パナマパシフィック金貨とは?その価値と時代背景、現在価格など徹底解説!

1915年にサンフランシスコで開かれたパナマ太平洋万国博覧会を記念して発行されたパナマパシフィック 金貨(アメリカ 50ドル金貨 パナマパシフィック)は、アメリカで発行されたコインの中でも最も価値のあるアンティークコインの一つと言われています。その魅力がどこにあるのか、そしてどんな背景で発行されたのか詳細をお伝えします。

 

パナマパシフィック金貨(1915年 アメリカ パナマ太平洋博覧会記念 50ドル金貨)

パナマパシフィック金貨

パナマパシフィック金貨 基本データ

 コイン名 1915年 パナマパシフィック博覧会 50ドル金貨
通称 パナマパシフィック
発行年
1915年
アメリカ合衆国
額面 50ドル
種類 金貨
素材
発行枚数
438枚(Round:丸型)/645枚(Octagonal:八角形)
品位 Au900
直径 44.00mm
重さ 83.59g
統治者 ウィルソン大統領
デザイナー ロバート・エイトキン(Robert Aitken)
KM
#138 / #139
表面のデザイン
左向きのミネルバ胸像 。
表面の刻印 UNITED STATES OF AMERICA FIFTY DOLLARS(アメリカ合衆国50ドル)
IN GOD WE TRUST(「我々は神を信じる」)
M-C-M-X-V(ローマ数字:1915年)
裏面のデザイン カリフォルニア松の枝にとまったフクロウ
裏面の刻印 PANAMA PACIFIC EXPOSITION(パナマパシフィック万国博覧会)
E PLURIBUS UNUM(「多数から一つへ」を意味するラテン語で、「多州から成る統一国家」であるアメリカ合衆国を表します)
SAN FRANCISCO
エッジのタイプ リーデッドエッジ
エッジの刻印

 

パナマパシフィック金貨とはアンティークコインなのか

パナマパシフィック 金貨は「アメリカ 50ドル金貨 パナマパシフィック」とも呼ばれます。博覧会の記念コインであるこの金貨、どんなコインなのでしょうか。

パナマパシフィック金貨の形状

パナマパシフィック金貨はアメリカで1915年に発行されたアンティークコインです。額面価格50ドル。ラウンド(丸型)とオクタゴナルと呼ばれる八角形の2種類があります。

アメリカの丸型のコインは、以前にも複数発行されていましたが、八角形のコインはこのパナマパシフィック金貨が最初で唯一のものです。

ゴールドラッシュ時代に非公式で作られていた八角形のコインを偲んでその形が選ばれたと言われています。

丸型・オクタゴナルとも表面・裏面の中央には共通のデザインが施されています。大きさは直径44㎜、重さ83.59gとかなり大きなものです。

最初に発行されたのは丸型・オクタゴナルともそれぞれ1500枚でしたが、当初は値段が高いこともあり売れ行きがあまりよくなく、半分以上は売れ残ってしまいました。しかも売れ残ったものは溶かして元の金に戻されてしまったというのですからなんとも残念な話です。

それだけに、現在確認されているパナマパシフィック金貨は丸型が483枚、オクタゴナルが645枚しかなく、希少コインとして価値が高くなっています。

パナマパシフィック金貨のデザイン

パナマパシフィック金貨 八角形(オクタゴナル)

パナマパシフィック金貨の表面中央には、ギリシャ神話に出てくる知恵と技術の神「ミネルバ」が描かれています。

パナマパシフィック金貨のデザイナーであるRobert Aitken(ロバート・エイトキン)氏によると、パナマ太平洋万国博覧会が知恵と産業・技術を結集した博覧会であることを表現したものです。また開催地カリフォルニア州の紋章にもローマ神話の知恵の神「アテナ」が使われています。このこともミネルバを採用した理由の一つになっています。

中央に描かれたミネルバのすぐ上にはアメリカの公式標語である「IN GOD WE TRUST」の文言が、そしてミネルバが持っている盾には博覧会開催年1915を意味するローマ字「MCMXV」が刻まれています。

一方、パナマパシフィック金貨の裏面の中央に刻まれているのは「知恵」のシンボルであるフクロウの絵です。ここでも博覧会の「知恵」のコンセプトに重きを置いていることがよくわかりますね。

