アンティークコインとは?いま投資・資産運用の対象として注目される理由

 

買取専門店やSNS広告などで「アンティークコインの高価買取実施中!」などの謳い文句を見たことがある人も多いのではないでしょうか。

アンティークコインのコレクターと言えば「お金持ち」や「富豪」というイメージもあるでしょう。彼らが資産運用のツールとして注目するほど、アンティークコインの価値が高まっているのです。

今回は「そもそもアンティークコインとは何なのか」「なぜ今になって注目度が上がっているのか」を解説していきます。

 

 

アンティークコインとは

アンティークコインとは、古代以降から中世の間に製造されたコインのことを指します。

ここで挙げた「中世」の定義に明確なものはなく、その国によって百年単位で異なることもありますので、明確な年号はありません。

アンティークコインという言葉、それ自体が使われ始めたのが近年であり「総称として分かりやすいから」という理由で、数十年前に発行されたコインでもアンティークコインと呼ばれることもあります。

現在では、全世界に20万種類ほどのアンティークコインがあるとされていて、その中の200~300種類ほどが希少価値の高いコインとして注目されています。アンティークコインは、基本的には金や銀などの貴金属で製造されているため、素材そのものの価値が高いというのも特徴です。

 

アンティークコインの価値は今後も上がり続ける?

アンティークコインの特徴は、「現代では、製造が行われていない」という点です。当然ですが、いま製造したものは、普通のコインなので、アンティークコインにはなりません。

そのため、現存しているもの以上に、アンティークコインが増えることはありません(復刻などは可能性として考えられるが、アンティークほどの価値はつきづらいです)。

その一方で、紛失や災害によってアンティークコインの数が今以上に減っていくことは十分考えられます。

そういった観点から見ると、アンティークコインは「希少性」という点において、今後も価値が上がり続ける可能性があります

 

アンティークコインの種類

アンティークコインにはどのような種類があるのか確認していきましょう。

1.記念コイン

アンティークコインの1つに記念コインがあります。記念コインは、古くは古代ヨーロッパなどで作られており、戦での勝利を祝ったり王室の慶事を祝ったりする際に製造されていました。

さらには、時の皇帝が自分の権力などを対外的に示すためにコインを作らせるといったように、政治的なメッセージが含まれているコインも多くありました。

ちなみに、現代の記念コインとして有名なのは「夏季・冬季オリンピック開催時」に発行されるコインでしょう。もしかすると「自分も持っている!」という人がいらっしゃるかもしれません。

現代の記念コインについては、デザインは非常に独創的で、コレクションとしては申し分ないのですが、発行枚数が多いこともあり、古い記念コインと比較するとそこまで価値はありません。オークションなどでも手頃な価格で入手することができます。

ただし場合によっては、それらのコインの価格が上昇する可能性もあります。例えば、1980年代以降に発行された比較的新しい中国のコインが、一時期中国経済の発展に伴って高騰した例もあります。

 

2.地金型金貨

もう一つ代表的なアンティークコインは、純金もしくは純銀で製造された一定のコインを指す「地金型金貨」です。

有名なもので言えば「メイプルリーフ金貨(カナダ)」、「ナポレオン金貨(フランス)」、「ブリタニア金貨(イギリス)」、「パンダ金貨(中国)」などでしょう。

重さや大きさはバラバラですが、一般的いには1/20オンス(約1.5g)~1オンス(約31g)辺りが多いです。

ずっと変わらない伝統的なデザインを採用する場合もあれば、毎年のようにデザインが変わるコインもあります。

コイン自体の希少価値はありませんが、金としての価値が高いため高く買い取られることもあります。コレクション感覚で集めやすいのも特徴です。

ただし、摩耗しやすいという性質を持っていますので、保管する際には注意しましょう。

 

アンティークコインの価値を決める状態・グレード

アンティークコインの価値は、そのコインの希少性だけでなく「コインの状態」も非常に大切になってきます。基本的には以下のように区別するのが一般的です。

  • 完全未使用品(FDC)
  • 未使用品(UNC)
  • 極美品(EF)
  • 美品(VF)
  • 普通品・並品(F)

他にも「グレード」による評価もあるのですが、今回は分かりやすく馴染みのある方で解説していきます。グレードに関しては『アンティークコインのグレードの確認方法は?NGCやPCGSのグレーディングを徹底解説!』で詳しく解説していますので、こちらを参考にしてみてください。

