アンティークコインVSモダンコインコレクション-どちらも収集の価値あり
コイン収集を積極的に行う人たちのコミュニティーには、アンティーク(クラシック)コインを主な収集の対象とするグループと、モダンコインが主体のグループ、そしてどちらのコインの収集も行うグループがあります。
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本コラム上の、アンティークコインとモダンコインの違い
アンティークコインについて
本コラムでは、モーガン・ダラーやピースダラー、ウォーキングリバティハーフダラー、バーバーコイン、スタンディングリバティクオーターなどの第二次世界大戦前に発行されたもの、そしてさらに前のバストリバティシリーズやリバティシーテッドシリーズアメリカコインなどのことをアンティークコインとします。実は、古代、中世、その他の古いコインもアンティークコインに含まれてはいるのですが、残念ながら私はこの分野にはそこまで精通していません。そのため、ここでのアンティークの定義をアンティーク、あるいはトラディショナルコレクターコインと呼ばれることの多い、アメリカのコインに限らせていただきたいのです。
モダンコインについて
また、モダンコインについては、第二次世界大戦後に発行された、記念コイン、アメリカンイーグルのプルーフ貨幣やミントセット、そしてこの時期の流通貨幣とします。アンティークコインの冷え込み
私のようにアンティークとモダンコインのはざまを行き来しているコレクターがかなりいることは確かです。けれどもその一方で、このどちらかを専門とする人の間にも、境界線らしきものが存在する傾向にあります。アンティークアメリカコインに長く携わっている専門家が、モダンコイン収集を時間とお金の浪費だとして馬鹿にする、というのはよくある話でした。
最近は、現代アメリカ造幣局製品に高値が付き、中古品の売り込みが過熱していると耳にするのも普通になっているのですが、モダンコインについてのアンティークコインコレクター達の見方はさらに素っ気ないものです。特にカラーコインはなおさらです。
実はこの数年で、アメリカコイン市場のアンティーク部門を冷え込ませるような流れがいくつか起こっています。もちろん、超高額希少コインは例外で、いつでも需要が高いようですが。
モダンコインへの需要の高まり
さて、アンティーク分野に陰りをもたらしたものの1つにまず挙げられるのは、アンティークコインを長年収集していたコレクター達の多くが年を取り、もしくは亡くなるなどしている一方で、新たなコレクター達のモダンコインシリーズへの関心が高いということです。アンティークコインコレクターの売却
2つ目は、多くのアンティークコインシリーズと、それらシリーズの中でも入手困難な鋳造年のコインの価格が落ち、関心が薄れる傾向にあることです。その原因は前述の通り、コレクターの人口構造に変化が生じたこと、また、近年の経済的混乱のため多くのコレクターがやむを得ずコレクションを売却することとなったことです。
極めてグレードの高いものは例外となることも多いですが、総合的に見てもアンティーク分野はかなり大きなバーゲン状態となっています。近年価格が安定していたか、下がったもので、鋳造数の少ない、入手困難な鋳造年のコインなどがその対象です。また、中間レベルのモーガン・ダラーの多くについて、ほとんどの専門家はその評価額が低くなっているとしています。さらに、1892~1954年の間に鋳造されたアンティークの5ドル記念コインなどのシリーズにもその価値が大きく下げられているものがあります。1980年代に市場が賑わっていた頃と比べても、数年前の価格と比べてもその価値は低く見積もられています。
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モダンコインコレクターの増加
コレクターが増加する中でも、モダンコインの人気は、特に最近のコレクターに高いと言えますが、その理由はそれぞれ異なります。初級・中級コレクターの多くはアンティークシリーズの収集に慎重になっている傾向にあります。彼らの予算は限られているし、貨幣知識の発展段階にあることがその理由でしょう。その点、モダンコインなら入手がより簡単なようですし、モダンコインシリーズもかなり簡単に全て集めることができます。
