1628年の戦利品で鋳造されたオランダ銀貨が最高値

複数のディーラーが1月に共同開催したニューヨーク セールの一品

1628年9月9日のカリブ海キューバ沖における
スペイン財宝艦隊襲撃のオランダ勝利を記念して、
その戦利品を使った銀貨が鋳造されました。

1月5日、6日に開催された第37回ニューヨーク セールで
注目を集めたのがこちらのメダルです。

今回のオークションは、ドミトリー マルコフ コインズ&メダルズ、
A.H.ボールドウィンズ&サンズ社、M&M ニューミズマティックス、
アイラ&ラリー ゴールドバーグ コインズ&コレクティブルズの4社で構成する団体
「ニューヨーク セール」が開催しました。

キューバのマタンサス湾で略奪された総重量約177,000ポンドもの財宝には、
大量の銀といくばくかの金が含まれていました。
大きな争いに発展することは無く、人命も失われずにオランダが勝利を収めました。

ピート・ヘイン提督の艦隊がマタンサス湾に到着すると、
提督の存在に気付いたスペインは自ら積み荷の銀を降ろし始めました。
ヘイン提督に対する抵抗はほとんどなく、
スペインのドン・フアン・デ・ベナヴィデス提督補のもとへ案内されました。
ヘイン提督は、そこでベナヴィデス提督補からの降伏を受け入れたのです。

1629年、この際に勝ち取った財宝でオランダが鋳造した銀貨は、
「現代メダルで描くアメリカ植民地時代の歴史
(the American Colonial History Illustrated by Contemporary Medals)」の著者
C. ウィリス ベッツ(C. Wyllys Betts)にちなんで
「ベッツ メダル」と呼ばれるようになりました。

写真の銀貨(ベッツ25)の表面には、
切れ目のないなだらかな海岸線を背景に
帆船や漕艇が行き交う壮大で穏やかな海の風景が描かれており、
その前面にはヘイン提督の旗艦が配置されています。

裏面に刻印された14行の文章には、
「血を流すことなく勝ち得た巨万の富」という内容と、
スペイン人に対するオランダの嘲りが書かれています。

この銀貨の直径は58.87mm、重量は58.41gです。

2006年1月16日ジョン・J・フォード・ジュニア氏が
スタックスに出品したベッツ25は、
アメリカ人収集家ジョン・アダムス氏が最終価格20,000ドルで落札しました。

アダムス氏のコレクションの一部が2013年1月のオークションに出品された際、
ベッツ25の最終落札価格は28,000ドルに達しました。

アダムス氏がスタックスに出品したコインは美品(Good Very Fine)と評価されており、
現時点で20,000ドルの予想販売価格がついています。

ヘイン提督が停泊時に拿捕したこの艦隊は、
スペインの植民地からヨーロッパへ財宝を輸送する大規模なスペイン艦隊の一部でした。
このような艦隊は敵国や海賊の主な標的となり、
何年もの間に数百万ペソが略奪されました。

ピート・ヘイン提督の艦隊はそれ以前にもさらに大規模な艦隊を攻撃しており、
多くの船舶は、湾に停泊する前に襲撃、略奪されていたのです。

略奪された財宝は、約1,200万ギルダーの価値があると言われています。

=== 原文 ===
http://www.coinworld.com/news/world-coins/2016/01/1628-dutch-silver-medal-made-from-war-treasure-leads-auction.html

1628年の戦利品で鋳造されたオランダ銀貨が最高値アンティークコインギャラリア | 旧ナミノリハウスで公開された投稿です。