コインは磨いても大丈夫?コインの洗浄・クリーニングの方法をご紹介!
コインのクリーニングは、やり方によってはコインの見た目を非常に良くしますが、ほとんどの場合、コインの表面や外観のデザインを劣化させ、さらにはコインの価値まで損なってしまう可能性があります。
私があなたに1つだけアドバイスできるとしたら、それは「いかなる状況でもコインを磨いたり、洗ったりしないでください」ということです。
そうは言っても、多くのコレクターはコインの見た目をよくしたいがために、誤った努力でコインを綺麗にしようとするでしょう。
先人のアドバイスも虚しく、長年趣味でコインコレクションを続けてきた多くの収集家たちは、コインのクリーニングを試みて、ほとんど失敗してきました。
この記事は、コインのクリーニングに関するハウツー記事ではありません。その代わりに、警告に耳を貸さない人に向けて、コインのクリーニング方法について説明します。
完璧なコインが台無しになったからと言って私たちに泣きつきに来ないということだけ、約束してください。私たちは、60年以上(とても若い時から!)趣味としてコイン収集を行っています。ですので、私たちの助言は豊富な経験に基づいており、評価されているものなのです。
すでに申し上げた通り、全てのクリーニング自体が悪い、または有害であるというわけではありません。
私たちが強調したいのは、コインクリーニングは非常に経験豊富で知識のある専門家に任せるべきということです。貴重な絵画に置き換えて考えてみてください。自分自身で修復・改善はしないと思いませんか。貴重な絵画を修復するのに、最も適した専門家を探すと思います。
これは私たちの趣味であるコインにも当てはまることです。
話を先に進める前に、額面または通貨の単位を超えるプレミアムが付いていないコインでまず実験するようにという忠告にもかかわらず、高価なコインをクリーニングしようとする人に提案です。
ポケットの中にある小銭は、良い実験台になります。高価なコインの取り扱いを少しでも誤ると、美的及び金銭的に悪影響を及ぼすことを覚えておいてください。
基本的に、コインクリーニングには2つのタイプまたは方法があります。それらは「研磨」か「非研磨」かで分類されます。
研磨によるクリーニングでは、目に見えなくてもコインの金属の一部が削り取られます。これは深刻な事実です。研磨によるクリーニングは一番有害で、決して行うべき方法ではありません。
では、具体的に研磨クリーニングとはどんなものなのでしょうか。コインの表面に酸性物質やワイヤーブラシを使用してクリーニングする方法です。ワイヤーブラシ技術は、「ウィズィング(whizzing)」と呼ばれます。
研磨クリーニングは、コインの金属の酸化プロセスも活性化するため、コインが短期間の間に黒みを帯びてしまう可能性が高くなります。
市場に出回っているコイン向けの様々な「洗浄液」をよく知っていると思います。いくつかのブランドがあり、よく宣伝されているため、ホットケーキのごとくいたる所で販売されています。
しかしそれらのほとんどが酸性であることを知っていましたか?パッケージのラベルがどれほど魅力的であっても、これらの製品を避ける、または最新の注意を払って使用することをおすすめします。
ほんの一瞬洗浄液につけるだけでは明白な傷ができることはありませんが、それでも目に見えないレベルで金属が除去されます。
結果として得られる表面は、「人工的」な見た目になります。元の金属がもつ「フロー・ライン(flow lines)」はなくなり、流通していないコインの魅力である「カートウィール(cartwheel)」効果が失われてしまいます。
コインのフローラインは鋳造プロセスに由来し、コインに反射特性を与えます。1秒でも洗浄液に浸すと、これらのフローラインが減少または除去されます。
結果としてコインは自然な光沢を失います。少しでも洗浄液に浸すと、表面にピッティング(点食)ができる可能性があります。浸す時間が長ければ長いほど、潜在的な損傷が大きくなることを忘れないでください。
いいコインがあっという間にダメになってしまいます。そして洗浄液に浸して得られる洗浄効果は、この後述べる通り長続きしません。
トーニングした形跡が全く無い、燃えるような白色の米国モーガン1ドル銀貨を見たことがありますか?