イーグルの絵がモチーフに使われることが多いアメリカのコイン。それだけに、フクロウのモチーフを使ったパナマパシフィック金貨は希少価値の高い存在となっています。

パナマパシフィック金貨-丸型とオクタゴナルの違い

丸型とオクタゴナルのデザインには違いもあります。実は、オクタゴナルのデザインではエッジに沿ってイルカの絵が刻まれているんです。

イルカのデザインを入れたために、オクタゴナル金貨中央のデザインは丸型のものよりも少し小さくなっています。イルカの絵を加えた理由を、デザイナーのRobert Aitken(ロバート・エイトキン)氏は次のように述べています。


イルカの絵を加えることでコインの魅力が増し、またイルカはパナマ運河の開通によってつながった海域を表現している(the use of the dolphins on the octagonal coin do much to add to its charm, as well as express the uninterrupted water route made possible by the canal)
引用元:(Dollar and $50 pieces|Panama–Pacific commemorative coins)

 

このイルカのデザインは好評で人気があり、オクタゴナル金貨の販売数は丸型金貨の販売数を上回りました。

 

1915年にアメリカでパナマパシフィック金貨が作られた背景

パナマ太平洋万国博覧会の記念コインとして発行されたパナマパシフィック金貨。その博覧会はどのような背景の下に開かれたのでしょうか。また記念コイン発行に際してどのような事情があったのでしょうか。

パナマパシフィック博覧会の記念コインの種類

パナマパシフィック金貨は、1915年にサンフランシスコで開催されたパナマパシフィック万国博覧会を記念して発行された記念コインです。

この2つの金貨の他にも1ドル金貨、シルバーハーフダラー、クォーターイーグル金貨が発行されました。2つの50ドル金貨以外はそれぞれ独自のデザインになっています。

パナマ太平洋万国博覧会開催の背景

1900年代のアメリカは1800年代半ばに起きたゴールドラッシュが終わり、近代化が進んでいた時代でした。

その時代の大きな出来事の一つが1914年のパナマ運河の開通でした。またこの年はスペインの探検家バスコ・ヌーニュス・デ・バルボアによる太平洋(西海岸)発見からちょうど400年という記念すべきタイミング。パナマ太平洋万国博覧会は、これら2つの出来事を祝うために企画されました。

さらに、カリフォルニアでは1906年に大地震が起こっており、博覧会の売上を復興資金に当てるという目論見もありました。

パナマパシフィック金貨の発行

パナマパシフィック金貨の発行が決まる前まで、アメリカには造幣局が記念コインを発行できる法律はありませんでした。そのため、急きょ2014年、造幣局による記念コインの発行を認める新しい法律を制定しました。

ところがこの法律は、造幣局による記念コインの一般向け販売を認めていませんでした。代わりに定められたのが、コインを募金集めの団体に一括販売し、そこから一般向けに小売する方法でした。

 

パナマパシフィック金貨の現在の価格相場

当初は額面価格で販売されたパナマパシフィック金貨でしたが、出回っている数が少ないこともあり、現在では900~2600倍の高値がついています。

丸型・オクタゴナルの2種類の金貨は別個に売られることが多いですが、まれにセットで手に入ることもあります。また、パナマパシフィックコイン5つがセットになったものもあります。

パナマパシフィック金貨丸型

MS62

 2022年1月14日に$72,000で落札。

 

MS64

2022年2月24日に$122,022で落札。

 

MS65

2022年2月24日に$150,000で落札。

 

パナマパシフィック金貨オクタゴナル

MS62+

2021年11月11日に$68,400で落札。

 

MS63

 2021年1月21日に$72,000で落札。

 

MS64

2022年2月24日に$105,000で落札。

 

MS65

2022年2月24日に$138,000dで落札。

 

パナマパシフィック記念コイン5点セット

$1/2 MS67|$1 MS66+|$2.5 MS66|$50(丸型)MS64 |$50(オクタゴナル)MS64

すべてPCGS、ケース・袋付き

2019年11月20日に$250,000で落札。

 

パナマパシフィック金貨のまとめ

1915年にサンフランシスコで開かれた博覧会の記念コインとして発行されたパナマパシフィック金貨。

丸型・オクタゴナルともそれぞれ1500枚発行されましたが、売れ残ったものが溶かされてしまったため、現在確認されているコインは半数以下(丸型483枚、オクタゴナル645枚 )になってしまいました。

100年経った今、枚数が少なくなったことで残ってたものの希少価値があがり、高価格で取引されています。

また、デザイン面でも優れており、芸術的価値が高く、表面のミネルバと裏面のフクロウ、そしてオクタゴナルのエッジに刻まれたイルカのモチーフからは、近代化の進む1900年代初頭のアメリカ社会の息吹が伝わってきます。

 

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