コインの第三者鑑定機関である「PCGS」と「NGC」のグレーディング用語などを徹底解説!

アンティークコインの価値を大きく左右する要素のひとつがコインの第三者鑑定機関による「グレード(鑑定評価)」です。同じデザイン・同じ年号のコインであっても、評価によって市場価格が何倍も変わることは珍しくありません。

世界的に利用されているアメリカのコインの第三者鑑定機関(グレーディング会社)であるPCGSNGCについての基礎知識と鑑定基準、グレーディングの全体像について詳しく解説します。

アンティークコインの評価である「グレード」とは?

アンティークコインの「グレード」とは、そのコインの状態を示す評価のことです。

長い年月を経て現存するアンティークコインは、保存環境や流通状況によって状態が大きく異なります。同じ種類のコインでも摩耗や傷、光沢の残り具合などによって価値が大きく上下するため、客観的な基準で状態を評価する必要があります。

そこで用いられるのが、専門機関による「グレーディング」です。グレーディングは、コインを中立的な立場で検査・鑑定し、一定の基準で等級をつける仕組みです。グレードのついたコインは「スラブ(Slab)」と呼ばれるプラスチックの密封ケースに入れられ、鑑定番号が付与されて、その価値を証明できるようになります。それぞれの鑑定機関のウェブサイトに鑑定番号などの情報を入力すれば、一目でそのコインの情報を確認することができます。

アンティークコインの市場では、コインの希少性やデザインの美しさはもちろん、この「グレード」が価値判断の重要な基準となるのです。

 

PCGS・NGCとは?

アンティークコインの価値を正確に判断するには、信頼できる第三者機関による鑑定が欠かせません。世界中の市場で最も高く評価されているのが、PCGS社とNGC社という二大鑑定会社です。

ここでは、PCGSとNGCについて解説します。

PCGS(Professional Coin Grading Service)とは?

ウェブサイト:https://www.pcgs.com/

1986年にアメリカで設立された鑑定会社で、近代以降のコインにおける世界的な権威として知られています。特徴は、その厳格で再現性の高い鑑定基準と、世界中の市場で安定した評価を得ている点です。PCGSは古代コインの鑑定は行っていませんが、紙幣や中国の穴銭の鑑定も行っています。アンティークコインギャラリアはPCGS社と戦略的パートナー契約を結んでいます。

NGC(Numismatic Guaranty Company)とは?

ウェブサイト:https://www.ngccoin.com/

1987年にアメリカで設立された鑑定会社です。古代コインから近代・モダンコインや紙幣まで幅広い分野をカバーし、安定した鑑定基準と厳格なチェック体制で高い信頼を築いています。特に古代コイン分野における豊富な実績は、コレクターや投資家からも高い評価を受けています。


※PCGSとNGCの鑑定差について、「PCGSの方がNGCより厳しいということを聞いた」というお問合せがありますが、実際にはそのようなことはございません。

 

PCGSとNGCが採用している「シェルドン・スケール」

コインの鑑定会社は世界に複数存在しますが、国際的な市場で最も高い信頼を得ているのがPCGS社NGC社の2社です。

両者で共通して採用されているのが「シェルドン・スケール」という基準です。

シェルドン・スケールとは、コイン収集市場が拡大した20世紀前半、より精密な評価基準の必要性から、貨幣学者ウィリアム・シェルドン博士が体系化した1〜70の評価方式のことを言います。コインのわずかな状態差を数値で明確に示せるため、価格や相場評価における透明性が担保され、コイン売買の信頼性が大きく向上することとなりました。

両社は長年にわたってこの基準に基づいた厳格かつ客観的な鑑定を行っているため、世界中のオークションハウスやコインディーラー、コレクターの間で高い評価と信頼を得ています。


グレーディングの基準とは?

