有能なのに何も成し遂げられなかった不運の国王フリードリヒ3世【Coin of the day】

最近半袖の子どもたちを見かけるほどの陽気になってきました。
「衣替えは6月」と決まっている学校なども多いと思いますが、
この時期、あと半月ほど、冬服の長袖ジャケットなどは
辛いんじゃないかなぁ…と思います。
6月の衣替えが全国的に定着したのは明治時代だそうで、
そのころと今とでは気温がかなり変わってきていて
今の5月半ばが当時の6月初めくらいの暑さだそうです。

さて、今回もプロイセン王国のコインを集めましたが、
私が注目したい人物はフリードリヒ3世。
3枚目をご覧ください、1888年発行の金貨ですね。
それもそのはず、この方、1888年しか在位していないのです。

「え、たった一年?」

いえ、『たった99日』です。

フリードリヒ3世は、父である前王が長寿だった(90歳没)ため
即位した時点で56歳という当時では老人とされる年齢でした。
しかも、その前年に喉頭癌を発症していたにもかかわらず、
妻の母であるヴィクトリア女王が差し向けたイギリス医師団と
地元プロイセンの宮廷医師団とが治療方針や医療技術等で
真っ向から対立。
当時のイギリス医学とドイツ医学の確執は日本でも
話題になるほどのものでしたが、それに巻き込まれる形に
なってしまったフリードリヒ3世は必要なタイミングで
適切な治療を受けることができませんでした。

そのため、病状は刻一刻と悪化し、政治的にも国王として
何を成し遂げることもなく、その命を終えることになります。

1888年3月9日即位-1888年6月15日死去

本人には落ち度もないのに「百日皇帝」と不名誉にも聞こえる
あだ名で呼ばれることになった不運の人フリードリヒ3世。
自由主義者で頭脳明晰、平和主義でありながら軍事にも
秀でた才能を示していた彼は、国民から「我らがフリッツ」と
親しみを込めて呼ばれ愛されていました。
それだけに、非常に残念な晩年でした。

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