一方、アンティークコインコレクターの主張の大部分は、より興味がそそられるし魅力的だというものです。アンティークの方が歴史も深く、実績があり、そのおかげで価格もより安定しています。本格的なコレクターのコミュニティーの高齢化が進んでいるとしても、何百万というコレクターがアンティークシリーズを求めているし、この先も常にそうでしょう。おそらくこの最たるものがモーガン・ダラーです。
また、誰かがアンティークコインの大きなコレクションを史上最高値で買った場合、その投資の大部分の回収もできない可能性もありますが、それは究極のケースです。アンティークコインは、評判の良い、しっかりとした知識を持ったディーラーを介して慎重に購入していれば間違いないでしょう。
1980年代後半に起こった市場の狂乱について興味深いのは、当時の全ての取引コインの価値が下がったわけではないということです。実際にかなり下がったのは、グレードの高い通常発行ドル銀貨や、MS65ランクのインディアン10ドル金貨のような品位の高さを持つ1933年以前のハイグレード金貨のような特定のコインでしょう。いくつか例外はあるものの、グレード付けが確かで質の良いコインは、ほとんどの場合、その後数十年たっても高評価を維持しています。
事実、スコット・トラバーズは2月発行の雑誌Coinage(コインエイジ)で次のように書いています。最近新たにできたコイン投資ファンドならアンティークコインの価値をこれまでにないところまで高められる可能性があるというのです。
バーバー25セントコインや、MSおよびPF64~67ランクの5ドルコイン、MSおよびPF65ランクのリバティシーテッド25ドル・5ドルコインについて、彼は過小評価されているとしています。けれどもコイン投資ファンドが大量に買い求めることになるような種類であることから、現在の市場で買うには良いでしょうと述べています。
コレクションの面白みをどこに置くか
アンティークコインについて、コレクターが二の足を踏むもう一つの原因は、アンティークコインの収集には、膨大な資料と時間と、研究が必要になることです。グレード、種類、オーバーデートコイン、刻印の特徴など多くの事を学ばなくてはなりません。私としては、それこそがアンティークコイン収集の魅力の一つだと思います。集めていくうちに、アメリカの歴史、貨幣、経済、芸術など本当に多くのことを学ぶことができるのです。
モダンコイン収集もまた、極めて価値のある体験ができることは確かです。経済的な理由だけでなく、最新のアイテムや鋳造数の少ないアイテムの入手が可能で、売却してもそれなりの儲けがあるからです。この数年でアメリカ造幣局は非常に面白いコインを数多く発売しています。2009年のウルトラハイレリーフイーグル金貨やリバースプルーフアメリカンイーグル銀貨、アメリカンパラジウムイーグルなどです。これらのコインと、その強固な流通市場の流れは明らかにモダンコインへの関心に拍車をかけています。
徐々に複雑になりつつあるモダンコイン市場
さらに、モダンコインは市場においてもより複雑な構造になってきています。エラーコインや二重刻印コインを除き、モダンコインでは鋳造枚数が非常に重要になっています。タイミングが良くさらに正確なデータを取得するのはとても煩わしいものです。アメリカ造幣局は最終シリーズの発売まで時間がかかり、鋳造量の調整を行うので、敏感なコレクターはウェブサイトに頼らざるを得ません。
サイトでは、どれくらいの鋳造量が鋳造確定となるか把握できるよう、毎週販売レベルを提供してくれます。そのうえ、レッドブック(アメリカコインのガイドブック)のようなコレクターが最も崇拝し、利用する資料は、最新データを乗せるには出版に時間がかかるし、誤情報もよく掲載されているのです。
こういったことが、アメリカ造幣局からの情報入手の遅れが一部原因となっていることは間違いありません。私が理解できないのは、コイン発行の1年後でも、それ以降になったとしても、なぜ正確な情報を載せた紙ベースの資料を出版しないのかということです。コインに関する本の出版社やカタログ業者は、そういった資料の需要があることに気付いていると願いたいものです。 最後になりますが、どんなコインを収集するにしても、楽しみ、研究し、購入の際はじっくり時間をかけ得てください。アルバムに最初の一つをはめ込んだことで満足するのではなく、所有していることを誇りに思えるようにです。のちのち、努力をして良かったと感じるようになるはずです。