グレードの基準は、そのコインの状態によって細かく分類されています。

ここでは、その基準の内容について見て行きましょう。

グレーディングの基本の分類

コインのグレードは、贈答用や記念品などの非流通貨か流通貨であるかによって大きく「PR/PF(プルーフ)」と「MS(ミントステイト)」の2つに分けられています。

鏡面仕上げのプルーフはPCGSでは「PR」、NGCでは「PF」と表記されています。

例えばPF61とMS61では、数値は一緒でも価値は大きく変わって来ます。

オークションなど市場で取引されている状態の良いコインの多くが、PR/PF、MS、AUなどです。

未鑑定・鑑定済みに限らず、コインの状態は下記のように表します。

分類 意味
PR / PF, Proof(プルーフ) 研磨した平金(プランシェ)をに専用の極印を用いて製造したコイン。一般的にはレリーフは高度の霜降り状の艶消し、フィールドは鏡面状の仕上げとなり、流通を目的として製造されたものではない。
PL, Prooflike (プルーフライク) プルーフとして製造されたものではなくいが、製造開始の初期段階にプルーフ状の仕上がりを呈したコイン。
FDC, Fleur de Coin(完全未使用) 製造時の状態を保った完全な未流通の状態。
UNC, Uncirculated(未使用) 製造時の状態を保った未流通の状態。一般的に製造、運搬過程の不可避的に発生する傷、時代を経た自然のトーンがある場合が多い。
MS, Mint State(未流通) 流通用として製造されたもので、かつ実際にはほとんど(または全く)使用されていない状態。
AU, About Circulated (準未使用) ごく僅かの流通の痕跡があるが、未使用に近い状態。
EF, Extremely Fine (極美品) 流通の痕跡があるが、摩耗が比較的少なく本来のデザインが明確に判別できる状態。
VF,Very Fine (美品) 摩耗が進み細部は不明瞭だが、主要なデザインや文字は十分に判読できる状態。
F, Fine(並品) 全体的に摩耗が激しく、デザインの一部が不鮮明で傷も目立つ状態。
VG,Very Good(劣品) 摩耗がさらに進行し、デザインの輪郭は判別できるが、細部はほとんど消失している状態。

他に、Specimen(スペシメン:プルーフの定義には満たないものの、試鋳貨やトライアルなどの特別発行品であることを示す) 、Special Strike(見本貨幣とされる)なども存在します。

どちらも、「SP」と表記されることもあります。

ちなみにPCGSでは、Specimenを「1792年から1816年にかけて造幣局で製造された特別なコインで、後のプルーフ貨幣の多くの特徴を備えている。1817年以前はコインの製造のための設備と技術が限られていたため、これらのコインには後のプルーフに見られる『水面のような』表面も、クローズドカラー・プルーフの均一な打刻も存在しない。」と定義付けています。

グレーディングの詳細な分類

鑑定されたコインには、PR/PF、MS、AUなどの後に続いて二桁の数値が付けられています。コインの種類にもよりますが、市場で高値で取引されるものの多くが70〜45程度までのグレードとなっています。

