アンティーク・モダンコインを売るときの10のポイント
今回はアンティーク・モダンコインをたくさん売りたいとお考えの皆さんに、アンティーク・モダンコイン販売の情報と裏技、考え方を詳しくご紹介します。
1.売らざるを得ない状況を避ける
アンティーク・モダンコインを買うためなら、売り手側が切羽詰まっていることを知ったディーラーが、巧みにその状況を利用するかもしれません。売り手側として最もやってはいけないのはアンティーク・モダンコインを売らなくてはならないので妥当な申し出がほしいなどと誰かに話すことです。たとえ「近い」関係にある人でもやめておきましょう。私の経験からいうと、そういった状況でアンティーク・モダンコインを売った場合、20~30%以上の損失を出すことになるでしょう。
理想的なのは、一つのアンティーク・モダンコイン(またはコレクション)の販売に少なくとも45~60日はかけることです。極めて専門的なコレクションならもう少し時間がほしいところでしょう。それくらいあれば、アンティーク・モダンコインの売却や、市場に出すための準備ができますし、買い手も支払いのための時間ができます。
2.売り時を選ぶ
インターネットの登場で従来のアンティーク・モダンコイン販売のシーズンが曖昧になってはいますが、それでも一年のうちに売り時は2回あります。1月に行われるFUN(Florida United Numismatics:フロリダ貨幣収集連合)と、7月か8月に行われるANA(America Numismatics Association:アメリカ貨幣収集協会)の貨幣ショーの時期です。
この売り時の時期は、自身での販売だけでなく、委託販売やオークションを通しての販売にも当てはまります。みんなの購買意欲が高まっているときのアンティーク・モダンコインを売るのが良いはずです。夏休みのことで頭がいっぱいだったり、冬休みの準備に忙しかったりする時期は避けましょう。
3.アンティーク・モダンコインをCACへ送る
情報通で、しっかりと知識を身につけたバイヤーなら、目の前にあるアンティーク・モダンコインが良い品なのか、自分の専門分野のものなのかなど識別できるはずです。けれども、アンティーク・モダンコインの販売時、CAC(Certified Acceptance Corporation)のラベルがあるのとないのでは大きく異なります。CACの良いところは、買い手に自信を持たせ、より良い値段での売買が可能になるところだと私は考えています。
実際にCACの鑑定済みアンティーク・モダンコインは、そうでないものと比べて、オークションでも高値で売却されているのは明らかです。
4.鉄は熱いうちに打て
例えば、リバティヘッドイーグルが超高値で出品されるオークションについての記事を読んだとしましょう。そして自分もそれに近いものを持っています。ではそこで、その自分の所有しているアンティーク・モダンコインをすぐにでも売るべきでしょうか?答えは、イエスであり、ノーでもあります。
そのアンティーク・モダンコインのオークションで落札できなかった人物に運よく出会えるかもしれません。けれどもその人は、2度目のチャンスに同額をつぎ込もうという気にはなれないかもしれません。売り手側としても、史上最高額を繰り返し提示するのは難しいでしょう。ただ、少なくともやってみる価値はあるかもしれません。
5.コインホルダーはきれいにしておく
くだらないことのようですが、傷だらけの汚いホルダーは損をします。実は1年前、こんなことがありました。オークションで興味深い金貨を見つけたのですが、ホルダーが傷だらけでアンティーク・モダンコインの絵柄はよく見えませんでした。それでもイチかバチか私はそれを購入したのです。安かったというのが大きな理由でした。それからその金貨を鑑定サービス業者に送りました。ホルダーを変えてもらうつもりだったのですが、驚いたことに、とても素晴らしい金貨だったのです。その後CACのラベルもついたので、なかなかの儲けで売却することができました。何よりの理由は新しいホルダーで見違えたからでしょう。
6.「時には」古いホルダーはそのままにしておきましょう。
実は私は古いホルダーに目がありません。PCGSやNGCの古いホルダーを見るとワクワクするし、そのために高くても買ってしまいます。ほとんどのディーラーはそうでしょう。ただ、売り手側としては、ちょっとした落とし穴があります。だから「時には」とつけたのですが…。古いホルダーに入った2,000ドルのアンティーク・モダンコインを所有しているとしましょう。そのアンティーク・モダンコインはアップグレードすれば4,000ドルなる可能性を秘めています。それでもそのままにしておいてください。値段もそのままです。古いホルダーに目がないバイヤーには賭けに出てもらいましょう。月日が経ち、アップグレードすれば10,000ドルの価値を持つかもしれないとなったら、その時はそのアンティーク・モダンコインの再鑑定をするべきかもしれません。
7.アンティーク・モダンコインの属性を特定する
こんなことは起こらないかもしれませんが、何の変哲もない1794年銘の1セントアンティーク・モダンコインを他のコレクターに売ろうとして、それが35,000ドル相当の希少なアンティーク・モダンコインだと分かったらどうでしょう?とても得した気分になりませんか?
