アンティークコインの保管方法についてーコイン収集のヒント

 

良いコインをいくつか持っているが、どうやって大切に保管したらいいだろう?前回の記事では、コインのダメージをさけるための適切な取り扱い方について説明した。コインを集めたら、そのコレクションを良い状態で保存し続けることを検討する必要がある。

 

流通しているコインの中から良いものを見つけ出したにしても、信頼できるディーラーから購入したにしても、ダメージを与えないような保管法が必要だ。

 

ダメージの原因はさまざまだ。言うまでもなく、集めたコインを互いに擦れ合ったり接触したりする状態にしておくのはNGだ。このような保管法から発生するダメージは、主に擦れ傷、欠損、または大傷などだが、他のタイプの損傷が発生する可能性がある。

 

コイン収集において起こりうる他のタイプのダメージを数例挙げると、サビ、指紋(特に未使用、または未使用に近い状態のコイン)、空気中の水分から生じる斑点、およびトーンなどがある。ただし、すべてのトーンが悪いものと見なされるわけではない。銀貨に自然と発生するシャンパンカラーやゴールドカラーのトーンは、とても美しいものだ。ここで言うダメージとは、コインが特定の大気要素にさらされた結果、または不適切な保管法が原因で起こるもののことだ。もしかするとコイン向けではない溶剤を使って、持っているコインを洗ってしまったからかもしれない。

 

いずれにせよ、コインが見栄えの悪い暗色に変色することがある。このような変色したコインを洗浄液に浸したりすると、ダメージがよりひどくなってしまう恐れがある。個人的には、コインを溶剤に浸したり洗ったりすることはおすすめしない。

 

コインを保管する際、さまざまなタイプのホルダーにひとつひとつ入れたり、アルバムにセットとして入れたりする方法がある。コイン収集で一般的な、コインの保管法のいくつかを見てみよう。

 

 

コインコレクション用のホルダー

一番簡単なコインの保管法は、2x2インチのマイラー(Mylar®)ホルダーを使用することだ。このタイプのホルダーなら、コインの表面に指紋を残さずにコインの両面を見ることができる。あらゆる額面のコインに対応したサイズのホルダーが入手可能だ。

 

                                        

 

購入するときは、そのコインのサイズに合ったホルダーを選んでほしい。早い話、10セント硬貨を入れるのなら、窓の大きさが25セント硬貨用のものは使用しないようにする。コインがホルダー内で動かないよう注意しよう。コインが動くと、コインを保護する目的でデザインされた透明素材に摩擦して、小傷がついてしまう可能性があるからだ。

 

人差し指と親指でコインを持ち、ホルダーの白色でない面の真ん中にコインを入れたら、ホルダーを慎重に折り、ホチキスで留め始める。個人的には、最初に下部を留め、次に両サイドを留めるようにしている。ホチキス留めする際は、針がコインに近すぎないよう気を付けよう。中心から約8分の1インチほど(3.175㎜)離れた部分を留めるようにする。間違ってコインをホチキスで留めてしまったり、後でホルダーからコインを取り除いたり、問題が起きないようにしよう。また、後に起こりうるダメージの可能性を低くするため、ホチキスの針の先端を平らにすることを忘れないようにしたい。

 

                                          

 

紙、またはクラフト(Kraft®)タイプの2x2インチのコイン収集用封筒は、使用済みのコインを安価に保管するのに向いている。時が経つにつれトーンが付くため、未使用のコインにはおすすめできない。このタイプの紙には硫黄成分が含まれているため、新品、またはほぼ新品同様のコインに向いていない。特に、銅貨や銀貨にはあまり適していない。通常、流通済みコインはこれらの封筒でも大丈夫だが、それでも頻繁にチェックする必要がある。特に銀貨は気を付けたい。

 

このタイプの封筒のもうひとつの欠点は、封筒からコインを取り出さないとコインを見ることができないことだ。しょっちゅうコインを取り出していると、時間の経過とともに何らかのダメージを引き起こす可能性が高くなる。私自身は、これらの封筒は重複するコインにのみ使用している。これらのコインは、何度も取り出してチェックしたり、見て楽しんだりする必要のないコインだ。便利なのは、封筒にはコインの説明やグレードを記述しておくのに十分なスペースがあることだ。コインを入れる小さなポリ袋もあり、コインをそれに入れた後で紙の封筒に入れることもできるが、このポリ袋がコインに化学作用を起こすかどうかは定かではない。もし起こさなければ、大きなメリットになると思う。使う前に、メーカーに保証してもらうことをすすめる。