ここでは、MS/PR(PF)70からF12までの詳細をご紹介します。
PCGSもNGCも、ほぼ同じ内容となっています。

Grade          各グレードの判断基準

PR・PF/ MS

70

PCGS:完全に打刻され、光沢があり、目に見える傷がない。

NGC:5倍に拡大しても製造後の欠陥がないコイン。

PR・PF/ MS

69

PCGS:ほぼ完全に打刻されており、細かく検査するとわずかな欠陥が見られる。

NGC:ほとんど目立たない欠陥のある、完全な打刻のあるコイン。

PR・PF/ MS

68

PCGS:打刻にはごくわずかな弱点があり、ほとんど見えないほどの微細な欠陥がいくつか存在する。

NGC:非常に鋭く打たれており、わずかな欠陥がある。

PR・PF/ MS

67

PCGS:拡大せずに確認できる軽微な欠点はあるものの、非常に良く打たれている。

NGC:わずかに欠陥があるのみで、鮮明な打刻がある。

PR・PF/ MS

66

PCGS:打痕が数箇所あるが、目立つ箇所にはなく、細かな傷やヘアラインがある。

NGC:傷やヘアラインが最小限で、非常によく打刻されている。

PR・PF/ MS

65

PCGS:平均以上の打刻状態だが、軽微な傷やヘアラインが散見される。主に焦点領域外に存在する。

NGC:中程度の良好な打刻で、ヘアラインや軽微な傷がある。

PR・PF/ MS

64

PCGS:平均的あるいはそれ以上の打痕があり、散在する痕跡や微細なひび割れが見られるが、深刻なものは一切ない。

NGC:いくつかの明らかな傷やヘアライン、その他の微細な欠陥がある平均以上の打刻。

PR・PF/ MS

63

PCGS:平均的あるいはやや弱い打刻で、中程度の痕跡やヘアラインがある。

NGC:打刻はやや弱いか平均的、中程度の擦り傷とさまざまなサイズのヘアラインがある。

PR・PF/ MS

62

PCGS:摩耗なし、打刻は平均的または平均以下。多数の傷またはヘアライン。

NGC:打刻はやや弱め、または平均的。摩耗の痕跡は見られない。MS/PF 63よりも摩耗が多い、または大きい。

PR・PF/ MS

61

PCGS:磨耗なし、打刻は平均的または弱い。複数の深い傷やヘアラインは許容される。

NGC:打刻は弱または平均的で、摩耗の痕跡はない。傷や大きな擦り傷が複数ある場合が多い。

PR・PF/ MS

60

PCGS:磨耗なし。打ち出し不良の可能性あり。多数の深い傷やヘアラインがある場合がある。

NGC:摩耗の痕跡がなく、打痕が弱い、または平均的。多数の擦り傷、ヘアライン、または大きな傷がある。

AU

58

PCGS:最も高い部分ににわずかな摩擦痕のみ。ほぼ完全な光沢がある。

NGC:デザインの最も高い部分に若干の摩耗が見られる。細部はすべて残っている。

AU

55

PCGS:細部まで良好、高部には軽い擦れあり。かなりの光沢が残っている。

NGC:デザインの50%未満に若干の摩耗が見られ、詳細は全て残っている状態。

AU

53

PCGS:デザインの隆起部分にはわずかな平坦化と光沢の喪失が認められる。一部には光沢が残っている。

NGC:デザインの50%以上に若干の摩耗が見られ、高い部分にごくわずかな擦れがあるが、細部は全て残っている。

AU

50

PCGS:デザインの隆起部分には摩耗の痕が認められる。光沢が部分的に残っている場合がある。

NGC:デザインの50%以上に若干の摩耗が見られ、高い部分に若干の擦れがあるが、細部は全て残っている。

XF

45

PCGS:デザインの高い部分にわずかな摩耗が見られる。保護された部分にはわずかな光沢が残っている場合がある。

NGC:いくつかの高い部分に若干の摩耗があるが、ディテールは残っている。

XF

40

PCGS:すべてのデザイン要素は依然として確認できるが、高い部分は磨耗して平らになっている。光沢はほとんど、あるいは全く残っていない。

NGC:ディテールが残り、ほとんどの高い部分に摩耗が見られる。

VF

30

PCGS:表面全体に明らかな摩耗が見られる。複雑なデザインの細部が平坦化し始めている。

NGC:詳細はほぼ完全に残っているが、デザイン領域の輪郭に不明瞭さが認められる。

VF

25

PCGS:表面全体に多少の摩耗が見られるが、主要なデザインの特徴は依然として明瞭である。

NGC:デザイン部分に輪郭の不明瞭さが認められるが、ディテールはほぼ残っている。

VF

20

PCGS:デザインに若干の細部の欠損が見られる中程度の摩耗。

NGC:文字と数字が鮮明で、中程度にデザインの詳細が残っている。

F

15

PCGS:細かい部分の約半分が平らに磨耗している。全ての文字は鮮明でくっきりとしている。

NGC:凹部に摩耗が見られるが、文字や数字はシャープ。

F

12

PCGS:細部の約半分が平らに磨耗している。全ての文字は視認可能である。

NGC:凹部分が、より摩耗している。文字や数字はシャープ。

 

Fより下のグレードとして、VG・G・AG・FR・POまでのグレードの分類がありますが、いずれも摩耗などが顕著に見られるものです。

このほか「Genuine」と記載されているものも存在します。コインとして真正品ではあるものの、摩耗・傷・クリーニング・打刻ずれなどの理由で通常の数値グレード(MS○○など)が付かない場合に、「Genuine」や「Genuine – Details」などと表記されます。


▲クリーン(磨きあり)の鑑定のもの。「数字がつかない」などと表現されたりします。

つまり、真贋は保証されている一方で、状態面に何らかのマイナス要因があり、グレード評価の対象外になっているコインを指しています。

 