アンティーク・モダンコインが製造された場所、その背景などそのアンティーク・モダンコインの属性・素性を特定するために少し時間を割きましょう。どうしらよいか分からない場合は、NGCのアトリビューションサービスを利用するか、信頼できるコレクター仲間に頼むことをおすすめします。
8.緊急時の対策をしておく
人生は思いがけないことが起こるものです。もし自身が急死してしまったり、体が不自由になってしまったりしたら、これまで集めてきたコレクションをどうするか決めていますか?家族が地元の質屋に持っていくなんて絶対に嫌なはずです。そんなことにならないよう、アンティーク・モダンコインの処分について明確に記した指示書を残しておきましょう。
これは実際に起こった話ですが、私のクライアントで遺書もアンティーク・モダンコインの処分についての指示書もなしに亡くなってしまった人がいたのです。彼は秘密主義者だったのでアンティーク・モダンコインの送り状などもないだろうし、何を買ったか分かる目録シールもホルダーからはがしてしまっているだろうと私は考えました。
結局、彼のコレクションは姉(妹)が譲り受け、各地を転々とする買取り業者に売ってしまいました。電話さえくれたら、私なら100万ドル近くは払ったでしょう。けれども、その業者が彼女に支払った額は、20万ドルにもならなかったそうです。
9.価格設定の際はデューデリジェンスを忘れずに
売却するアンティーク・モダンコインの種類によってアンティーク・モダンコインの価格を設定することができますが、忘れてはいけない重要事項があります。PCGSがNGCを上回る価格でプレミア販売する特定のシリーズなどは注意しましょう。所有しているアンティーク・モダンコインはプレミアの価値があるでしょうか。CACの鑑定済みですしょうか?もしそうなら、それで何か違いは生じるでしょうか?いまホットなアイテムを所有していますか?所有のアンティーク・モダンコインはグレードに見合った品質でしょうか?
通常発行アンティーク・モダンコインや一般的なアンティーク・モダンコインなら価格設定も簡単でしょう。けれども希少アンティーク・モダンコインや超希少アンティーク・モダンコインはそうはいきません。最近のオークションの記録を見てみてください。取引は一定していますか?あちこちのオークションに出ていますか?この一年のオークションで同程度のアンティーク・モダンコインが売却されていませんか?
もし、超希少アンティーク・モダンコインを持っているなら、オークションにかけてみるのが一番分かりやすいかもしれません。専門のディーラーも希少アンティーク・モダンコインを持ち込むにはかなり良い商売相手になるでしょう。これまでにない価格で買い取ってくれる可能性もあります。
10.お互いのために少し余裕を残す。
訪問販売のセールスマンを好きな人はいないでしょう。アンティーク・モダンコイン売却の取引の度に小銭の果てまで絞り出させて不快な思いにさせてしまうような売り方はおすすめしません。
私が他のディーラーにアンティーク・モダンコインを販売する際は、買い取ったアンティーク・モダンコインで彼らも儲けが出せるように、意図的に余裕を残した取引にすることを心がけます。そうすれば、彼らも喜ぶし、将来的にまた私のところから買おうという気持ちにさせることができます。 また、私がコレクターから買い取りを行う時は、極めて妥当な取引になるよう心がけ、買い取り後に利幅を乗せてまた売ることができるよう、余裕が残る範囲での最高価格で買い取るようにします。