アンティークコインの鑑定・保証に関する基礎知識!コイン鑑定会社NGCとPCGSについても解説
アンティークコインを購入する時や、すでに購入した後で、このコインは「本物」なのだろうかと疑問に思ってしまう方も結構多いのではないでしょうか。
仮に購入したアンティークコインが鑑定済みのスラブケースに入っていたとしても、その鑑定に保証はあるのだろうかと、不安になることもあるでしょう。
そこで、知っておきたいのがアンティークコインの鑑定会社。代表的な国際鑑定会社にはNGCやPCGSなどがあります。今回はコインのグレードや真偽を保証してくれる鑑定会社や鑑定の基礎知識について詳しく解説していきます。
有名なアンティークコイン鑑定会社PCGSとNGC
アンティークコイン投資を始める方は最低でも覚えておきたいのが、PCGSとNGCと呼ばれる世界の2大鑑定会社の存在です。
PCGSやNGCとはどのような鑑定会社なのか見ていきましょう。
PCGS(Professional Coin Grading Service)|専門コイングレーディングサービス
PCGSとは、Professional Coin Grading Service(専門コイングレーディングサービス)を略したもの。PCGSは米国カリフォルニア州で1986年に設立、世界100か国でコインの鑑定・保証を行っている国際的な機関で信頼性が高いアンティークコインの鑑定会社です。
世界トップクラスの鑑定士が、世界共通の鑑定基準をもとに公平なグレーディング・真偽をコインに付与しています。PCGSは、現在のコイン鑑定の主軸となる70段階「シャルドン・スケール」を確立した先駆的な鑑定会社でもあります。
NGC(Numismatic Guaranty Corporation)|アンティークコイン保証会社
https://www.ngccoin.com/about/about-ngc/
NGCはNumismatic Guaranty Corporation(アンティークコイン保証会社)を略したもので、1987年に米国フロリダ州で設立した世界最大規模の鑑定会社。これまでに4700万枚以上のコインを鑑定済み、世界中の博物館でも活躍している国際機関です。
NGCはアンティークコインの鑑定以外にも、コイン修復を行うNCS、紙幣の鑑定を行うPGM、コミック本の鑑定を行うCGCなど多種多様なサービスを提供しているのが特徴です。
アンティークコイン鑑定会社は何をしているの?
PCGSやNGCなどのアンティークコインの鑑定会社は具体的に何をしているのでしょうか。鑑定会社の役割やサービス内容を解説していきましょう。
コインのグレード(格付け)を決める
鑑定会社の最も重要な役割は、アンティークコインの品質にグレードを付けることです。
初心者や素人には、自分が購入を検討しているアンティークコインが未使用なのか、未使用に近い状態なのか、劣化が見られるのか判断が難しいですよね。ある程度、品質が見れる投資家や専門家でもコインの品質を判断する基準が必要になります。
そこでPCGSやNGCが付けるグレードが世界中のアンティークコインの品質を見極めるうえで目安になっています。完全未使用品からかなり劣化がひどい状態まで70段階に分けてアンティクコインを鑑定し、グレードを決定しています。
【グレード表記の例】
コインのグレードは「MS65」「MS60」「SP63」「AU55」などアルファベットと数字の組み合わせで表示されます。数字は70が最高品質でグレードが低くなるほど数字が小さくなっていきます。
アルファベットはグレードが高い順から以下のように分類されています。
MS |
Mint State(Uncirculated) |
未使用の状態 |
PF |
Proof |
プルーフ加工のコイン |
SP |
Specimen |
ミントでもプルーフでもない |
AU |
Almost Uncirculated |
ほとんど未使用に近い |
XF |
Xtremery Fine |
使用感があるが極めて美しい |
※グレードの表記を詳しくご覧になりたい方は以下の記事を参考にして下さい。
関連記事:アンティークコインのグレードの確認方法は?NGCやPCGSのグレーディングを徹底解説!|アンティークコインタイムズ
コインの真贋を鑑定する
PCGSやNGCの鑑定結果は、アンティークコイン鑑定会社のマーク入りシールが貼られたスラブケースに記載されています。アンティークコイン自体は、スラブケースに密封されます。また、鑑定されたコインは各鑑定会社のデーターに登録されるため、鑑定会社のサイトでコインの情報を確認できるようになります。
PCGSやNGCの表示がある、グレードがついているということは、そのコインが本物である(偽物ではない)ことを半永久的に認定・保証していることになります。
▲アンティークコインギャラリア掲載画像より筆者作成
アンティークコインの真偽は専門家が拡大鏡を使って肉限で確認するだけでなく、ケミカルテストや最新技術を駆使した様々な方法で判定しています。PCGSやNGSのスラブケースに入っているということは、ほぼ100%コインの品質や真偽が保証されているコインです。
スラブケースにコインを封入する
鑑定後は、開封が不可能なスラブケースに密封されます。従って、鑑定会社のスラブケースに入っているコインはグレードや真偽が保証されているため、安心して購入することができます。
ただし、近年では詐欺の技術も高度化していて、開封したことがわからないように中身をすり替えるケースも稀にあるようです。
偽物のリスクを低減するためには、PCGSやNGCの鑑定済み・スラブケース入りのコインであることに加えて、信頼できるコイン業者を選ぶことが大切です。
アンティークコインを鑑定してもらう方法
世界2大鑑定会社である、NGCやPCGSの鑑定済みのコインは通常よりも高い値で売買されています。鑑定なしで購入したコインでも、改めて鑑定を受けておけば売却時に有利です。