グレーディングのその他の詳細

▲数値の後ろには、更に詳しい状態を示すワードが記載されていることがあります

+(プラス)・★(スター)

グレードを示す数値の後ろに「+」や「★」が付いているものはアイアピール(見た目)が特に良い個体のため、同じグレードでも市場での評価が向上します。

プラス(+)

そのグレードの中でも、上位ランクに迫る品質や外観を持つコインに付与されます。

スター(★)

NGCで採用している評価で、 トーンや鏡面仕上げの美しさなど、見た目の美しさやアイアピールが特に傑出しているコインに付与されます。

「+」が「ワングレード上に近い状態」を意味するのに対し、「★」は“状態”ではなく“美観”に対する評価という位置づけです。

カメオ・ウルトラカメオ/ディープカメオ

「カメオ」「ウルトラカメオ/ディープカメオ」はプルーフコインのみに適用される高評価で、フィールド(背景の平らな部分)の鏡面仕上げと、フロスト加工されたデザイン部分(肖像など)とのコントラストや美しさについての評価となっています。

Cameo

鏡面仕上げのフィールドに対して、人物や紋章などのレリーフ部分がフロスト加工(マット)で白く浮き上がって見え、コントラストが明瞭なものに付与されます。 オークションサイトや販売サイトなどでは、「CA」「CAM」等と表記されることもあります。

Ultra Cameo(NGC)/ Deep Cameo(PCGS)

レリーフ部分と鏡面部分の黒々とした反射の差が、カメオよりもさらに強く際立っているものです。NGCとPCGSで表記の仕方が異なりますが、同じ意味です。

オークションサイトや販売サイトなどでは、「UC」「UCAM」、「DC」「DCAM」等と表記されることもあります。

▲イギリスを代表する「ウナとライオン 5ポンド金貨」の世界最高鑑定PCGS PR67DCAM

Ch(チョイス)

NGCの古代コイン鑑定で使用されている表記で、「Ch MS」「Ch AU」「Ch XF」などの形で使われ、同じMS・AU・XFの中でも「一段階上寄り」の良いコンディションであることを示します。

例えば「Ch AU」は、通常のAUより未使用状態に近い、選別された上位クラスのAUコインという意味になります。

Details(ディテール)

コインは真贋であるものの、「傷・クリーニング・穴あき・修正・強い摩耗」などのマイナス要因があるため、通常の70段階グレード(MS63など)の“完全な数値評価”を付けられない状態を示しています。

そのうえで「UNC Details」「AU Details」「VF Details」などと表記し、「本来ならこのあたりの状態だが、○○の欠点がある」という意味を持たせています。

Mount Removed(マウントリムーブ)

「過去にペンダント枠やリングなどの装飾用マウントに取り付けられていたコインを、あとから外した痕跡がある」という意味です。

典型的な個体では、縁(エッジ)や12時位置付近に小さな削り跡・ろう付け跡などが残ります。

真贋の判断としては真正品と認めらていれますが、加工跡や損傷歴があるため、状態評価上はマイナス要因とみなされ、価格も下がるのが一般的です。

RD・RB・Bなど(銅貨のみ)

銅貨の場合は、グレードの数値の後にコインの色の状態を示すワードが付いています。

製造時の状態が残っているものほど赤みが強いとされており、赤みが強い順にRD(Red)、RB(Red Brown), B(Brown)などと表記されます。

アーリーリリース・ファーストリリース

モダンコインの分類のひとつです。新しいコインの発行時に鑑定機関へ特定の期間内に提出されたコインや特別なイベントで鑑定されたコインに対し、「リリース指定(Releases Designations)」が付与される場合があります。

代表的なものには、「Early Releases(アーリーリリース)」や「First Releases(ファーストリリース)」、そのほか発行日当日に鑑定期間へ提出されたコインに付与されるFirst Day of Issue(ファーストデイ・オブ・イシュー)」、「First Strike(ファーストストライク)」などがあります。

いずれもコレクターにとって収集意欲をくすぐられるものとなっています。

 

