愛くるしい表情が魅力的なマン島のキャット金貨!猫好きにも大人気の理由とは

イギリス領マン島のキャット金貨は、その名の通り猫が主役のコインです。マン島は地形的にさまざまな国の影響を受けてきましたが、中世からはイギリスの影響下にありました。マン島はまた、マンクスと呼ばれる可愛い猫の生息地としても有名です。

猫とゆかりの深いマン島発行のキャット金貨は、コレクター以外の人々に愛されてきました。

1988年から2012年まで、毎年変わったデザインのマン島キャット金貨。猫好きや猫のジュエリー収集家にも大変な人気を博しています。純金で作られ、様々な大きさで発行されているキャット金貨。

その魅力と特徴を解説します。

イギリス領 マン島 キャット金貨(1989年)

基本データ

コイン名 イギリス領 マン島 キャット金貨
通称 キャット金貨
発行年 1989年
イギリス領 マン島
額面 1 Crown
種類 金貨
素材
発行枚数 不明
品位 Gold (.9999)
直径 32.7mm
重さ 31.103g
統治者 エリザベス2世
デザイナー Raphael David Maklouf
カタログ番号 KM# 250b, Fr# B50
表面のデザイン ジョージ4世の王冠をかぶったエリザベス2世の右向きの胸像、年号、レジェンド
表面の刻印 ELIZABETH II ISLE OF MAN·1989、RDM、PM
裏面のデザイン ペルシャ猫、額面
裏面の刻印 Au. 1 oz、CROWN
エッジのタイプ Reeded
エッジの刻印 -

 

イギリス領 マン島 キャット金貨とは?

▲マン島発行のコインに刻印される紋章

猫の姿が魅力的なイギリス領マン島キャット金貨。いったいどんな経緯で、マン島でキャット金貨が発行されているのでしょうか。

イギリス領マン島キャット金貨の歴史、その他年によって異なった種類の猫で発行されていた概要を解説します。

1988年から発行されたマン島の様々なキャット金貨

マン島はアイリッシュ海北部にある島。イギリスのグレート・ブリテン島とアイルランド島の間に位置します。島の面積は572平方メートルで人口は8万人ほど。風光明媚な島で、観光地として有名です。

マン島のキャット金貨の発行は1888年から始まりました。なぜマン島の金貨に猫がデザインされているのでしょうか。

マン島には、イエネコ(Felis catus)の一種である「マンクス」という猫が存在しています。マン島特有のこの猫はしっぽがなく、前足と比べて後ろ足が長いという特徴があり、ウサギが跳ぶような歩き方をします。体格はコンパクトで、丸みを帯びたお尻に愛嬌があります。

マンクスの起源は明らかではありませんが、1750年以降に突然変異で現れ、マン島に繁殖したといわれています。島という閉鎖的な環境のなかで守られ、マン島固有の猫となった経緯があります。

現在は愛猫団体である「The Cat Fanciers Association」や「The International Cat Association」でも認可されている種です。

マンクスはとても愛情深く、忠実な猫としてマン島で愛されてきました。

こうした事情から、マン島ではマンクスの猫から始まり、さまざまな猫をデザインした金貨を発行するようになりました。

その中でも特に人気のあるキャット金貨が、1989年に発行されたペルシャ猫のタイプです。

最後のマン島キャット金貨の発行は2012年。いずれのデザインも、かわいらしい気品を持つものばかりです。

マン島の金貨はポブジョイ・ミントで発行されていますが、「マンクス・ノーブル」と呼ばれる質の高さでも定評があります。

エリザベス女王とペルシャ猫の組み合わせが大人気に

マン島キャット金貨が人気を博した理由は、コイン市場で人気を誇るエリザベス女王の肖像画がデザインされていることも挙げられます。ほっそりとした若き女王から、年を重ねて貫禄たっぷりの女王まで、一君主の変遷を見ることができます。

 コインコレクターの間で人気がある1989年発行のマン島キャット金貨は、ふわふわとした毛まで表現されたペルシャ猫が主役。若々しいエリザベス2世と組み合わされた1クラウン(1oz)金貨は、大人気を誇ります。

この金貨のエリザベス女王は、「ジョージ4世のステイトダイアデム」と呼ばれる豪華なティアラを身につけています。使用された1300個以上というこのティアラ、エリザベス女王が戴冠式で使用したことでも有名です。

貴族的な鼻筋が美しいエリザベス女王の頭上には、「ELIZABETH II ISLE OF MAN·1989(エリザベス2世 マン島1989年)」の文字が彫られています。

デザインしたのは彫刻家として数多くのコインや記念碑を手掛けたラファエル・マクロフです。

ペルシャ猫の周りにデザインされているのは?

