは同様の合金で作られ、1年に1度のプルーフセットや他の収集家向けコインとして製造されました。
最初のクオーターは、表面に右向きの自由の女神の胸像(bust of Liberty)、裏面に小さな鷲が描かれたドレープド・バスト・デザイン(Draped Bust design)を使用していました。これらのコインは1796年にのみ発行されました。1804年から1807年にかけては、裏側がより大きな紋章鷲のデザインになりました。その後1815年から1838年にかけてクオーターは、表面が帽子を被った自由の女神の胸像、裏面には矢とオリーブの枝を爪に掴んだ鷲という、新しいデザインとなりました。1831年にはコインの直径が縮小されました。
その後1838年から1891年まで、座った自由の女神が描かれたクオーターが発行されました。流れるようなドレスを着てフリジア(Phrygian)帽を被った自由の女神は石の上に座っており、片手にはリバティー・ポール(Liberty pole)、もう片方の手に「自由(Liberty)」と書かれた縞模様の盾を持っているのが特徴です。これらのクオーターには5つの主要なサブタイプが存在します。
チャールズ・バーバー(Charles Barber)は、1892年に登場したダイム(dimes)、クオーター(quarters)、ハーフ(halves)をデザインしました。月桂樹とフリジア帽を被り、額のバンドにLIBERTY(自由)の文字が描かれた右向きの自由の女神像が特徴です。女神の右側に6つの星、左側に7つの星が描かれています。裏側は矢とオリーブの枝を爪に掴んだ紋章の鷲が描かれており、戦争へ向けた準備中でありながらも平和への希望を象徴しています。これらのコインは1916年までフィラデルフィア、デンバー、ニューオーリンズ、サンフランシスコの造幣局支店で毎年発行され(各支店で毎年というわけではありません)、1950年代まで流通し続けました。
流通したバーバーのクオーターのロールは、コインそのものに含まれる銀の価値の約2倍になります。
1916スタンディング・リバティー・クオーター、画像合成:コインウィーク
セオドア・ルーズベルト大統領の有名なアメリカ貨幣「ルネサンス」から生まれたコインの1つは、彫刻家であるハーモン・A・マクウェル(Hermon A. MacNeil)によってデザインされたスタンディング・リバーティー・クオーター(Standing Liberty Quarter)です。東向きに顔を向け、左手で盾を持ち上げ、右手にオリーブの枝を持った自由の女神像が特徴です。裏側には羽をいっぱいに伸ばした鷲が描かれています。
このデザインは、自由の女神が平和を望みつつも、ヨーロッパで発生している問題から身を守るための準備をしている様子が描かれています。1916年から1930年(1922年を除く)にかけて発行され、2タイプのデザインがあります。1つ目は1916年と1917年に発行された自由の女神の1つの胸が露出しているタイプのもの、2つ目は1917年後半に登場した、自由の女神の胸が鎖帷子で覆われているタイプのものです。
流通したスタンディング・リバティー・クオーターのロールも、スポットバリューの約2倍です。
ワシントン・クオーター:1932年−現在
ワシントン・クオーター(Washington Quarters)はもともと、ワシントンの生誕1732年からの200周年を記念して作られたコインで、1932年に登場しました。表側にはニュージャージーの彫刻家であるジョン・F・フラナガン(John F. Flanagan)によってデザインされた左向きのジョージ・ワシントン大統領の胸像が描かれています。1964年までに発行されたコインは、以前のクオーター同様、90%が銀で、10%が銅でできています。それ以降のコインは、キュプロニッケル組成として知られる、75%銅-10%ニッケルの合金と99.5%銅コアで作られています。
ミント・ステート(未使用)の1932-D ワシントン・クオーター
裏側のデザインは、羽を伸ばし矢の束にとまる鷲が特徴です。このデザインは、アール・デコを代表するスタイルだと考えられています。米国の200周年記念で裏側に植民地時代のドラマーが描かれた1年限定のコインを除き、1976年まで変更されることなく発行されました。1975年にはコインの発行はありませんでした。
その後当コインシリーズは50ステート・クオーターシリーズが登場する1999年まで1932年のオリジナルデザインを利用し続けました。これは各コインの裏側に新しいデザインが用いられた、最初のモダンな流通コインプログラムでした。このコインシリーズは、2008年までに各州で1つずつ、米国憲法を批准したまたは連合に認められた順で、クオーターが発行されました。
