ジョージ2世の5ギニー金貨とは?戦場で指揮した最後の王と彼の栄光を表象するアンティークコイン

ヨーロッパの王室のメンバーは、伝統的に先祖の名前を踏襲する風習があります。

現在のイギリス王室のウィリアム王子の長子が「ジョージ」という名前であることは、皆様もご存じの事実。彼が将来英国王となると、「ジョージ7世」となります。

英国王室に伝わるジョージという名前は、1714年のジョージ1世の戴冠に端を発しています。今回ご紹介するジョージ2世は、ジョージ1世の長男です。その彼の時代に発行された5ギニー金貨は、欧州内のみならず世界的にも人気のコインです。

本記事では、ジョージ二世の5ギニー金貨について、詳細をお伝えいたします。

 

 

ジョージ2世 5ギニー金貨

 george ii young

 ▲ヤングポートレート:1729-1741年

george ii old

▲オールドポートレート:1746-1753年

 

基本データ

コイン名 イギリス ジョージ2世 5ギニー金貨 ヤングポートレート・オールドポートレート
通称 5ギニー
発行年 ヤング:1729-1741年|オールド:1746-1753年
イギリス
額面 5ギニー
種類 金貨
素材
発行枚数 -
品位 Au916
直径 31.7mm
重さ 41.9g
統治者 ジョージ2世
デザイナー John Croker(ヤング表裏・オールド裏)|John Tanner(オールド表)
KM ヤング:# 571・Sp# 3663/4|オールド:# 586・Sp# 3665/6
表面のデザイン 左向きのジョージ2世
表面の刻印 GEORGVS·II· DEI·GRATIA·E.I.C(George the Second by the Grace of God:神の寵愛を受けるジョージ2世)
裏面のデザイン 4つに分かれた盾の上に王冠、日付とレジェンド
裏面の刻印 M·B·F·ET·H·REX·F·D·B·ET·L·D·S·R·I·A·T·ET·E·17 29·(King of Great Britain, France and Ireland, Defender of the Faith, Duke of Brunswick and Lueneburg, Arch Treasurer and Elector of the Holy Roman Empire:ブリテンとフランスおよびアイルランドの国王、信仰の擁護者、ブランズウィックおよびルーエネブルク公、大蔵卿、神聖ローマ帝国選帝侯)
エッジのタイプ -
エッジの刻印 TERTIO(1727年10月にイギリス国王となったジョージ2世の治世「3年目」であることを示している)

 

ジョージ2世 5ギニー金貨ってどんな金貨?

1729年に発行されたジョージ2世の5ギニー金貨とは、どんな特徴があるのでしょうか。
この時代のイギリスの金貨は、当時上昇気流に乗っていた国際関係における同国の勢力を象徴しているといっても過言ではありません。そして本日ご紹介するジョージ2世の5ギニー金貨にも、当時の世情が刻み込まれているのです。
その特徴と魅力についてご紹介いたします。

5ギニー金貨に刻まれた文字

1729年に発行された5ギニーには、1727年から1760年までイギリスを統治していたジョージ2世の横顔、そして彼の紋章が描かれています。

表面に刻まれたジョージ2世は月桂冠を戴いた左向きに描かれ、当時の貴族の風俗に忠実に豊かな巻き毛が頭部を覆っています。
肖像を取り巻く文字は「GEORGIVS.II. DEI.GRATIA(神の祝福を受けた王ジョージ2世)」。
そして、下部には「EIC」と小さく刻まれています。
「EIC」は「East India Company(東インド会社)」の略です。
ちなみに、ギニー金貨とはアフリカ西海岸に位置するギニア産の金を使用して作られたためこの名があり、東インド会社によってもたらされた金であることを意味しています。

世界史に詳しくない人でも、東インド会社という名前は耳にしたことがあるかもしれません。東インド会社とは、1600年から1858年までアジアの交易やインドの支配を行った、イギリスの特権的な会社の名称です。
この東インド会社が当時のイギリスの経済にもたらした影響は、多大なものがありました。ジョージ2世の時代に発行された金貨にまで、その名が刻まれたことでもその影響力は明らかです。