古代コインの鑑定

紀元前などの古代コインはNGCのみの鑑定となっています。シェルドンスケールでは評価できないため、2つの項目によるそれぞれ5段階での鑑定評価になっています。

流通品クラスのグレードでは、それぞれの評価はコインが受けた摩耗の程度のみを厳密に表しますが、未使用クラスのグレードにおいては、Mint State・Choice Mint State・Gem Mint State を区別するために、コイン全体の見た目も考慮した評価となります。

以下は、評価語(およびそれに対応するシェルドンスケールの数値)の一覧です。

ただし、グレードは、古代コインの外観を評価する際の4つの要素のうちの1つにすぎません。残りの3つは、ストライク(打刻)、サーフェス(表面状態)、スタイル(デザイン様式)です。

「Strike」と「Surface」は、NGCによる古代コインの鑑定に見られるもので、それぞれ次のような意味を表しています。

Strike(ストライク

コインが打刻された時の「打刻の良さ」を示します。デザインが中央にしっかり入っているか(センタリング)、細部がどれだけ鮮明に出ているか、ひび割れが少ないかなど、造られた時点の出来ばえを評価したものです。 1~5 段階で、5/5、4/5のように表記され、数値が高いほど良好な打刻とされています。

Surface(サーフェス)

コイン表面の保存状態を示します。光沢、滑らかさ、傷・汚れ・腐食の有無、クリーニングや修復の痕跡などを総合して評価します。こちらも 1~5 段階で、数値が高いほどダメージが少なく良好な表面状態です。

その他、StrikeとSurfaceの数字の鑑定が付かないもの(MSやVFのみ)もあります。これは簡易鑑定サービスを利用したものです。

 

その他の古代コインの鑑定評価の用語

Fine Style (ファインスタイル)

コインの保存状態(摩耗度)ではなく、刻印(極印)のデザインそのものの芸術的な美しさを評価する用語です。当時の優れた彫刻家によって彫られた、構図、立体感、写実性が極めて高いものに付与されます。古代コインにおいてはグレードとは独立した重要な付加価値であり、「Fine Style」と認定されると、同グレードのコインよりも市場価値が格段に高くなる傾向があります。

古代コインは機械で製造されていないため、型(ダイ)が手彫りで制作されました。そのため、マスターと呼ばれる熟練の職人たちによる精度の高い型を使用した、出来が良いものに「Fine Style」が付与されると言われています。

▲Fine Styleと表記がある古代 アレキサンダー3世のディ(2)ステーター金貨

Scuff(スカッフ)

コインの表面が擦れてできた、浅い擦り傷や摩擦痕のことで、主に流通や取り扱いによって生じます。深い傷ではありませんが光沢やディテールをわずかに損ないます。光の加減で見え隠れする程度のものが多いですが、肖像の頬やフィールド(平地)など、目立つ場所に多数ある場合は、見た目の印象(Eye Appeal)と評価を下げる要因となります。

Cut(カット)

硬貨の表面や縁に見られる、刃物などで切りつけられた鋭い切れ込みのことです。そのコインが中まで貴金属で作られている真正品であるかを確認するため、流通時に意図的に入れられた「テストカット」である場合が多く見られます。歴史的な商取引の痕跡としてある程度許容されることもありますが、基本的には評価や価値を下げる瑕疵(かし)として扱われます。

Gem(ジェム)

「Gem」=「宝石」のように極めて美しい状態を指す用語です。通常、未流通(Mint State)の中でも特に保存状態が良く、打刻が鮮明で、地金の光沢が強く残っている最高品質のコインに冠されます。NGC等の鑑定機関では「Gem MS」のように表記され、通常の未使用品(UNC/MS)よりもさらに上位の、特選品としての高いステータスと市場価値を持ちます。

▲刻印がはっきりと見え、「Gem」評価も納得の1枚

▲平金(プランシェ)の鋳縮みも残っている素晴らしい状態のマルクス・アウレリウスのアウレウス金貨。評価はNGC Gem MS 5/5 - 5/5, Fine Style。

 