丸みを帯びたラインが魅力的なペルシャ猫、髭や耳周辺の毛もリアルにえがかれています。よく見ると、ペルシャ猫の周りには別のものがデザインされているのがわかります。

向かって左側には、小さなマンクスの姿が。しっぽがない独特の姿から、マン島の金貨であることがわかるようになっています。

ペルシャ猫の背後には、マン島の海とその上を飛翔するカモメの姿も。
「3本の脚」からなるマン島の紋章も見えます。

 

イギリス マン島 キャット金貨が作られた当時の時代背景

観光地として有名なマン島の景色

キャット金貨で有名なマン島。マン島はどのような歴史を持っているのでしょうか。またキャット金貨発行当時はどんな時代だったのでしょうか。
概要を解説します。

イギリス領となったのは18世紀

古代から独自の文化を持っていたマン島は、9世紀ごろにバイキングの影響下にあったといわれています。マン島の地名にスカンジナビアの統治期を思わせるものが残っているのは、このためです。

地理的な関係からスコットランドの支配下にあったこともありますが、イギリス王エドワード3世の時代、つまり14世紀からはイングランドに属するようになりました。ソールズベリー伯爵、スタンリー家、アソル公爵など、イギリスの名門貴族がマン島を統治した歴史があります。

1765年、イギリスの王族付属地のひとつとなりました。マン島は独立精神が強く、1828年以降はイギリスの内務省の管轄下、自治が認められた王領地に。現在も独自の行政機構を有しています

キャット金貨が発行された時代のマン島

マン島は独立精神が強いことから、近代はさまざまな変遷を経て、政治的経済的な自立や繁栄を手にしてきました。独自の法律や議会を有し、1986年にはマン島の初代首相が選出されています。

マンクス語を話す人は1970年代にいなくなりましたが、マン島の儀式などでは現在も独自の言語が使用されています。

マン島のキャット金貨は、このような政治的独立をさらに目指した時代に発行されたものであり、島の人々の強いアイデンティティが感じられます。独自の貨幣だけではなく、切手も発行されています。

多くの人を魅了するマン島

▲マン島の美しい風景

マン島は温暖な気候で知られ、農業や酪農が盛んです。また、マンクス・ツイードと呼ばれる上質な布地の生産でも有名。石器時代の遺跡、古城などの歴史的な遺物も多く、多くの観光客を魅了します。

とくに1907年から開催されている国際的なオートレース「ツーリスト・トロフィ(Tourist Trophy)」の舞台になっているマン島。毎年6月に開かれるTTレースは、世界中の注目を集めています。

 

イギリス マン島 キャット金貨の種類・その他のコイン

コインコレクターや猫好きたちが愛するイギリス マン島キャット金貨。1988年から2012年まで、マンクスだけではなくシャム猫やジャパニーズ・ボブテイルなど、さまざまな猫がデザインされました。

いくつかのマン島キャット金貨をご紹介します。

マンクス(1988年)

記念すべきイギリス マン島キャット金貨の第1号は、マン島のシンボルであるマンクスがデザインされています。

短い尾と小さめの耳によってマンクスとわかるキャット金貨、マン島の古城や3本脚の紋章もデザインされ、シリーズ第1弾として人気があります。

ジャパニーズ・ボブテイル(1994年)

 

マン島キャット金貨には、日本の猫が描かれているタイプがあります。1994年発行のジャパニーズ・ボブテイルがまさにそれ。短いしっぽが特徴で、マンクスと似ている猫種です。

日本ではかなり古くから存在したといわれていますが、1960年代にアメリカ人がジャパニーズ・ボブテイルを気に入ったことを機に、猫種として認められました。

日本猫のマン島金貨、とても親しみが持てます。

トンキニーズ・キャット(2004年)

21世紀にはいると、円熟期を迎えたエリザベス2世の肖像が変わりました。2004年発行のマン島キャット金貨には、ダイアナ元妃の彫像制作者として有名なイアン・ランク=ブロードリーによる女王が描かれています。女王が身につけているのは「グレート・ブリテンとアイルランドの少女たちのティアラ」。エリザベス2世の祖母メアリー王妃が贈ったものです。

デザインされたトンキニーズは2匹は、蝶と戯れるかわいらしい構図。ミャンマーに起源をもつトンキニーズは好奇心が強い猫とされています。その性格をよく表したキャット金貨です。

イギリス領マン島キャット金貨の価格推移

人気のキャット金貨ですが、日本国内ではほとんど未使用グレードは見かけません。発売・流通当時は宝飾品としての需要も高く、加工跡があるものも多く見られます。そのためスラブ入りのものは高値で取引されています。

裏側のエリザベス女王の肖像も人気のデザインです。

地金価格程度で取引されるものもあります。お気に入りのキャット金貨を見つけてみるのはいかがでしょうか?

1989年 PF69 Ultra Cameo

2021年3月27日に$2,520で落札。
パラマウントコレクションより。

稀代のコレクション「パラマウントコレクション」に入っていたように、コインコレクターとしては1枚持っておきたいコインです。

特に大型の1ozはコレクションとしての需要が高く、PR69のように未使用クラスのものはなかなか手にいれるのが困難な1枚です。

1990年 PR69 Ultra Cameo

2021年3月27日に$2,520で落札。
パラマウントコレクションより。

 

猫好きにもたまらない!かわいらしさ満載のイギリス領マン島キャット金貨

古代から独自の文化を持ち自治を誇るマン島。

文化だけではなく自然も豊かなマン島は、マンクスと呼ばれる猫の故郷としても有名です。マンクスがデザインされた1枚から始まるイギリス領マン島キャット金貨。種類が違うさまざまな猫が描かれ、コインコレクターだけではなく猫好きにも大人気です。

美しいエリザベス2世の肖像と組み合わされた美しいキャット金貨、ご興味がある方も多いと思います。
ぜひアンティークコインギャラリアにご相談ください。

 

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