これらのコインは、100年以上前のもので、約50年前に公開された米国財務省の貯蔵品を除き、銀貨が製造された日と同じような明るい光沢を維持しているコインを見つけることは事実上不可能です。
それにもかかわらず、燃えるような白色のコインが存在する原因は洗浄液です。トーニングは、コインを含むシルバーアイテムに自然に起こることです。あなたや私にも年齢を経るごとにシワが現れるように、トーニングはコインの老化プロセスの一部なのです。
あなたのおばあさんがシルバーの保存場所にどれだけ注意を払っていても、どれだけ注意深く包装されていてもトーニングは起こり、シルバークリーナーの出番が来ます。
洗浄液へ浸しても永遠に効果が続くわけではない、ということに関して、短期間で黒ずんだり、黒い斑点ができたりしたコインを私は沢山目撃してきました。
1つの例として、私が州の大きな格付けサービスに派遣した記念コイングループの悲しい話を挙げます。コインは私の顧客にきちんと受け取られ、彼はコインに与えられたグレードに非常に満足しており、コインの見栄えが非常に良かったと言っていました。
彼はそれを信頼できる人から、カプセル化されていない状態で購入しました。
私の友人は1年も経たないうちに、パニックに襲われたかのような声で私に電話してきました。私はすぐに彼のアパートに行くと、コインのうち5枚は完全に黒くなるか、あるいはあちこちに黒い斑点が沢山できていました。
状況を説明したメモを添えて、彼のコインをカプセル化した会社に送りました。2週間後、5枚のコインは全て新しいホルダーに戻され、フローラインやカートウィールは無いものの再び完全に「白色」になりました。
返送には謝罪の手紙も含まれていましたが、そもそもの原因について記述がありませんでした。ご想像どおり、この会社はコインを洗浄液に浸したのです!
彼らは当時、コインを浸すことはしないし、浸したコインを評価しないと述べているのにも関わらず、です。買い手の危険負担なのです。
覚えておくべきポイントは、洗浄液に浸したコインは以前の浸していない状態のコインに戻るか、あるいは時間の経過と共に悪化する、のどちらかだということです。
非研磨性のクリーニング方法に関しては、専門家によって行われる場合、コインが金属のフローラインや美的品質を失うことはほどんどありません。
注意深く専門的な処置であれば、コインの表面にピッティング(点食)ができたり、研磨剤によるクリーニングで人工的な見た目になってしまったりすることはありません。
過去に、私はコインを温かい蒸留水に短時間沈めました。結果はほとんどの場合、満足のいくものでした。最初に、普通の小銭で練習しました。
私の友人は変性アルコールを使用して成功したと言っていました。それは私自身で試したことがないので、その方法のメリットやデメリットについてコメントすることはできません。
専門家は、あなたに非研磨性のクリーニング方法について提案してくれるでしょう。まず専門家に相談し、それが、あなたが求めている方法であるかよく確認してください。あなたが満足できるレベルのクリーニングができるという保証はありませんが。
買い手側の視点から、あなたがクリーニングされたコインの購入を避けるためにいくつかのポイントがあります。
既に説明したことを参考に、コインを避けてください。流通していない(または造幣時のままの)素晴らしいコインの購入を検討するときには、光をよく反射する金属のフローラインを探してください。コインを前後に傾けながらゆっくり回転させると、「カートウィール」効果が見られるはずです。
つまり、自然の反射光をよく確認する必要があります。このカートウィール効果が確認できない場合は、コインが洗浄液に浸されているか、または既に流通したものであると考えられます。
特に、サードパーティーの格付けサービスによってカプセル化されていないコインの場合には、トーニングされているかどうかも良くみてください。時々悪意のある者が、以前のクリーニングや傷を隠すために、コインの表面に人工的なトーニングを加えている場合があるからです。
いつも言っていますが、コインを購入するとき、あるいは神さえも禁じたコインクリーニングを考えている場合には、資格のある有能なプロの専門家に相談するのが一番です。
もし万が一これらの忠告にも関わらず、洗浄液に浸す必要があるのであれば、次のことをお勧めします。
- ラベルの指示に従ってください。
- 常に換気の良い場所で作業してください。
- 常に手袋を着用してください。
- 各作業の後に、温水で抗菌石鹸を使って手を洗ってください。
- まず、価値が小さい、またはほとんど価値が無いようなコインで試してください。
- この記事をもう一度読んでください。そうすれば洗浄液に浸けなくても良いと考え直せるかもしれません。
本記事は、『COINWEEK』の翻訳記事です(掲載許可有り)。元記事は以下のリンクより確認できます。
出典:https://coinweek.com/education/is-it-ever-ok-to-clean-coins/