世界中の”貨幣業界”関係者が集結!コレクターなら一度は行ってみたい「ワールド・マネー・フェア2016」
今年の2月5日から、世界のコレクター、そして貨幣発行関係者までもが一堂に会する
「ワールド・マネー・フェア2016」が開催されました。
近頃は、大口のコレクターや関係者だけでなく、
一般の「少額コレクター」の来場も増えているとのこと。
また、コインコレクションは世界的な投資、ホビーになり、
特に最近は中国などの、以前ではあまり見られなかった地域からの
出品や参加者も増えているようです。
コインコレクターなら、誰しも一度は行ってみたい、
ビッグイベントをご紹介します!
世界中の造幣局がベルリンのコイン・ショー(ワールド・マネー・フェア2016)で“再会”
~貨幣業界が「ワールド・マネー・フェア2016」に集い、その様子は“同窓会”のよう~
第45回「ワールド・マネー・フェア2016」は、
開催国として今年11回目のドイツ・ベルリンで催され、
その様子はまるでコイン・コレクターの同窓会のようでした。
このフェア(今年は2月5日から7日まで開催)では、
初期のタイプの「穴あきドル(Holey dollar、硬貨不足を解消するため、
もともとは他国のコインだったものに穴を開けて、
オーストラリアの一部の地域で使用したコインのこと)」
が驚異的な売上を記録しました。
その「穴あきドル」は、オークションでかなりの高値で競り落とされた後、
現在は(落札者に届けるため、コインの生まれ故郷である)
オーストラリアへ戻っているところです。
また、フェアの特別式典や展示会では、
中国貨幣製造用のドイツ製の工具と金型がドイツに返却されました。
そして、フェアの委員長ハンス・ヘニング・ゴーラム氏によると、
このフェア自体が、世界中に存在する “貨幣業界ファミリー”とも言える仲間たちの
再会の場としての役割を果たした、ということです。
ゴーラム氏はフェアの参加者がどういった人たちなのか定義した際に、
この“貨幣業界ファミリー”というフレーズを幾度となく用いました。
失敗と成功が入り混じったフェアの結果
2月12日時点では、最終的な参加者数はまだ公表されていませんが、
人数は2013年度や2014年度ほど多くはなかったようです。
しかし、今年のコイン販売のフロアは、
前年(2015年)に比べるとたいへんな混みようでした。
ディーラーの多くは、
(原油価格の下落と各国から受けた経済制裁の結果)
ロシア・ルーブルが依然として弱いことや、
中国貨幣の市場が買い手不足で安定していないこと――
これらが、“失敗”“成功”とは一概には言えない、フェアの結果と関連があるとしています。
低価格帯の販売コーナーでは、大勢のコレクターや少額ディーラーが、
流通用「2ユーロ記念硬貨」を個人的に少数購入または卸売用に大量購入しようと、
ブースに群がっていました。
このタイプのコインは、
近現代ヨーロッパ貨幣のなかでは最も一般的かつ人気のコレクションアイテムです。
そのため「モネ・ド・パリ」のブース周辺の通路は、行列で混雑していました。
連日多くのコレクターが、フランス製の2016年の新製品、
UEFA欧州選手権の「2ユーロ記念硬貨」を額面価格で交換(2ユーロで購入)すべく、
順番待ちしていたからです。
他には、バーレーン、エジプト、イラン、リビア、モロッコ、オマーン、シリアなどの中東諸国や、
それ以外の地域の国々の流通用新品コインを多数販売しているディーラーもみられました。
ローマ法王フランシスコをあしらったバチカン市国のコインは、
いくつかの販売ブースで飛ぶように売れていました。
また、近現代紙幣の小売りおよび卸売コーナーも活気がありました。
最大規模を誇り、かつ最も目立っていた販売ブースでは、
一般公開日の前日から販売を開始していました。
クンカー社のオークションが熱い
クンカー社(ドイツのオークション会社)によれば、
今年2月4日に開催された第271回フリッツ・ルドルフ・クンカー・オークションでは、
