存在を抹消された屈辱の皇帝…古代ローマコイン【Coin of the day】

今日は七夕ですね!
織姫さまと彦星さまが…というロマンチックな伝説に
思いを馳せながら夜空の星を見上げたい…ところですが、
何だか7月7日ってお天気が良くないことが多い気がします。
今の暦では梅雨時期だからかな…と思いつつ、ちょっと
気になったので調べてみたところ、なんと、過去10年で
7月7日が晴れたのはたったの2回!
過去56年に遡っても、わずかに17回しか晴れなかったそうです。

織姫と彦星にはちょっと気の毒ですね…

ちなみに七夕に降る雨は、お互いを焦がれる二人が流す涙に
見立てて「催涙雨(さいるいう:酒涙雨とも)」と
呼ばれるそうです。
今日の関東は、晴れ時々曇りの天気予報。
どうか夜はスカッと晴れてほしいものです。

今日は古代ローマ帝国の銀貨を集めました。
三枚目のカラカラ帝と二枚目のゲタ帝は兄弟でしたが、
二人の仲は最悪と言っていいほど険悪でした。
二人の父が帝位につくと兄カラカラが副帝に叙任され、
それによって「兄が後継者である」ということが国内外に
示されました。
そのことが、弟ゲタとの間に大きな亀裂を生んだと
言われています。
ゲタの反発心をなだめようと、父帝は兄に続いて弟も
副帝に据え、父帝が亡くなるとすぐに二人は共同皇帝として
二人で国を治めることになりました。

しかし、「これからは仲良く協力して…」とはならず、
何かにつけて二人は激しく対立し、一説には
「帝国を二分してそれぞれが治める」という案まで
飛び出したと歴史書は伝えています。

最終的には、兄カラカラ帝は弟を亡き者にすることを
決意し、何度か暗殺未遂を繰り返した挙句にとうとう
ゲタ帝は命を奪われました。

ゲタが奪われたのはその命だけではなく、
「その一切の存在が無かったとして、自らが遺したあらゆる
痕跡を抹消される」という屈辱的な措置を受けました。
ダムナティオ・メモリアエ(名声の破壊)と言われる
この措置は、対面や名誉を重んじるローマ人にとって
最も厳しいものであったと言われています。

「幸せな家庭」として皇帝一家を描いた肖像画ですが、
左下にあったゲタ(右隣はカラカラ)の顔が削り取られています。

全ての存在の痕跡を奪われたゲタ。
そう考えると、ゲタの肖像が入ったコインというのは、
彼の生きた証を今に伝える数少ない、貴重なものかもしれません。

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