1.完全未使用品(FDC)・未使用品(UNC)

その名のとおり、一切使用していないアンティークコインのことを「完全未使用品」と言います。記念コインなどであれば、一回もケースから出していない状態のようなものです。最も評価の高いものとなります。

未使用品とは、言葉の通り未使用のコインのことを指しますが、厳密に言えば未使用でなくても未使用品と評価されることがあります。これは業者によって異なるのですが、「どこから見ても未使用な状態」であれば未使用品として認められることが多いです。

製造・運搬時で発生した傷や擦れ以外の問題が一切ないものが条件となります。そのため、一回ケースに出して鑑賞したくらいであれば未使用品として評価されることもあるでしょう。

 

2.極美品(EF)

極美品のアンティークコインとは、コインに多少の摩耗が認められる状態ではあるが、デザインや模様がしっかりと判別できる状態のものを指します。流通が行われる過程でできた小さな傷や擦れなどはあるものの、全体を鑑賞した際にまったく問題にならない状態であれば極美品として捉えられることが多いです。

 

3.美品(VF)

コインに摩耗が認められる点やデザインや模様が判別できるという点は極美品と同じなのですが、大きな違いは、美品のアンティークコインには傷や擦れが相当数あるという点です。

ただし、美品の定義はコインの種類であったり鑑定する業者によって異なります。「摩耗は少ないものの傷が多い」ものを美品とすることもあれば、「摩耗と傷などは少ないが劣化が激しい」ものを美品と捉えることがあるのです。

簡単に言ってしまえば、「鑑賞するには最低限のラインは超えている状態である」のような感じでしょうか(コレクターによって捉え方が違う)。美品になると価格も比較的お手頃になりますので、コレクター初心者の方でも敷居が低いレベルとなっています。

 

4.普通品・並品(F)

摩耗、傷、擦り、サビなどが激しいが、コインとしての判別できる状態のものを指します。コインとして価値よりも「そのコインを所有している」という目的のコレクターに向いています。デザインや模様が多く擦り減っているものも多く、鑑賞用としてはあまりおすすめできません。この普通品・並品よりも明らかに品質が劣るコインは「稍劣」や「劣」といった評価になっていきます。

 

アンティークコインは投資・資産運用ツールとして有用?

アンティークコインは、いま投資・資産運用ツールとして非常に注目されています。実際にアンティークコインの収集家は増加傾向にあり、それに比例して毎年のように値上がりしているのです。

その理由は、以下のような出来事が過去にあったからとされています。

  • 2008年に発生したリーマンショック時においても価値が下がらなかった
  • アンティークコインの収集家は富裕層が多く、資産価値が着実に上がるため
  • 保管するのに基本的に費用や税金が必要ない(維持コストがいらない)
  • 増産することがないため、希少性が毎年のように上がっているため

アンティークコインと呼ばれるコインは、発行枚数や現存する枚数が決まっているため「どこかの開拓地から掘り起こされる」みたいな余程のレアケースに遭遇しない限り、総数が増えることはほとんどありません。

価格変動が起きにくい反面、収集家の人口が増えているので資産価値が高くなっていくのです。

入手したアンティークコインはしっかりとケーズに入れて保管し、もしもの時のために鑑定書の発行もしておくと良いでしょう。

入手方法はいくつかあるのですが、こちら『アンティークコインをオークションで購入する方法とは?注意点も解説』の記事で、アンティークコインの入手方法を詳しく解説しているのでぜひチェックしてみてください。

また、アンティークコインを資産運用としてのアンティークコインにチャレンジしてみたいという方は、『アンティークコインで資産運用?貴金属投資に世界のアンティークコインがおすすめな理由』の記事がおすすめです。

 

まとめ

アンティークコインは投資・資産運用ツールとして注目を集めています。そのため、ライバルも多く価格も大きいので敷居は高くなりつつあります。

それでも安心できる実物資産として利用する価値は高い傾向にあります。まずは、「どんな種類のコインがあるのか、どのコインが今後価値が上がるのか、アンティークコインを入手するにはどういった方法があるのか」などを学んでいきましょう。

その上で、入手難易度の低いものから始めてみてはいかがでしょうか。