ここでは自分でNGCやPCGSにてアンティークコインを鑑定してもらう方法ご紹介いたします。
自分でNGCやPCGSにコインを提出する
NGCやPCGSの鑑定を受ける方法の1つは、自分で公式サイトにて鑑定を申し込む方法です。この場合、宅配にてコインの提出・受け取りを行います。宅配の際には紛失や破損に備えて保険がかけれるので安心です。
NGCの場合もPCGSの場合も送付先は香港支部になります。香港に渡航予定がある方は直接窓口に持ち込むこともできます。PCGSなら日本語サイトでの申し込みも可能です。
- 鑑定会社の公式サイトにて会員登録(無料、有料コースも選べる)
- コインの種類・鑑定の種類を選択する(条件による)
- 鑑定依頼フォームを申請する(オンラインでダウンロード)
- コインを鑑定会社に送付する(申請書同梱・送料自己負担)
- 鑑定結果がメールで通知される(鑑定結果を確認)
- 鑑定済みのコインが宅配で返送される(送料自己負担)
※詳しい手続き方法は各鑑定会社の公式サイトからご確認頂けます。 |
アンティークコインショップの鑑定代行サービスを利用する
NGCもPCGSも海外(香港)へ配送して手続きを行わねばならず、馴れないうちは不安に思う方も多いですよね。もう1つの鑑定を依頼する方法として、国内のアンティークコイン鑑定代行サービスが利用できるのでおすすめです。
NGCやPCGSの認定を受けているコイン専門店では、鑑定依頼の代行サービスを受け付けています。鑑定代行サービスは各業者によって料金が異なります。
- NGCやPCGS認定のコイン専門店を調べる
- 鑑定代行サービスを比較検討して業者を決める
- 鑑定依頼を申し込む(Webフォームまたは電話)
- コインをコイン専門店に配送する(送料問い合わせ)
- 鑑定結果がメールで通知される(コイン専門店から)
- 鑑定済みのコインが宅配で返送される(コイン専門店から)
※Antique Coin Galleria(アンティークコインギャラリア) は、PCGS及びNGC認定のアンティークコイン専門店です。鑑定代行サービスについてもご相談可能です。気にする方は、まず、お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。 アンティークコインギャラリアお問い合わせ:https://antique-coin-galleria.com/pages/contact |
アンティークコインの鑑定料金
鑑定を受けることで売却の際に有利となるのは本望ですが、気になるのが鑑定にかかる費用です。NGCやPCGNの鑑定料金はいくらぐらいかかるのでしょうか。
NGC・PCGSのアンティークコインの鑑定料金
アンティークコインの鑑定料は、基本料金として1955年以降のもので金貨以外であれば3万円程度。金貨は、25万円程度。プラス鑑定手数料が2,000円~5,000円。さらにはコインのグレードに合わせて鑑定料が加算される仕組みになっています。
PCGSの料金表:https://www.pcgsasia.com/submit?l=ja |
鑑定代行サービスのアンティークコイン鑑定料金
コイン専門店によって鑑定料金は異なります。安心して任せられるAntique Coin Galleriaの場合、事務手数料5,400円にプラス鑑定金額の1%が課されます(※最新の情報はお問い合わせにてご確認ください)。
アンティークコインギャラリアお問い合わせ:https://antique-coin-galleria.com/pages/contact |
アンティークコイン鑑定前に!詐欺・偽物のコインに注意
アンティークコイン投資は利益が狙える可能性のある投資方法ですが、詐欺・偽物コインを入手してしまうリスクがあるため注意しなければなりません。
最後に詐欺・偽物コインへの対策をいくつかご紹介しておきましょう。
対策1:コインに関する知識を磨く
まず一番大切なのは、自分自身でそのコインが本物かどうかを見極める正しい知識を身に付けることです。製造年数やコインの素材、直径、デザイン、文字、様々な詳細を確認するようにしましょう。
また、同じコインでもグレードごとの価格相場も合わせて知ることで妥当な値段かどうか判断することが可能です。最近はメジャーなコインであればネットでも情報は調べられますし、カタログを使って調べる方法もあります。
対策2:コイン鑑定会社のサイトで登録されているか確認する
NGCやPCGSなど鑑定済みのコインであれば、鑑定会社の公式サイトにて登録されているか確認できます。見せかけの偽物のスラブであれば、鑑定会社の登録情報に記載がありません。
鑑定番号を入力すると、登録されたコインの詳細が表示されるようになっています。ただし、大手鑑定会社以外の登録情報は検索できないケースもあります。
対策3:スラブに入っていないコインはなるべく避ける
詐欺や偽物を避ける方法として、スラブに入っていないコインを購入しないという方法もあります。基本的に、「スラブに入っているコイン=鑑定会社の認定・保証つき」となりますので、詐欺や偽物のリスクはスラブなしのコインよりもかなり低いといえます。
コインの見識に長けてくると、あえてスラブに入っていないコインを好む投資家・収集家もいますが、初心者のうちはなるべくスラブ入り(鑑定付き)を購入した方が安全です。
アンティークコイン鑑定のまとめ
NGCやPCGSなどの鑑定会社はコインのグレードや真偽を認定するだけでなく、スラブケースに密封し鑑定番号を登録することで、悪質な詐欺から投資家を守る役割も果たしています。
スラブケースの構造は年々巧妙となる一方、詐欺の手口・技術も相応に高度なものとなっています。鑑定されたスラブ入りのコインを選ぶことで、詐欺や偽物のリスクを低減することはできても完全にリスクゼロにすることはできません。
自分の身を守るためにも、アンティークコインについて自らもカタログやネットで学んでいくことがとても重要といえるでしょう。