 

もうひとつのチョイスは、コイン収集用のいわゆる「フリップ」タイプのものだ。このサイズも2x2だ。これを利用すれば、コインの両面と端を見ることができる。フリップは、2セクションに分かれている。前部はコイン用で、背部は2x2カード用である。カードには、日付、額面、グレードなど、その他の必要情報を記入することができる。

 

 

PVC(ポリ塩化ビニール)を含む、柔らかくて柔軟なフリップは使用しないようにしたい。このタイプのものに含まれる油が、最終的にはコインを台無しにするからだ。しばらくすると緑色がかったスライム状のものが発生し、コインにダメージを与えずに除去することがほとんど不可能な状態になる。ディーラーやオークションから購入したコインの多くは、こういったソフトフリップに入れられている。短い期間の保管には問題無いが、将来起こりうるダメージを防ぐため、ほとんどのディーラーはこのタイプのホルダーからコインをできるだけ早く取り除くようにアドバイスしている。

 

おすすめするのは、マイラー®とも呼ばれるPET(不活性ポリエチレンテレフタレート)素材のフリップを使用することだ。このフリップの特徴は、硬くしっかりとしている点だ。ホルダーを選んでコインを収納したら、これらのホルダー用の収納ボックス、または20ポケットスリーブに入れることをすすめる。選択肢が非常に多いので、ここでひとつひとつ説明する意味はないと思う。販売店に問い合わせよう。

 

他にも、いくつかの有名な会社が、硬質プラスチックタイプのホルダーを製造している。繰り返しになるが、どのようなものがあるかは販売店に問い合わせてほしい。最近、「スラブ」の名で知られる、硬質な不活性素材で作られたホルダーに入れたコインが大人気だ。コインが偽造されたものでない、または手が加えられたものではないといった安心感をコレクターに与える。ホルダー自体もコインを安全に保管するのに最適だ。これらのさまざまなスラブをまとめて保管するための製品もある。

 

コイン収集用アルバム

例えば小さなセント硬貨のコレクションなど、もしコレクターが特定の目標を念頭に置いて集めているなら、そのシリーズ向けに特別に作られたアルバムに、コインコレクションを収納したいと考えるかもしれない。

 

コインフォルダーとも呼ばれる三つ折りや四つ折りのアルバムは、コインコレクションを始めるにあたり経済的なチョイスだ。これは、既存の台紙の窓にコインを「押し込むだけ」のタイプだ。コインを固定するためのプラスチック製のシートは付いていない。コインを入れる際は、指でじかに触って押し込まないようにしよう。代わりに、綿の布や手袋を使うべきだ。コインに指紋を残すことは避けたい。

 

                                 

 

このタイプのアルバムに保管する場合、コインは台紙に含まれる硫黄成分にさらされていることを念頭に置きたい。そのうちにコインは変色し、見栄えの悪いトーンが発生する。また、このタイプのアルバムを未使用コインには使用しないでほしい。コインの収集を始める際、または流通済みの低グレードのコインを収容する際には問題ないが、価値のある高グレードのコインには向いていない。

 

もうひとつのコインアルバムは、スライド式の透明プラスチックシートがついているタイプだ。コインの保管には、このタイプの方がはるかに優れている。ただしコインの変色の恐れがあるので、プラスチックシートは不活性素材であることを確認しておこう。このタイプなら、コインを取り出さなくてもコインの両面を見て楽しむことができる。コインを手に取る回数が多くなるほど、ある種のダメージが発生する可能性が高くなることを心に留めておこう。アルバムにコインを入れるときは、必ず綿の手袋または綿の布を使用するようにしたい。

 

最後に、コインのコレクションは、温度と湿度が調整された乾燥した環境に保管するよう付け加えておきたい。湿気の高い環境は、コインにはNGだ。我が家では、ホームオフィスにある小さな金庫に価値の低いコインを保管しているが、金庫の中には湿気を防ぐための大きな容器に入ったシリカゲル(乾燥剤)も入れている。もっと重要なコインは、銀行に預けてある。ということで、次の記事ではコインコレクターのための安全対策について解説したい。

 

 

本記事は、『COINWEEK』の翻訳記事です(掲載許可有り)。元記事は以下のリンクより確認できます。

参考:https://coinweek.com/coins/coin-collecting-strategies-2/tips-for-new-collectors/how-to-store-your-coins/