ウィリアム3世&メアリー2世5ギニー金貨とは?落札価格やコインの歴史を解説
ー国王は君臨すれども統治せず
これは国民の自由と権利を保障し、国民による議会政治を保証する「権利の章典」を承認した時のウィリアム3世の言葉です。 当時のヨーロッパとしては王の権限を制限し、国家の統治を国民に任せるという決定を下したことは画期的なことでした。
イギリス議会政治の始まりを記念し発行された「ウィリアム3世&メアリー2世5ギニー金貨」は、歴史的な希少価値に加えて、美術品としても鑑賞にたえ美しく彫刻されたアンティークコインの1つです。
権利の章典発布を記念し発行されたこのウィリアム3世&メアリー2世5ギニー金貨は40gもの大型アンティークコインです。
この記事では、ウィリアム3世&メアリー2世5ギニー金貨の落札価格や歴史、コインの特徴等について解説します。
ウィリアム3世とメアリー2世の5ギニー金貨が発行されるまでの歴史
イギリス国王ジェームズ2世の娘である、メアリー2世(1662年~1694年)と結婚したウィリアム3世(1650年~1702年)はオランダの総督の家に生まれ父のオラニエ公ウィレム2世の後継者としてオランダ総督職を継承しました。
そして1677年イギリス国王ジェームズ2世の娘メアリー2世と婚姻することとなりました。ジェームズ2世自身はカトリック教徒でしたが、メアリー2世の母はイギリス伯爵令嬢でイギリス国教会教徒のアン・ハイド、メアリー2世自身も母の影響でプロテスタントとして洗礼をうけ成長したのです。
夫婦でもカトリックとプロテスタントと宗教が異なり、親子でもまた違うとはヨーロッパ皇室がお互いの宗教より政略を目的とした結婚を重視してきた証拠でもあるでしょう。
この当時のイギリスはヘンリ-8世がカトリック教会から分離し自らがイギリス国教会の首長になった後から、代々イギリス国王がイギリス国教会首長を務めるのが習わしとなっていました。
しかし、他のヨーロッパの皇室もそうであるように、政略結婚を各国と結んでいた中では国王がカトリック教徒でイギリス国王を務めるということもあったのです。その典型的な例がメアリー2世の父ジェームズ2世です。即位の時にもカトリック教徒であることが問題になりましたがイギリス国王に即位しました。
国王追放から名誉革命
その後カトリック擁護の言動が多くイギリス議会をもないがしろにすることに至りイギリス議会はジェームズ2世に対しカトリックを国教としているフランスへ追放。
次期国王としてプロテスタントとして育てられた娘のメアリー2世とその夫のオランダ総督ウィリアム3世に即位を王として迎えました。イギリス皇室において初めての2人統治王の時代の始まりでした。
イギリス議会は王の権限を大きく制限し政治の主権は議会へゆだねるという「権利の章典」を2人の王に提出しウィリアム三世とメアリー2世はこれを承認し発布、イギリスは政治の主導権を議会が決めるという立憲政治がはじまりました。大きな戦乱もなく無血で国王交代を成し遂げ政治の主権を王から人民と議会へ、これが名誉革命です。
この名誉革命と権利の章典発布を記念して発行されたのが「ウィリアム3世とメアリー2世5ギニー金貨」です。
1701年ウィリアム3世&メアリー2世5ギニー金貨とは
ご覧ください、コインに2人の横顔が彫刻された「ダブルポートレート」と呼ばれる珍しいアンティークコインです。手前がウィリアム3世、奥がメアリー2世のポートレート、1694年発行のエレファントキャッスルの5ギニー金貨になります。
エレファント&キャッスルの彫刻
ここで注目していただきたいのはウィリアム3世ポートレート下のエレファント(象)の刻印です。 画像の白くマークしている場所に小さいですが、見つけることができます。もともとギニー金貨のギニーという言葉は金を産出しているアフリカのギニアを表す言葉です。
その中でもこの「エレファント&キャッスル」というマークがついているものは、ギニア産出の金で作られたという証明になります。
多くのギニー金貨がありますが、同じコインでもこの「エレファント&キャッスル」が付いているものの方が高く評価されています。2人の国王の周りには「神の庇護をうけしウィリアムとメアリー」の文字が描かれています。
コインの裏面の刻印
向かって左上が4つの王の紋章・百合はフランス、ハープはアイルランドを表す象徴であり、ウィリアム三世出身のオラニエ・ナッサウのライオンの紋章も描かれています。
オランダ総督であったウィリアム三世とイギリス王家の娘であるメアリー2世の紋章この二人王統治を表した美しい刻印ですね。
イギリス王室とオランダ総督の婚姻から二人国王となった、名誉革命成就にふさわしいアンティークコインです。
ウィリアム3世&メアリー2世の5ギニー金貨の価格
ウィリアム3世&メアリー2世5ギニー金貨は1691年から1964年にかけて発行されていま300年前のアンティークコインにはどの程度の価格がついているのでしょうか。ヘリテージオークションからの落札価格を調べてみました。
ウィリアム三世&メアリー2世5ギニー金貨過去最高価格(2020年8月時点)
オークション終了日2020年8月5日
2020年1月13日に行われたヘリテージオークション価格がこのウィリアム三世とメアリー2世5ギニー金貨の最高価格となりました。2020年は、アンティークコイン市場全体として価格が上昇傾向にあります。
その結果、ご覧の通り高額な落札価格になり、入札数は25件での落札価格となっています。以下は、ウィリアム三世&メアリー2世5ギニー金貨エレファント&キャッスル付きの5ギニー金貨です。
オークション終了日は2020年1月13日 入札数6件
ヘリテージオークションでもこのウィリアム三世とメアリー2世金貨の出品数は少なく、レアなアンティークコインであることがわかります。
また、状態が良いものであれば数千万円以上の価値がついてます。もし出品されたらチャンスを逃さず落札していただきたいアンティークコインです。
まとめ
ウィリアム三世とメアリー2世5ギニー金貨をご紹介してまいりました。
このコインが高額になる理由としては
- 人気のあるイギリスの金貨であること
- イギリス王室史上初の2人国王時代という希少性
- 名誉革命から権利の章典発布を記念し発行されたという歴史
- デザイン性が高く美しいアンティークコインであること
人気が出る全ての要素をもったアンティークコインである、ウィリアム3世&メアリー2世5ギニー金貨は今後もレアなアンティークコインとして高値が予想されます。
ヘリテージオークションでも高額になる貴重なコインですが、一般の方が入札・落札は慣れていないと難しいもの。
アンティークコインとの出会いはまさに「一期一会」、チャンスは行動するかたにしか手に入れられません。もしお気に入りのコインがございましたら、一度、弊社にお問い合わせください。