アンティークコインのグレーディングとは?NGCとPCGSの違いやグレードの見分け方【コインの基礎知識】
アンティークコイン投資及び収集をする人であれば、基礎知識として知っておきたい「グレーディング」。コインのグレードについて理解することで、コインの「市場価値」が見極めやすくなります。
この記事では、アンティークコインのグレーディングに関する基礎知識を中心にご紹介します。
グレーディングとは?
アンティークコインにおけるグレーディングおよびグレードとは、コインの鑑定・格付けのことです。具体的には、国際的な認定を受けている「第三者鑑定機関」という名の会社によって、アンティークコインの「真贋」や「状態」などが鑑定されます。
グレーディングのメリット①:真贋が分かる
グレーディングのメリットは、真贋が分かることです。これは、グレーディングの最大の利点とも言えます。とくに希少性の高いアンティークコインやモダンコインの購入には、それなりの資金を必要とするケースがほとんどです。
専門家でもない限り、真贋が曖昧な状態のものに大金を払うにはかなりの勇気がいるでしょう。そのため、購入を考えているコインが「本物」か「偽物」かの判断がはっきりするグレーディングは、初心者のコレクターにはありがたいもの。
また、会社によっても方法が異なりますが、大半の会社がグレーディングしたコインの情報をウェブサイトに載せています。ウェブ上ですぐに確認ができることも嬉しいポイントです。
ただ、注意点があります。ごく稀に、コインが封入されているスラブケースが偽物だったり、スラブケースは本物でも中身のコインが偽物だったりする場合があります。念のため、グレーディングを行う会社の情報をこまめにチェックしてください。
グレーディングのメリット②:コインの状態確認
グレーディングのメリット2つ目は、コインの状態を把握できることです。ただ、グレードには世界で統一された基準はないので、状況別に認識を変えていく必要があるでしょう。
例えば、以下はアメリカの2大鑑定会社の1つ、NGCのコイングレード一覧です。
▼NGC Coin Grading Scale
https://www.ngccoin.com/coin-grading/grading-scale/
上記では、MS、PF、SPと3種類のタイプが記載されています。例えば、PFは「プルーフ」と呼ばれます。プルーフはギフト用などの特別な目的で作られるコインで、流通目的ではありません。そのため、基本的には状態がいいものが多いです。
NGCの場合は、1~70までのグレード段階があり、数字が大きいほど状態の良いコインといえます。
グレーディングのメリット③:ポピュレーション
ポピュレーションとは、簡潔に言えば希少性の確認です。購入したいコインが、どのグレードに何枚あるのかを確認することができます。
以下、NGCのサイトで「1847年ゴシッククラウン銀貨プレーンエッジ」のポピュレーションを調べてみました。
これによると、67鑑定が1枚、65鑑定が2枚、64鑑定が7枚、、、と、記載されています。つまり、「1847年ゴシッククラウン銀貨プレーンエッジ」の67鑑定は世界に1枚しかない、ということが分かります。このようにして、コインの希少性を把握できます。
グレーディングのメリット④:保管がしやすい
グレーディングの利点として「保管がしやすい」ことも挙げられます。グレーディングが行われたコインの大半が、耐久性の高いスラブケース入りで返ってくるため、自宅においても銀行の貸金庫などにおいても保管しやすくなっています。
スラブケースは衝撃に強く作られているため、貴重なコインを守ることができます。ただし、あまりにも強すぎる衝撃や水没などには耐えきれない可能性もありますので、保管場所には他のケース同様に気を配ることをおすすめします。
グレーディングの市場効果とは
さて、ここまではグレーディングそのものについて詳しく説明してきました。ここからは、グレーディングがコイン市場に与えた影響について紹介していきたいと思います。
グレーディングにより、コインの真贋や評価など信用性の高い情報が拡大しました。その結果、コイン市場における取引がスムーズになったのです。そして現在、昔に比べてコイン市場の規模は大きく拡大しました。
すでに1社は紹介済みですが、コイン市場の拡大を担った二つの有名なグレーディング会社を紹介します。
アンティークコインの鑑定会社「NGC」と「PCGS」
NGCとPCGSとは、コインの大手鑑定会社です。他にもフランスやイギリス、競争に敗れたアメリカの小さな会社などもあります。しかし、現在はコインの鑑定における90%がNGCとPCGSの会社で行われています。
NGCは1987年に創立、PCGSは1985年に創立しました。PCGSはコレクターズユニバースという会社名にて既に上場もしているほどの大規模な会社です。
NGCとPCGSの違い
グレーディングの大部分を占めているNGCとPCGS。これらの会社には、二つの違いがあります。
まず、1つ目は古代コインの鑑定の有無です。NGCでは古代コインの鑑定を行います。「ngc ancient」という文字も書いてあり、古代からビザンツ帝国(7世紀〜15世紀)まで鑑定可能です。一方、PCGSは古代コインの鑑定は行っていません。
2つ目は、PCGSは鑑定したコインをケース付きで返却してくれますが、NGCはケースなしで返却されます。元々ケースを持っている人は構わないかもしれませんが、ケースが不足している人にとってはPCGSのサービスは良いものでしょう。
ちなみに、PCGSのケースは青、別で購入可能なNGCのケースはシルバーです。
NGCとPCGS、どちらがおすすめか
NGCとPCGSという会社。どちらがおすすめなのか?という質問は多くあります。
率直に言ってしまえば、人それぞれで好みによるでしょう。昔であれば、PCGSの鑑定が厳しいと言われており、PCGSの鑑定の方が正確と考える人もいたようです。しかし、2020年現在ではNGCと大して変わりません。サービスの特徴やケースの良し悪しなど、個人個人の好みによって決めることをおすすめします。
ちなみに、NGCはスラブケースの裏側が白くコインが映えるように作られています。一方、PCGSは裏側が透明になっており、自分の好きな色を敷くことができます。サービスで言いますと、PCGSの方がウェブサイトからの申し込みがしやすいです。
グレードの数字には注意が必要
グレーディングの利点のところでグレーディングの数字について紹介しましたが、この数字には注意が必要です。
グレードとは絶対的な評価になります。しかし、コインによって数字の価値が異なるのです。詳しく説明しましょう。
コインによって数字の価値は違う
グレードの数字はコインの種類によって、価値が変わります。例えば、モダンコインとアンティークコインでは数字上での価値は同じではありません。
モダンコインにおいて、70鑑定であることが当たり前です。69鑑定ではあまり良くありません。理由としては、モダンコインの場合は作られた瞬間に鑑定され、70鑑定で市場に出るというイメージがあるからです。
反対に、アンティークコインの場合は66鑑定や65鑑定があります。これはモダンコインの感覚では低い鑑定と思いがちです。しかし、アンティークコインでは、「最高鑑定66、3枚のみ現存」「65鑑定、8枚のみ現存」というコインがあります。こうして考えてみると、66鑑定でもかなり希少性が高いことが分かるでしょう。
ちなみに、こうした情報もNGCやPCGSのサイトに載っています。数字だけではなく、コインの種類、相対的な状態の確認、希少性も合わせてチェックすることを強くおすすめします。
アンティークコインのグレードを正しく見極める
この記事ではグレーディングの正しい知識や注意点、コイン市場における影響について紹介しました。
グレーディングの知識は、コインを購入するにあたって非常に役に立つものです。生涯にわたって大切にしたいと思えるコインを見つけるためにも、グレーディングの正しい知識を身につけましょう!
参考:【コイン基礎知識】必見!グレーディングについて。アンティークコイン収集には欠かせない知識です。NGCとPCGSの違いは何?グレーディングが普及してコインの世界にどんな変化が起きた?