世界一美しい鳥を描いた「極楽鳥 5マルク銀貨」、その特徴や時代背景、価格状況を徹底解説!
表面に美しい極楽鳥の絵を刻印した「極楽鳥5マルク銀貨」は、19世紀末にドイツ領ニューギニアで流通していたこのコインです。どのような特徴があり、どのような背景の下に作られたコインなのか解説していきます。また同時代に発行されたその他の極楽鳥コインも紹介し、併せて極楽鳥 5マルク銀貨の価格推移にもついてもお伝えします。
極楽鳥5マルク銀貨
基本データ
コイン名 | ドイツ領ニューギニア 極楽鳥 5マルク 銀貨 |
---|---|
通称 | 極楽鳥 5マルク 銀貨 |
発行年 | 1894年 |
国 | ドイツ領ニューギニア |
額面 | 5マルク |
種類 | 銀貨 |
素材 | 銀 |
発行枚数 | 23,000枚(うち、19,000枚は溶解されている) |
品位 | Sv900 |
直径 | 38.0 mm |
重さ | 27.77 g |
統治者 | ウィルヘルム2世 |
デザイナー | 表:Otto Schultz(オットー・シュルツ)|裏:Emil Weigand(エミール・ウェイガンド) |
KM | #7 |
表面のデザイン | 極楽鳥 |
表面の刻印 | - |
裏面のデザイン | ヤシの葉の装飾の内側に発行元と発行年 |
裏面の刻印 | NEU-GUINEA COMPAGNIE 5 NEU-GUINEA MARK 1894 A|ラテン語でニューギニアカンパニー 5ニューギニアマルク 1894年 A(ベルリンミント) |
エッジのタイプ | リーデッド |
エッジの刻印 | - |
極楽鳥 5マルク銀貨の特徴
ドイツ領ニューギニアで使われていた極楽鳥 5マルク銀貨の発行の状況とコインの形状、また表面・裏面のデザインについて解説します。
極楽鳥 5マルク銀貨の発行と形状
極楽鳥 5マルク銀貨はドイツ領ニューギニアで使われていたコインです。1894年に本国ドイツのベルリンで発行されましたが、翌年1895年には造幣が停止されました。当初23,000枚が造幣され発行されましたが、1911年に流通停止となり4,000枚が溶解されました。そのため、発行枚数として挙げられているのは残りの19,000枚となっています。極楽鳥 5マルク銀貨は直径が38㎜、重量が27.78gあるかなり大型で重さを感じさせられるコインです。
表面のデザイン
▲パプアニューギニアの国章
極楽鳥 5マルク銀貨の表面には極楽鳥が描かれています。コインに描かれた絵ではわかりませんが、極楽鳥はカラフルな色彩と扇のように広がる長い尾が特徴で、パプアニューギニアの国旗と国章にもモチーフとして使われています。極楽鳥はまた、ナショナルジオグラフィック出版の「極楽鳥全種」で「世界でいちばん美しい鳥」との副題がつけられています。
裏面のデザイン
裏面には額面の「5 New Gunea Mark 」と発行年代「1894」の文字が刻まれていて、それらの文字を囲むようにヤシの葉で作られた輪飾りが描かれています。裏面上部のエッジに沿って刻まれている「NEU-GUINE COMPAGNIE」の文字は極楽鳥 5マルク銀貨の発行会社ニューギニア会社のことです。
極楽鳥 銀貨が作られた当時の時代背景
ドイツで発行され、ドイツ領ニューギニアで流通貨幣として使われた極楽鳥 5マルク銀貨ですが、ではなぜ発行場所と流通場所が異なっているのでしょうか。発行までのいきさつをたどり当時の時代背景を探ってみたいと思います。
ドイツの支配下にあったニューギニア
ニューギニアは過去にさまざまな国の植民地として支配された歴史があります。極楽鳥 5マルク銀貨を含むいわゆる「ドイツ領ニューギニアコイン」が発行された当時、ニューギニアは3つの国に分割支配されていました。西部はオランダ、南東部はイギリス、そして北東部はドイツの支配下にありました。ドイツ政府は「ニューギニア会社(NEW-GUINEA COMPANIE)」を設立し、植民地の管轄をこの会社に委ねていました。
労働者への支払いを単一貨幣で統一