落札総額が660万ユーロ(約8億2706万円)を超えたということです。
しかし、正確な金額は明らかにされていません。
この推定総額は、オークション開始前の予想価格より約38%高いのですが、
この数字には落札手数料や20%~23%の付加価値税(消費税)は含まれていません。
付加価値税は、落札されたコインがどこに配送されるかによって変わってきます。
落札総額を底上げしたのが、
1813年の銀製の「穴あきドル」(額面価格は5シリング)で、
英国の植民地であったオーストラリアで
(硬貨不足による)非常時に発行されたコインのうちの1例です。
この穴あきドルはスペイン王カルロス3世の時代に作られた、
メキシコシティ造幣局の1777年製8レアル銀貨をもとに鋳造されたものです。
オーストラリアのコイン・オークション会社ダウニーズ社のケン・ダウニー氏によると、
これは「穴あきドル」の元になったコインとしては最も古いもののひとつで、
同様に1776年製のものもありましたが、
こちらは元の刻印がコイン外周からはみ出ている、ということです。
ダウニーズ社では、元の刻印と追加刻印を、
いずれも「極美品、Extremely Fine(EF)」と格付けしました。
メキシコシティで元のコインが鋳造されてから、
穴あきドルを緊急発行した当時の状況を考慮すると、
とりわけ元の刻印は珍しく良好なコンディションでした。
この穴あきドルは23万ユーロ(約2882万円)で落札されました。
ケン・ダウニー氏が『コイン・ワールド』に語ったところによると、
ダウニーズ社はオーストラリアにいる自社のクライアントのために、
このコインを購入しました。
そのため、ヨーロッパでコレクション品とされていた数十年間を経て、
故郷に向かっているのだということです。
ドイツ製のコイン金型(鋳型)、故郷に戻る
そのほかにも、 “故郷へ帰ってきたもの”があります。
帰郷を祝って祝典が挙行され、
祝典は(ワールド・マネー・フェア2016の)コイン販売フロアでの展示と
2月6日に特別譲渡式典という形で行われました。
ザクセン=アンハルト州(ドイツ)のコイン博物館での展示のため、
ドイツの製造会社オットー・ベー(Otto Beh)社製の42点の金型と36点の刻印機が
故郷ドイツに帰ってきました。
これらの工具は、造幣機械でコイン製造する際使用されていたもので、
中国の(機械を用いたコイン製造の)歴史上、初期のタイプのものです。
この工具コレクションが初めて売りに出されたのは2012年、
クンカー社主催のオークションでした。
その時にチャンピオン・オークション社(香港のオークション会社)の
マイケル・チョウ氏がクンカー社から購入し、この博物館に寄贈したのです。
いつ寄贈したのかは、公式には発表されていません。
この金型コレクションは
今回のワールド・マネー・フェア2016がドイツでの初のお披露目で、
去年12月には、マカオで開催されたコイン・フェアの期間中展示されていました。
チョウ氏とクンカー社は協力して、
“今回の展示会とドイツへの引き渡しを記念して「パンダ銀貨」、「パンダ金貨」を作ってほしい”と
中国の上海造幣局に掛け合いました。
そして、それぞれシリアルナンバー1のものがクンカー・オークション開催中に落札され、
金貨は9,250 ユーロ(約115万円)、
銀貨は2,200 ユーロ(約27万円)の値が付きました。
博物館の責任者ウルフ・ドレーゲル氏は、
この2点の記念コインの売上から集めた資金の小切手と共に
工具コレクションの寄贈を受けた際、立ち合いました。
アメリカ人ディーラーのロバート・ミッシュ氏もまた、
この寄付に携わったパートナーで、小切手贈呈の様子を見守りました。
『コイン・ワールド』では次週、紙面とオンライン上で、フェアの内容をさらに詳細にリポートします。
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