2009年に、州ごとのクオーターコインに続きコロンビア特別区と5つの米国領土のためのコインが発行されました。
2010年には、美しいアメリカ(the America the Beautiful)シリーズとして、国立公園と各州の主要な史跡を記念した新しいコインシリーズが発表されました。これらのコインは5オンスの銀バージョンと、蒸気噴射仕上げで「P」のフィラデルフィア造幣局のミントマークが付いたバージョンでも発行されました。フィラデルフィア堂閉局ではすべてのATBシルバーコインが生産されています。このシリーズの最後となる56枚目のコインは、2021年初頭に発行される予定です。
シルバーバージョンは、毎年収集するコレクター向けに引き続き生産されます。2018年までは1965年以前のクオーターと同じ組成で作られていましたが、現在は.999のファインシルバーで作られています。
2019年には、2019年の5つのコインのそれぞれ200万枚に、ウェスト・ポイント造幣局の「W」のミントマークを付けて発行し、クオーターのコレクターを喜ばせました。それらのコインは流通でのみ入手が可能です。
シルバー・クオーターの価値はいくら?
1964年までに発行された90%シルバー・クオーターの価値は、以前よりもはるかに変化する頻度は少ないものの、まだ時々変化が見られます。
2020アメリカ ミント・シルバー・プルーフセット
1オンス18ドルの今日のスポット価格で、これらのコインの1つは約.18オンスの純銀の重量に基づき約3.30の銀としての価値を持っています。流通していない40のクオーターのロールは、今日では200ドルで購入することができます。
ワシントン・シルバー・クオーターの価値は、コインの発行年と状態によって大きく異なります。流通した希少コインと古いコイン、そして最近発行された流通していないコインのコンプリートセットは、650ドルで入手できます。
一方で、MS63コインの見事なグレードセットは、ほぼ10倍の6,000ドルで購入でき、そこには1937、1942-D、1943-S、ダブル・ダイ・オブバース(Double Die Obverse: DDO)などの多様なコインは含まれていません。これらの多様なコインを追加すると、当グレードセットは約30,000ドルになります。
クラッド・コイン(別の金属でコーティングされたコイン)で、ハイグレードなもの以外であれば、はるかに手頃な価格で入手でき、ほとんどの発行年のものがまだ流通しています。
1964シルバー・クオーター
最後に造幣されたシルバー・クオーターである1964年発行のクオーターは、MS63では10ドルですが、MS67では850ドルになります。
1964コインの興味深い点は、フィラデルフィア造幣局がコイン不足のために1965年の初めにコインを造幣し続けていた際、当時の造幣局長であるエヴァ・アダムス(Eva Adams)はコイン不足が収集家達のせいであるとして彼らを非難したのです。そして1965年にはサンフランシスコ造幣局はミントマークのない1964クオーターを1500万枚生産、1966年初めには更に4,640,865枚の1964コインを生産しました。これらは全て、米国造幣局からの発行年凍結命令によるものでした。
1967シルバー・クオーター
1967クラッド・クオーターは15億枚以上生産され、1965年以降のシリーズの中で2番目に多い生産量を誇ります。そして1967年クラッド・クオーターはMS67コインで160ドル、トップグレードのMS68であれば6,000ドル以上の価値があります。
しかしながら、この年は、サンフランシスコ造幣局によるプルーフ・セットの代わりに、ミントマークのないスペシャル・ミント・セット(Special Mint Sets)が発行された年でもあります。SMSコインは部分的に鏡面になっていますが、1967レギュラーコインの高品質のものととてもよく似ています。
ワシントン・クオーターシリーズは、シルバーコインの収集だけでなく、1965年以降の銅ニッケルで作られた様々なデザインのコインの収集においても楽しいものです。あなたがお釣りで高品質なコインをもらう幸運に恵まれているのであれば特に。
本記事は、『COINWEEK』の翻訳記事です(掲載許可有り)。元記事は以下のリンクより確認できます。
参考:https://coinweek.com/us-coins/bullion-shark-collecting-classic-modern-and-silver-american-quarters/