裏面の紋章が示すものとは

ジョージ2世の5ギニー金貨の裏には、非常に複雑なデザインの紋章を見ることができます。
この紋章をよく見ると四等分されており、それぞれに異なるデザインが施されています。
左上から、グレートブリテン、フランス、アイルランド、ハノーヴァー選帝侯の紋章となっており、紋章を取り巻く文字もそれぞれの国名をラテン語で表記したものです。。

さらにコインのエッジの部分には「TERITIO」の文字があり、これは1727年10月に英国王となったジョージ2世の治世「3年目」であることを示しています。

デザインを担当したのはドイツ人!

のちほど解説しますが、ジョージ2世はドイツのハノーヴァー家出身。
そのためか5ギニー金貨のデザインをしたのも、ドイツ生まれのジョン・クローカー(ドイツ名はヨハネス・クローカー)でした。
1691年にイギリスにやってきたクローカーは、1697年にロイヤルミント(王室造幣局)のエングレーバーのアシスタントとなり、1705年には主任に就任。
数々のコインやメダルを世に送り出しています。

ジョージ2世 5ギニー金貨が作られた当時の時代背景

1710年頃のロンドン

▲1710年頃のロンドン

1729年に5ギニー金貨が発行された当時、イギリス王であったジョージ2世は46歳でした。長い歴史を誇るイギリス王室の中で、ジョージ2世はどんな役割を果たしたのでしょうか。また、当時のイギリスや世界情勢はどのようなものだったのでしょうか。

ジョージ2世の5ギニー金貨の生まれた時代背景に迫ってみましょう。

ドイツ生まれのドイツ人が英国王に!

ジョージ2世は1683年に、ドイツ中北部のハノーヴァーに生まれました。

イギリス王室はウィリアム1世征服王を輩出したノルマン家に始まり、現在のエリザベス2世のウィンザー家にいたるまで、直系の子孫が途切れるとイギリス王家の血を引く他家から跡継ぎを迎える慣習があります。

ジョージ2世の父ジョージ1世はこの慣例に従い、跡継ぎがいなかったスチュアート家のアン女王の跡を継ぎ、イギリス王となりました。ハノーヴァー選帝侯であったゲオルク(英国風に読むとジョージ)は英語に理解を示さず、代々のイギリス王たちの中でもあまり人気がない王様として知られています。

その息子であるジョージ2世もまた、ハノーヴァー生まれのドイツ人でした。

英国で不人気であった父ジョージ1世の跡を継いだジョージ2世。彼は運と才能に恵まれて、ハノーヴァー家出身の王としてなかなかの手腕を示しました。

軍人王として英国内の跡継ぎ論争に終止符を打つ

ジョージ1世は王妃であったジョージ2世の母を長年に渡って幽閉し、そのショックでジョージ2世は勉学にはほとんど身が入らなかったといわれています。

しかし歴史学と軍事学には非常にすぐれており、前王家であったスチュアート家との抗争においても、先陣に立って軍を指揮したと伝えられています。

直接軍隊を指揮した最後のイギリス王であったジョージ2世は、当時英国内で収拾がつかなかったカトリック派とプロテスタント派に別れた王室内の紛争に、力によって決着をつけ、国内の政情を安定に導きました。

ジョージ2世はまた、大変な音楽好きとしても知られています。有名な音楽家ヘンデルを宮廷楽長に任命し、「戦勝奉祝曲」なども作らせています。

妻と家臣に支えられて

ジョージ2世の王妃キャロライン・オブ・アーンズパック

ジョージ2世の王妃キャロライン・オブ・アーンズパック

 

