2020年スリーグレイセス金貨・銀貨について解説！ロイヤルミント発行
ウィリアム・ワイオンの不朽の名作として有名なスリーグレイセス。スリーグレイセス金貨・銀貨はウナとライオンに並び、絶大な人気を誇るコインです。
世界中の投資家・コレクターを魅了してやまないスリーグレイセスとはどのようなコインなのでしょうか。
今回は、機会があればぜひ手にしておきたい1枚、ウイリアム・ワイオンのスリーグレイセスについて詳しく解説していきます。ぜひ、今後の参考にして下さい。
2020年スリーグレイセスコインとは
2021年2月22日に、英国Royal Mintにて、ウイリアム・ワイオンのスリーグレイセス（The Theree Graces）がグレート・エングレーバーズ・コレクション（Great Engravers Collection）の一環として発行されました。
今回発行されたスリーグレイセスは2020年版となり、表面はJody Clarkによるエリザベス2世の気高い肖像。裏面はウイリアム・ワイオンの傑作といわれている1817年のスリーグレイセス復刻版となります。
スリーグレイセスとは、ギリシャ神話に出てくる3女神（ゼウスの娘）のことで、それぞれ愛、エレガンス、美を象徴しています。3女神は同時にイングランド、スコットランド、アイルランドを擬人化したものとしてコインに刻まれています。
ウイリアム・ワイオンのスリーグレイセスは、もともと1817年ジョージ3世の時代に試作コイン（Pattern Coin）として発行されたものです。ウイリアム・ワイオンは英国コインを代表する有名なデザイナーで、1816年に王立造幣局にアシスタントとして就任して以来、1851年にかけて数多くの傑作を残しています。
皆さんもよくご存知のウナとライオンも彼の作品で、ウイリアム・ワイオンは英国コインの伝説のデザイナーともいわれている存在です。
参照：The Three Graces – William Wyon RA’s Early Career Masterpiece
グレート・エングレーバーズ・コレクション（Great Engravers Collection）とは
グレート・エングレーバーズ・コレクションとは、日本語に訳すと「偉大なる彫刻家たちのコレクション」の意味です。1100年に渡る比類なき英国コインの歴史を記念して、傑出した才能で名高いコイン彫刻家たちを紹介するRoyal Mintの企画です。
この企画の皮切りにまず選ばれたのが、納得のウィリアム・ワイオン。2019年から始まったこの企画の第一弾では、「ウナとライオン2019年版」が発行されています。「2020年スリーグレーセス」はグレード・エングレーバーズ・コレクションの第2弾となります。
参照：1,100 years in the making – The Great Engravers
2020年スリーグレイセスは発売20分で完売！
2020年スリーグレイセスが販売開始されたのは、2021年2月22日9時、日本時間で18時～でした。世界中から注文が殺到し、何と数分後にはすでに売り切れの状態となる人気ぶりでした。
販売されてからまだ1か月足らずの現在、すでに5倍～10倍以上の価格高騰が始まっている異例のモダンコインです。
2020年スリーグレイセスの価格や発行枚数
2020年スリーグレイセスは4種類あります。スリーグレイセス4種類それぞれの価格や発行枚数など詳細をご紹介していきます。
500ポンド プルーフ金貨（5 oz）
現在の取引価格：£55,000／約900万円
発行数：150枚
金のグレード：24k
重さ：156.30g
参照：2020年 イギリス スリー・グレイセス 5オンス 500ポンド金貨 ウィリアムワイオン グレートエングレーバー
200ポンド プルーフ金貨（2 oz)
現在の取引価格：£3,300（約650万円）
発行数：325枚
金のグレード：24k
重さ：62.42g
参照：2020年 イギリス スリー・グレイセス 2オンス 200ポンド金貨 ウィリアムワイオン グレートエングレーバー
10ポンド プルーフ銀貨（5 oz）
