メロスを走らせた猜疑心の塊の暴君はこの人です【Coin of the day】
今日はかなり状態のいい古代ギリシャのコインを
集めてみました。
紀元前の者とは思えない、細部までくっきりとした意匠や
躍動感あふれる動物等、本当に美しいです…!
一枚目の「ディオニュシオス1世」、古代の人々の間では
残虐で猜疑心が強く執念深い、「最悪の暴君」のひとりと
みなされていたそうです。
民主政治がうまく機能していたシラクサ(シュラクサイ)を
独裁的に支配し、各地の都市国家を次々に征服した彼は
常に自分の命が狙われる危険を感じ、誰も信じられない日々を
送っていました。
一説には、寝込みを襲われるのを防ぐために毎日寝室を変え、
召使たちにもどの寝室を使うかは知らされていなかったため
毎晩召使はひとつひとつ部屋を確認して王を探さなければ
ならなかったとか…
また、散髪も実の娘にさせていたそうです。
これは理髪師が買収されて、剃刀で自分の命を奪うのでは
ないかという不安からだったそう。
娘でさえも完全に信じることはできず、ハサミや刃物は
使わせずにクルミの殻をこすり合わせた摩擦熱で
髪を切らせていたということです。
一時も気の休まることのなかったであろう王としての生涯、
権力はあっても、幸せだったのだろうか…と
考えてしまいますね。
太宰治の作品「走れメロス」に出てくる「暴君ディオニス」の
モデルとなったのもこのディオニュシオス1世でした。
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