ニューギニア会社は、ニューギニアの植民地開発を進めるために、ジャバや中国、日本から労働者を雇い入れていました。当初、労働者への報酬は彼らの希望に合わせ、ジャバ人にはオランダ通貨で、中国人と日本人にはメキシコドルで支払っていました。さらに英国のコインも出回っていたため、当時のニューギニアではかなり複雑な通貨状況が続いていました。その問題を解決するために考案されたのがドイツ領ニューギニアコインだったのです。
ドイツ領ニューギニアコイン発行の条件
1891年、ニューギニア会社はこの通貨の発行を本国のドイツ政府に申請しました。これに対しドイツ政府は、次のような条件をつけました。
- ドイツで流通しているコインと同等の品質を保っていること
- ドイツの皇帝や国章をデザインとして使わないこと
- 造幣はドイツ本国のベルリンで行うこと
- コイン発行後、このコインと一部のドイツ貨幣以外はすべて排除すること
極楽鳥がモチーフに使われたのは、上述のようにドイツの皇帝や国章の使用が禁じられたためでした。ニューギニア会社が申し入れた通貨が発行されたのは3年後の1894年でした。このことからは、ドイツ政府がこのコインの発行にたいへん慎重になっていたことがうかがえます。
極楽鳥金貨もある?極楽鳥コインの種類
ドイツ領ニューギニアコインには、今回ご紹介している極楽鳥 5マルク銀貨の他にも8種類のコインが発行されています。表面・裏面とも額面の数字と単位が異なるだけで、デザインはすべて共通になっています。
銅貨
銅貨には1、2、10ペニヒがあり、どれも1894年に発行されました。10ペニヒは直径29.5mm、重量10gで、24,000枚発行されました。極楽鳥コレクションの入門コインとして人気があります。 写真は10ペニヒ銅貨です。
銀貨
銀貨には、1/2、1、2、5マルクの4種類があります。5マルクはすでに紹介したので、残りの3つのコインを紹介します。
1/2マルク銀貨
直径20㎜、重量2.7g。発行枚数は16,000枚です。
1マルク銀貨
直径24㎜、重量5.55g。発行枚数は33,000枚です。
2マルク銀貨
直径28㎜、重量11.3g。発行枚数13,000枚。
金貨
金貨には10マルクと20マルクの2種類があり、どちらも1895年に発行されました。
10マルク金貨
直径19.5㎜、重量3.98g。発行枚数は2,000枚です。
20マルク金貨
ドイツ領ニューギニアコインの中で最も額面の高いコインです。
直径22.5㎜、重量7.96g。発行枚数は1,500枚です。
このように、極楽鳥の金貨は、全体として発行枚数が大変少なく希少性が高いため、銀貨に比べると手に入りにくくなっています。
極楽鳥 銀貨の価格推移
極楽鳥 5マルク銀貨の落札価格推移を見ていきましょう。
MS64
2022年8月25日に$9,600で落札。
PF63
2021年8月25日に$19,200で落札。
パラマウントコレクションより
PR64
2022年8月25日に$45,600で落札。
海外のオークションでの落札価格
海外のオークションにおける過去の落札価格を見ると、2019年にはUSD900~2,220の価格幅で落札されています。2020年に一時USD960~1,740と下がりますが、2021年には、落札された2つのうち一つはUSD2,640と高価格になり、もう一つは証明書がついていることからUSD31,200の高値で落札されました。
極楽鳥 5マルク銀貨はドイツ領ニューギニアコインの中で最人気
19世紀の末にドイツ領ニューギニアで使われていた極楽鳥 5マルク銀貨は、ニューギニアの植民地化を担当していたニューギニア会社により発行されたドイツ領ニューギニアコインの一つです。このコレクションには、銅貨、銀貨、金貨など全部で9種類のコインがあり、当時ドイツ政府の要求で、厳しい条件の下で造幣、発行されました。その中でも、極楽鳥 5マルク銀貨は最も人気があり、高額で取引されています。
極楽鳥 5マルク銀貨にご興味はありませんか?
- 現在、極楽鳥5マルク銀貨をお探しの方
- 極楽鳥5マルク銀貨を保有していて売却を検討している方
- 何かアンティークコインを購入してみたいけれど、どれを買えばいいのかわからない方
今すぐLINEでギャラリアの専任スタッフにご連絡ください。無料でアンティークコインやマーケットの情報、購入・売却方法など、ご相談を承ります。