スリーグレーセス銀貨（1817年ジョージ3世クラウンパターン）

基本データ

コイン名	イギリス　ジョージ3世　”スリーグレーセス”パターン銀貨
通称	スリーグレーセス（通称：スリグレ）
発行年	1817年
国	イギリス
額面	1クラウン
種類	銀貨
素材	銀
発行枚数	50枚
品位	-
直径	38.6 mm
重さ	28.3 g
統治者	ジョージ3世
デザイナー	William Wyon
KM	# PnB77
表面のデザイン	右向きのジョージ3世の肖像とレジェンド、発行年
表面の刻印	GEORGIUS III D: G: BRITANNIARUM REX F: D:1817｜W. WYON.（George the Third by the Grace of God King of the Britains Defender of the Faith：神の恩寵によるジョージ三世 英国王 信仰の擁護者）
裏面のデザイン	イングランドの国章・レジェンド・椰子の枝・矢筒とローブをまとった「三美神（Three Graces）」。それぞれイングランド、スコットランド、アイルランドの連合王国をであらわしています。
裏面の刻印	FOEDUS INVIOLABILE｜W. WYON（Inviolable league：）
エッジのタイプ	プレーン
エッジの刻印	-

 

スリーグレーセス銀貨とは

「スリーグレーセス（スリーグレイセス）」とは、ギリシャ神話に出てくるゼウスの娘の三美神のことで、それぞれ愛・エレガンス・美を象徴しています。そして、イングランド、スコットランド、アイルランドを擬人化したものとしてコインに刻まれています。

ウイリアム・ワイオンのスリーグレーセスは、もともと1817年ジョージ3世の時代に6種類の試作コイン（Pattern Coin）として発行されたものです。

ウイリアム・ワイオンは英国コインを代表する有名な彫刻師で、1816年に王立造幣局にアシスタントとして就任して以来、数多くの傑作を残しています。

皆さんもよくご存知のウナとライオンも彼の作品で、ウイリアム・ワイオンは英国コインの伝説ともいわれている存在です。

関連記事：ウィリアム・ワイオンとは？世界一美しいイギリス金貨「ウナライオン」の彫刻師

 

スリーグレーセスコインの種類

スリーグレーセス試鋳銀貨（ウィリアムワイオンの傑作）

「スリーグレーセス」は1817年ジョージ3世クラウン銀貨の試鋳貨（しちゅうか：Pattern）として発行されました。試鋳貨とは、試作としてわずか数枚が発行されるもので、当時まだアシスタントの身分だったウイリアム・ワイオンの貴重な初期の作品です。新古典主義を大切にしたワイオンならではの国家の誇りとエレガントさを表現したデザインです。当時まだ無名だったワイオンの「スリーグレーセス」は、デザインを評価・確認するために限られた数で製造され、販売または贈呈された可能性があるそうです。プルーフのパターンはコレクターにとって、そして貨幣の歴史の記録としても重要です。通常の流通貨幣と違い、大量生産の必要がないため、デザインと彫刻の細部を芸術性の高いものに仕上げて製造することができます。

しかし、その後流通用のデザインに採用されることはなく、試鋳貨のみが存在する結果となりました。現在もイギリスから発行されているコインの裏側に採用されている「セントジョージの竜退治」をデザインし、その後ワイオンと数十年にわたりライバル関係になるイタリア人彫刻家のベネデット・ピストルッチの登場により、ワイオンの存在が埋もれてしまうことがありました。その後、ヴィクトリア女王のコインとともにワイオンの才能が認められることになり、一躍コインデザイナーとして有名になりました。その後、「ワイオンの傑作」と呼ばれ、イギリスを代表する大型銀貨として脚光を浴びることになりました。

わずか50枚ほどの発行だと言われており、現存する数は不明です。一部をワイオン家が保有しており、1962年に初めてオークションに出品されました。2021年のHERITAGE AUCTION（The Paramount Collection）では、PR65のものが$312,000（約3,400万円）で落札されています。市場に出回ることも稀です。

Paramount Collectionの解説動画はこちら（スリーグレイセスは2分から）

“幻”のスリーグレーセスパターン金貨

1817年に発行されたスリーグレイスコインは、実はクラウン銀貨だけでなく、銅貨や金貨もごく数枚のみ発行されているという記録が残っています。しかし今となっては、博物館や美術館でのみお目にかかれる非常なレアな伝説的存在です。

とくに金貨は「幻の傑作」と呼ばれていて、世界に3枚しかないといわれていました。全て博物館に所蔵されており、1枚はスコットランドのナショナルギャラリー 、もう1枚はイギリスのヴィクトリア＆アルバートミュージアム、3枚目はニューヨークのメトロポリタン・ミュージアムです。

ところが2018年12月、日本コインオークション（NCA）にて突如として「幻の傑作 ワイオンのスリーグレース試鋳金貨」が出現したのです。なんと落札価格は9,100万円。果たして、次にこの「幻の傑作」が姿を現す時には、一体いくらの値がつくのでしょうか。実物を見たことがある方はラッキーです。

 

スリーグレーセスの価格推移

現存枚数に加え、鑑定枚数自体もかなり少ないため、オークションで見かけることはレアです。特にコレクションの来歴がはっきりしている鑑定ラベルが付いている場合などはさらに付加価値がつき、入手困難です。

PR62

2021年8月19日に$132,000で落札。

PR64+

2019年1月7日$204,000で落札。

バトラーファミリーコレクション。

SP65

2021年3月26日に$312,000で落札

トーンの状態も良く、最高鑑定のTopPop。

パラマウントコレクション。

 

まとめ

2020年にはイギリスのロイヤルミントから復刻版が発売され、即完売という結果になりました。200年の時を経てもなお愛され続け、現存枚数も少ない「スリーグレーセス」は、ハイグレードになればなるほど争奪戦です。

大手のコインオークションでも過去に20枚程度しか出品が確認されておらず、もしオークションなどで見かけた際は迷ってる暇は無いかもしれません。

資産の保全には是非、「スリーグレーセス」のような希少でデザインの美しいアンティークコインをお選びください。ご相談は、是非ともアンティークコインギャラリアへ。

 

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