ジョージ1世の家庭愛の薄さは、英国内における彼の不人気の要因にもなっていました。

しかしその息子であるジョージ2世は、幸いにして良き妻に恵まれます。

ジョージ2世と同じくドイツ貴族であった王妃キャロライン・オブ・アーンズパックは才色兼備の女性で、抜群の内助の功で夫を助け、英国民にも絶大な人気がありました。

王妃キャロラインは、宰相ロバート・ウォルポールとともに英国の内政を安定させ、ヨーロッパ諸国とイギリスの友好関係のために大きな役割を果たします。

英国で最初の「首相」とされるウォルポールは、18世紀イギリスに長期の平和を構築することに成功、その時代は「ウォルポールの平和」と讃えられることになります。

ジョージ2世自身の軍事力と廷臣たちの政治力によって、その治世に安定をもたらしたのでした。

18世紀後半、イギリスは産業革命の時代を迎え、経済的繁栄を享受します。

その時代に向けて、ジョージ2世の治世は上り坂の勢いを有していたともいえるでしょう。

ヨーロッパ中の王室に広がる閨閥

「有機と良識を併せ持つ王妃」と礼賛されたキャロライン王妃は、ジョージ2世に先立って1737年に死去します。

当時の王様の例にもれず、ジョージ2世も多くの愛人がいましたが、キャロライン王妃の死後は彼女への愛を誓い、その23年後の自身の死まで独身を貫きました。

ジョージ2世とキャロライン王妃の間には、3男5女が誕生しています。

その子供たちの婚姻によって、ジョージ2世の血はオランダ王室、デンマーク王室、ノルウェー王室、また現在の英国女王エリザベス2世の夫君、今は亡きエディンバラ公にも伝えられました。

まさに、華麗なる王家の血といった趣があります。

ジョージ2世 5ギニー金貨の現在の価格相場

18世紀のイギリスの反映を象徴するような、ジョージ二世の5ギニー金貨。

その価値はどのくらいあるのでしょうか。金貨そのものの価値、歴史的背景やジョージ2世という王の人気等も含め、5ギニー金貨の価格を見てみたいと思います。

貨幣の美しさ、ストーリー性は?

ジョージ2世の5ギニー金貨は、ロイヤルミントで活躍した彫刻師ジョン・クローカーによる緻密なデザインが特徴です。

ジョージ2世の巻き毛の一房、フェイスラインのリアリティにいたるまで、クローカーの卓越した腕前を実感することができます。

それは、裏面に彫られた複雑な紋章も同様。

洗練された美しさを持つ金貨として、コレクターたちの間でも人気があります

ジョージ2世自身はそれほど突出した存在感を放つ王ではないものの、産業革命の波に乗ろうとしていた上昇期のイギリスの王として、重要な位置づけにあることは衆目の一致するところです。

ジョージ2世 5ギニー金貨の相場

PR64+ Cameo 1731年 ヤングポートレート

PR64+ Cameo 1731年 ヤングポートレート

パラマウントコレクションより

2021年3月26日に$660,000で落札。

 

MS63 1741年 ヤングポートレート

MS63 1741年 ヤングポートレート

2022年1月10日に$156,000で落札。

 

AU58 1741年 ヤングポートレート

AU58 1741年 ヤングポートレート

 

2022年1月10日に$52,800で落札。

 

MS62 1753年 オールドポートレート

MS62 1753年 オールドポートレート

2021年8月19日に$96,000で落札。

 

MS61 1746(LIMA) オールドポートレート

MS61 1746(LIMA) オールドポートレート

2019年8月15日に$84,000で落札。

 

ジョージ2世 5ギニー金貨(まとめ)

ハノーヴァー王朝2代目のイギリス王ジョージ2世。

ドイツに生まれイギリス王となった彼は、戦場で軍隊の指揮をとった最後の王と呼ばれています。その力強さは、5ギニー金貨に彫られた端整な横顔からも察することができます。

1729年、王位に就いて3年目、40代半ばの壮年のジョージ2世の誇らしさが溢れている5ギニー金貨。そこにはヨーロッパでも屈指の名門である古都を誇る麗々しい紋章、英国の経済の繁栄を示す東インド会社の名も刻まれ、まさに歴史を語るコインといえるかもしれません。

産業革命の時代を迎えるイギリスの勢いとパワーを感じるジョージ2世の5ギニー金貨、ご興味のある方はぜひ、アンティークコインギャラリアにご相談ください。

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