その他の用語

鑑定会社によってスペシャルサービスが存在します。

リグレード

一度鑑定に出したコインを再度グレーディングを依頼することを言います。

鑑定後の経年変化や、鑑定基準のわずかな変更、または単純に鑑定士による評価のばらつきを考慮し、より高いグレードが付くことを期待して行われます。リグレードが成功し、グレードが上がった場合は市場価値が大きく向上する可能性がありますが、グレードが維持されるか、まれにグレードダウンを許容した場合には評価が下がる可能性もあります。

リホルダー

コインが収められたケース(スラブ)を新品に交換するサービスです。

鑑定のグレードや評価内容は変更せず、外装のプラスチックとラベルをリニューアルします。スラブ表面に傷や割れが生じた場合や、旧型のケースを最新のデザインに変更したい場合に利用されます。ケースが新品になることで透明度が戻り、コイン本来の美しさをよりクリアに鑑賞できるようになるため、コレクションの美観維持や、売却時の印象アップを目的に行われます。

クロスオーバー

PCGSの鑑定のものをNGCに再鑑定を出す(またはNGCの鑑定のものをPCGSに再鑑定を出す)ことを言います。

提出されたコインのグレードが、自社の基準でも同等またはそれ以上であると判断された場合にのみ受け入れられ、新しいスラブに収められます。これは、コレクターが鑑定会社を統一したい場合や、別の会社のスラブの方が市場で高く評価されると見込んだ場合に利用されます。

レストア・クリーニング

コインの現状の維持と改善を目的としたサービスです。

レストア

 コインの表面に付着した塩害、PVC(ビニールなど)による緑青、有害な付着物など、コインの安定性を損なう有害物質を除去し、歴史的な状態を維持・回復させる化学的処理です。

クリーニング

 通常の汚れや軽い付着物を安全に取り除き、美観を向上させるための処理です。

いずれも専門家が特殊な技術で行い、コインの価値を損なわないよう細心の注意が払われます。処理後に再鑑定され、鑑定結果の横にその旨が明記される場合があります。この場合のクリーニングは鑑定結果に影響しません(Cleanと記載されることはありません)。

▲PCGSに鑑定を依頼したところ、PVCが付いているのでレストアサービスをおすすめされました

スペシャルラベル

それぞれのラベルに対する条件を満たしたコインに対して、通常とは違うラベルで鑑定依頼することをいいます。オプションとして+数千円が加算されます。

▲PCGSの東京ラベル

スラブの種類

オーバーサイズホルダー

大きなコインは大きなサイズのスラブに入れられます。

通常のスラブ(鑑定ケース)のサイズに収まらない大型のコインや、特殊な形状のコインを保護・展示するために鑑定会社が用意しているケースです。

大型メダルや古代の鋳造貨幣など、標準規格から外れるコインでも、この専用ホルダーにより安全に保管・鑑定結果の表示が可能になります。また、複数の関連コインや破片を一つのケースに収める「マルチホルダー」もあります。

▲PCGSとNGCのマルチホルダー

まとめ

今回ご紹介したように、コインのグレードはその状態によって、非常に細かく分類されていることがわかります。 PCGS・NGCのグレードは信頼性が高く、この2社どちらかの鑑定がついているものは、売買の際も安心して取引をすることができるというメリットがあります。

反対に、どれだけ状態のいいコインであっても、スラブに入っておらず鑑定がついていないいわゆる「裸コイン」は、その価値を判断することは非常に困難です。コイン初心者の方は、まずはスラブに入っているコインを購入されることをおすすめします。

また、もしも状態のいい裸コインを手に入れた場合は、PCGSまたはNGCへ鑑定に出して、しっかりとグレードを判定してもらうことが大切です。

近年は、精巧に模倣したNGCやPCGSのラベルを貼ったスラブ入りの偽造品が出回っていることもあります。安いからと安易に購入せず、安心・信頼のおけるところから購入するようにしましょう。

 

ギャラリアではコインに関するご相談はもちろん、PCGS・NGCの鑑定手続き代行もお承りしております。鑑定期間は通常〜3・4ヶ月が目安です。(配送・通関作業の影響で期間が延びる場合がございます。あらかじめご了承くださいませ。)

ギャラリアはPCGS Asia社と戦略的パートナー契約を結んでいるため、鑑定完了までのプロセスをスムーズに行うことができます。

また、細分類の記載や特殊なコインの鑑定といったご要望もご相談いただけます。

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