現在の取引価格：£5,999（約90万円）
発行数：500枚
銀のグレード：999 Fine Silver
重さ：156.30g
参照：2020 Great Engravers Three Graces £10 Silver Proof 5oz Coin Box Coa
2ポンド プルーフ銀貨（2 oz）
現在の取引価格：£3,000（約47万円）
発行数：3,500枚
銀のグレード：999 Fine Silver
重さ：62.42g
参照：2020年 イギリス スリー・グレイセス 2オンス 5ポンド銀貨 ウィリアムワイオン グレートエングレーバー
スリーグレイセスコインの種類（オリジナル）
発行から1か月足らずで、価格高騰の記録を作りつつある2020年スリーグレイセスコイン。もともとのオリジナル版とは一体どんなコインなのか気になりますよね。
そこで、2020年スリーグレイセスコインのオリジナル版についてご紹介しておきたいと思います。
スリーグレイセス試鋳銀貨（ウィリアムワイオンの傑作）
2020年スリーグレイセスのオリジナル版は、1817年ジョージ3世クラウン銀貨の試鋳コインとして発行されました。試鋳コインとは、試作としてわずか数枚が発行されるもので、当時まだアシスタントの身分だったウイリアム・ワイオンの貴重な初期の作品となります。
この1817年ジョージ3世クラウン銀貨の試鋳コインにて、初めてワイオンのスリーグレーセスが登場しました。ワイオン独独のギリシャ・ローマ時代のネオクラシカルな造形美が再現された美しいコインです。
当時まだ無名だったワイオンのスリーグレーセスコインは結局のところ、流通用に採用されることはなく、試鋳コインのみが存在する結果となりました。その後、ヴィクトリア女王コインとともにワイオンの才能が認められることになり、一躍コインデザイナーとして有名になった後、「ワイオンの傑作スリーグレーセス」と呼ばれ、脚光を浴びることになったのです。
1817年スリーグレーセス試鋳銀貨の発行数はおそらく50枚程度だといわれており、現存する数は不明。2021年のHERITAGE AUCTION（The Paramount Collection）では、PR65グレードのものが$312,000（約3,400万円）で落札されています。市場に出回ることも稀で、今回の2020年スリーグレーセスの影響からますます人気が高まっていく可能性もあるでしょう。
スリーグレイセス試鋳金貨（幻の「金貨」）
1817年に発行されたスリーグレイス試鋳コインは、実はクラウン銀貨だけでなく、銅貨や金貨もごく数枚のみ発行されているのです。今となっては、博物館や美術館でのみお目にかかれる非常なレアなコインで伝説的存在です。
とくに金貨は「幻の傑作」と呼ばれていて、世界に3枚しかないといわれていました。1枚はスコットランド・ナショナルギャラリー 、もう1枚はヴィクトリア＆アルバートミュージアム、3枚目はニューヨークのメトロポリタン・ミュージアムです。
ところが2018年12月、日本コインオークションにて突如として「幻の傑作 ワイオンのスリーグレース試鋳金貨」が出現したのです。落札価格は9,100万円。果たして、次にこの「幻の傑作」が姿を現す時には、一体いくらの値がつくのか関心を持たずにはいられないところですね。
参照：Numis Bids
まとめ：2020年スリーグレイセスついて知ろう
2020年スリーグレーセスは、20分で完売、1か月も経たないうちに価格は5倍～10倍以上に跳ね上がっています。スリーグレーセスのオリジナル自体が試鋳版のみでレアなうえ、発行数が限られていることから、急スピードで価格が高騰中です。まさに投資価値が高いモダンコインの優れものだといえます。
スリーグレーセスには、今回の2020年版だけでなく、様々なタイプが復刻版シリーズとして発行されています。同じスリーグレーセスでも、金貨、銀貨、オンス、発行国、年代などによって価格も大きく変わってきます。
いざ購入の機会が訪れた時に、戸惑うことがないように、2020年スリーグレーセスコインの種類や相場などをしっかり学んでおきましょう。
